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第755話

少しだけ残業をし、既に退勤してるミキにLINEで連絡いれた。 ♪*龍臣と飲みに行く.食事も要らない♪* ♪*解りました。珍しいですね。楽しんで!♪* 嘘を吐くようで気が引けたが……何も解らない状況では仕方がないと思う事にした。 永瀬が指定した駅の改札口付近で待ってると、待合せ時間の5分前に永瀬は現れた。 「すみません。お待たせしました」 「いや、俺もさっき着いた所なんで」 「食事まだですよね?先に、食事しますか?」 余裕がありそうな永瀬の態度に、俺は腹の中ではムカつく! 飯を食いに来た訳じゃねーし! とっとと要件を聞きたい! 食事の誘いを断る事にした。 「別に、食事に来たわけではありませんので。それで、話とは?」 クスッと笑った気がし、それにもムカつく! 余裕が無い男だと思われたか⁉︎ 別に、それでも構わない! どう思われても、仕事が終われば関係ない! 「では、つまみとワインの美味しいBarに行きませんか?飲みながら話ましょう。直ぐ、そこですから」 腰を落ち着けて話そうって事か! 食事は断ったが今度は受けて立ってやる! 「解りました。永瀬さんのお勧めするBarに行きましょう」 そして2人で駅から歩いて直ぐのビルの中にあるB arに向かった。 広くはないが、BGMと店の雰囲気は良さそうだと印象を持った。 永瀬がカウンターに座り、俺も隣に腰を下ろした 何度か来てるらしい永瀬はマスターに、腹に溜まる料理とお勧めワインを慣れた口調で頼んでた。 「ここの店、ワインBarなんですがワインも食事も凄く美味いですよ。ワインは詳しくない俺でもワインに嵌りそうになりました。ミキと一緒の時に偶然見つけたんです」 ミキと? 2人で? ミキの話を突然する永瀬の意図が解らず、こちらからは何も言わない事にした。 「そうですか。店の雰囲気も凄く良いですね。落ち着きます」 俺と永瀬の話を聞いてたマスターが白ワインのグラスを目の前に置き嬉しそうな顔を見せた。 「ありがとうございます」 そしてピザ.ナッツ類.エリンギの肉巻き.チーズバジルパイなど、永瀬が話す通り美味そうなつまみもカウンターに並べられた。 「美味そう! さあ、成宮さん。乾杯しますか?」 ワイングラスを掲げる永瀬に俺もグラスを掲げた 「良い仕事をさせて貰った事と、これからの成功を祈って。乾杯」 永瀬の音頭で、俺も「お互い頑張りましょう。乾杯」と言った。 ワインを口にしながらも、心の中では仕事絡み?と思ってた。 程良い辛口ですっきりした味わいのワインは美味かった。 「美味いな」 「ですよね。ワインBarって言うだけあって何種類もありますし、俺みたいに解らなければマスターが勧めるワインに外れは無いですよ」 ワイン談義がしたかったのか? 「それは、楽しみだ」 「あっ! そうそう。ミキから成宮さんもアメリカ支社でご活躍してたと聞きました。アメリカの生活はどうでしたか?」 今度は、アメリカでの話しか⁉︎ 俺は渡米した当初の文化の違いや言葉の壁にぶつかった話をしたり、慣れてくると仕事の面白ろさを話した。 永瀬も俺の話しに共感し、色々渡米してからの苦労話しや今は仕事に対しての意欲を話してた。 俺も永瀬の話しには共感できる事が多くあり、話はそこそこ続いた。 俺の渡米してた時の話を聞きたかったのか? 永瀬の話しに合わせながら動向を見守ってた。 「今は、それなりに評価もしてくれますが、やはり、まだまだアメリカ社会ではアジア人は苦労します。どこか下に見てるんですよね。だからこそやってやる! 見返してやる!って、俺は燃えちゃうタイプなんですけど」 「逆境を跳ね返すのは生半可ではないとは思いますがそれをバネにして、その先には開けた未来が必ずありますよ。努力は報われるって事です」 自分の経験から話した。 永瀬も納得し頷く。 ワインをお代わりし、つまみを食べながら話す。 永瀬が言ってた通り、マスターのお勧めするワインは美味かった。 「渡米して苦労した成宮さんの言葉は重いですね俺も、まだまだ頑張らないと」 「若いし、これからですよ」 打ち解けたようで居てどこか探り合ってるような気がするのは、俺の思い込みだろうか⁉︎ 純粋に、俺のアメリカでの話しを聞きたかった? それならそれで構わない‼︎ 話を合わせ、時間を見て帰ろう! そう思ってた時に、永瀬が本来の目的だったんだろう話を始めた。 永瀬は残りのワイングラスを空けマスターにお代わりを頼み、考え込むような素振りでお代わりのワインを待つ姿に、俺は永瀬の雰囲気が変わったと感じた。 これからが本題か? 永瀬が何を話すのか構えて待つ。

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