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第766話
何を言ってるんだ⁉︎
どう言う意味だ⁉︎
ミキの言った言葉が信じられず、頭が理解する事を拒絶してた。
言葉が出ず固まってたが、理由が解らない事に急に腹が立った。
「どう言う意味だ‼︎ 俺は嘘をついてない! 正直に話した! 信じて貰えないって事か⁉︎」
別れらしき言葉を発したミキに思わず怒りで大声で怒鳴ってた。
珍しく、ミキも感情的になり大きな声を出し言い返してきた。
「嘘はついてない!と解りました。信じてるか?信じてないのか?って聞かれたら、信じたい!って思ってますが、それでも目の前で実際に見た事も真実でショックを受けた事も真実です! それより、もっとショックだったのは……今日の朝に言われた事です‼︎ 先輩の所に居たのか?って言われて…あの瞬間に…俺の事信じてないんだ! 俺をそう言う風に見てたんだ!って思ったら……それが伊織さんの本音なんだと思ったら……もう、だめかも…って‼︎ 朝、言われた言葉を今日一日何度も思い出して……ショックと腹が立ちました。そんなに俺が信じられない⁉︎ なぜ⁉︎」
怒りで感情的になってたミキが最後の方は目に涙を溜め、泣き顔とうわずった声で話す。
「なぜ⁉︎って、俺は永瀬に聞いたんだ‼︎ 」
「先輩に?何で、先輩が?」
等々、目から涙が溢れ落ちた。
何か、変だ‼︎
話しが噛み合わない!
「ちょっと待て‼︎ また、何か誤解があるんじゃないか?」
「誤解って?」
「取り敢えず、俺の話を聞いてくれ! あの後、俺はミキが居なくなって探した。真琴君の所や優希さんにも電話した。どこにも居なかった。途方に暮れ、最後の最後にまさか⁉︎とは思ったが永瀬に電話した‼︎ ‘ミキは居るけど、泣き疲れて寝てる’ってな‼︎ そう聞かされて……。俺がどれ程ショックを受けたか‼︎ ミキは永瀬を頼ったんだ‼︎と、あの日は永瀬から話を聞いて告白された日だろ?だから永瀬を選んだのか⁉︎と…」
涙を溜めて流す目が大きく見開き、今、初めて聞いたかのように驚いてた。
違うのか⁉︎
永瀬が嘘を?
だが、あの状況を知ってる訳ない永瀬があたかも知ってるような言い方で ‘泣き疲れて寝てる’と言った。
ミキから聞いた……とあの口振りからそう思った
だから……てっきり。
「……先輩…何で、そんな嘘を……」
「嘘⁉︎ 永瀬の所には行ってないのか?だが、永瀬は俺に ‘泣き疲れて寝てる’と言った。あの状況なら、如何にも本当らしく聞こえた……だから…」
「…一緒に帰ろうとタクシーを待たせてたから…そのままタクシーに乗り込んで……マコの所に行こうか迷ったけど……伊織さんが来ると思って…
あの時は会いたくなかったし、言い訳を聞くのも本当の事を聞くのも嫌で1人で考えたかった……その時にタイミング良く先輩からの電話が合って声も震えてたし俺の様子が変だって電話口で解ったのかも……。先輩……優しく色々言ってくれた弱ってた心に染みた……縋ってしまいたくなりそうだった。でも……先輩の優しさ利用して都合良く縋る事は躊躇われた……それに、そんな事したら……伊織さんと一緒だ!って、その時に思って…だから先輩には何も言わずに電話を切った」
俺はミキの話を聞いて、あの時の自分は冷静で居られなかったと反省した。
今なら解る‼︎
ミキがそんな事する訳ない‼︎と。
「そうだったのか。また、俺が悪かった! まんまと永瀬にやられた‼︎ たぶん、その時にミキの様子に気が付いたんだろう、それとミキの性格からもな。だから、俺からの電話にわざと誤解を招くような言い回しをしたんだ。思わせぶりな言い方してな! それに俺はまんまと嵌った。ミキがそんな事をする訳ない!と今なら解る。……言い訳になるが……あとの時は動揺してたし冷静では居られなかったからな。ミキ! 疑うような事言って悪かった‼︎ 本当は帰ってきてくれた事が嬉しかった。でも、心の中で気になってたんだろう。つい、そんな言葉が先に出た! 本当に済まない!」
