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第774話

「おはよ~、ミキ!」 「マコ、おはよ~。祐さん! 今日は、宜しくお願いします」 「ああ、乗ったか?」 「ああ、乗った」 「じゃあ、行くか!」 『わぁ~い♪』 日曜日に、俺達4人で祐一の車に乗り横浜に行く事にした。 俺達の事で、祐一や真琴君に散々心配かけ今回も世話になったお礼を兼ねて「どこかで、夕飯でも食べよう。今回、世話になったお礼に俺が奢るから」と、祐一に連絡すると「解った!」と返事がきたが、後から「折角だから、昼過ぎからどこかに4人で遊びたい!ってマコが言うから、そうしないか?」と連絡があった。 別段、予定も無かった俺達は了承し、行き先や時間は祐一達に決めて貰った。 ミキもその方が良かったらしく「4人で出かけるの久しぶり~♪嬉しい~な♪」と喜んでた。 俺は別にどっちでも良かったが……金曜日の夜から日曜日の夕方までイチャイチャ…するつもりで居た俺は少しだけイチャイチャ…する時間が減ったな!と思うだけだった。 ま、今回は俺達の為に色々動いてくれたり心配させたからな。 夕飯ぐらいは、安いもんだ! 祐一の車に乗り込んで出発したが、助手席の真琴君は後部座席に居るミキにずっと話しかけ楽しそうだが……俺とは目も合わせてもくれないし話かけてもくれない。 まだ、怒ってるんだな。 はあ~、ミキの親友でもある真琴君に嫌われるのは…辛い! 横浜へ向かって車を走らせ30分程経った時に、無言で運転してた祐一が真琴君の様子に気が付いたのか?俺の憂鬱な雰囲気を察したのか?突然、話出した。 「マコ、その態度は良くないな。折角、4人で出掛けるってのに。マコがそう言う態度とるなら横浜行くの止めよう。全然、楽しくない!」 祐一に指摘され、真琴君は自分の態度に思い当たる節があるらしく……しゅん!とし俯いた。 「いや、祐一。俺が真琴君に怒られるような事をしたんだ。俺が悪い! 真琴君、悪かった! この通り謝る!」 俺は膝に手をつき頭を下げた。 一応、俺達が話し合い誤解も解け仲直りした事も迷惑掛けた事も謝り、祐一には連絡しておいたが……それでも真琴君には納得いかない事もあったらしい。 それが意図的なのか?無意識なのか?態度に出て居た。 「えっ! マコ、怒ってるの?だったら、俺もごめんね。俺が伊織さんを不安にさせるような事してたから……本当にごめん! だから、機嫌直して!」 ミキは真琴君の態度には気が付かなかったようだ そりゃそうだよな。 何があってもミキの味方である真琴君はミキにはそんな態度取るわけないんだから。 「……ごめんなさい。でも、ミキを傷つけた事が許せなくて……」 「マコ! それは誤解だったって言ったでしょ?もう、大丈夫だから。ね! マコ」 祐一の店での事を話してるんだな。 確かに、あの状況では何も無くても結果的には誤解されミキを傷つけた事には変わりない。 「俺が悪かったんだ! 本当に済まない!」 「……その事もあるけど……1番許せないのは…僕が成宮さんならミキを任せられるって思ってた信頼を裏切られた!って言う事」 俺が思ってるよりも真琴君に信頼されてたのが嬉しかったが、今回の事でその信頼を無くしたか?と思うと焦り気落ちした。 「本当に済まない! もう1度……信頼されるチャンスが欲しい。もう、真琴君の信頼は裏切らない! 頼む!」 「マコ! 俺は伊織さんを信頼してるよ。だから、お願い! 俺の大好きなマコと伊織さんが仲が悪くなるの……嫌だよ」 「マコ、伊織も反省してるし、そもそも何も無かったんだしな。ミキもこう言ってるし、もう良いんじゃないのか?」 俺達3人に言われ、真琴君も思う所があったのか謝ってきた。 「ごめんなさい……ミキと祐さんがそう言うなら でも、成宮さん! 喧嘩とかは迷惑だとは思わないけど……裏切りの行為は、今後絶対に許さないからね! 喧嘩なんかとは話が全然別になるんだから‼︎ それだけは言っておきます‼︎ ミキが良いなら、僕はミキの気持ちを尊重する。今回は水に流す。でも、直ぐには信頼回復までは、いかないからね」 「伊織も解ってるって。ま、これでマコも気が済んだだろうし。この話しは終わり‼︎ これからの時間は楽しく行こうぜ!」 祐一の計らいで、何となくこの話しは終わった。 はあ~、取り敢えずはどうにかなったか。 真琴君も心の中にあった気持ちを露吐した事で、すっきりしただろうし。 今後は真琴君の信頼を取り戻すのは大変だろうな でも、俺は信頼回復する自信はある! ミキを愛し続ければ良いだけだ‼︎ その姿を真琴君に見て貰えば納得してくれるだろうし、信頼回復を取り戻せる‼︎ 良し! 俺も気持ちを切り替えて、今日は楽しく過ごす‼︎ それが迷惑掛けた祐一達への俺の気持ちだ‼︎ その