俺はまた頭を下げた。
こうして話すと少しずつ誤解が解けていく。
やはりこんな事になる前に、とことん話し合うべきだった。
またまた後悔と反省した。
「なぜ、先輩はそんな事を……知らなくて……俺こそ、ごめんなさい! でも、あの場面見た時もショックだったけど……それより、あの言葉の方がショックでした。だから…俺達……終わりなんだ!と……お互い信じられなくなったら、終わりだ!とこの先……やっていけない…上手くいくわけない
……と、今日一日ずっと考えて……」
「ミキ! そんな事言うな‼︎ 色々お互い誤解やら複雑な気持ちはあったかも知れないが、俺はミキを愛してるって気持ちは変わらない‼︎……ミキは?永瀬に聞いたんだろ?今でもミキを想ってる事やアメリカに一緒に連れて行きたい!って……何て…答えた?」
この状況で……ミキの答えを聞くのが……怖い!
俺の心臓はバクバク…いってた。
「……聞きました。別れたと言うか.音信不通になった理由も。先輩には……今でも尊敬する憧れの先輩です!と話しました。でも、それ以上でもそれ以下でも今の俺の気持ちは無いと答えました。それと……俺には凄く大切にしてくれて、俺を1番に考えてくれる恋人が居ます!って。俺の事…自分の家族だ!って言ってくれる人を裏切る事は出来ません!と……俺には勿体ない人ですけど…離れたくないし誰にも渡したくない! その人と居ると幸せなんです‼︎と正直な気持ちを話しました。たぶんもっと色々言ったかも知れないですけど…そう言う事を話したと思います。先輩は最後には納得してくれて ‘ずっと気になってた。そうか、ミキが幸せなら、それが1番良い! 出来れば…俺が幸せにしたかったが……それは俺の勝手な言い分だがな今更、後悔しても遅いが……でも、こうやって話せて良かった。やっと踏ん切りが出来た’ そう言って笑ってくれました。そう言ってたのに…」
格好つけやがって~!と言う気持ちと同じ人を愛した俺には永瀬の気持ちも少しは解る。
ミキには幸せになって欲しい‼︎と、そして幸せにできるのは自分だ!と。
やはり俺と永瀬は似てるのかも知れない。
「そうか……永瀬にそう話したなら……誤解も解けたし……‘だめかも’ とか ‘終わり’とか言うなよ‼︎
俺はミキを離さないしずっと側に居る‼︎ 愛してるんだ!……ミキは?もう、俺を信じてくれないのか?許してはくれないのか?」
頼む‼︎
俺を愛してる!と言ってくれ‼︎
祈る気持ちで心の中で思ってた。
止まってた涙がまた溢れて溜まってた。
そして溢れる涙の雫。
拭おうともせずに俺を見つめた。
「ずっと伊織さんの事は好きです! 愛してます! それは何があっても変わらない! 俺…俺…伊織さんと……離れなきゃいけないのか?と……信じられないなら、信頼関係がないのなら……そう思うと辛くって悲しくって……先輩と音信不通になった時より辛い‼︎」
ミキの悲痛の声に堪らず距離を縮め、直ぐに胸の中に抱いた。
「愛してる! 愛してる! ミキだけだ! 俺の方がミキ無しでは生きていけない! 俺達、ちゃんと話してお互いの気持ちを言い合おう。そして、これからもお互い側に居て支え合おう‼︎」
胸の中でミキは「うん!うん!」と言い泣き出した
ずっと我慢してだんだろう。
暫くミキは泣き続け、俺はミキの頭と背中を撫でミキが泣き止むまでずっとそうしてた。
抱いてるミキからは見えないが、俺も涙を流して居た。
こうして俺の腕の中にミキが居る‼︎
それだけだ充分だった。
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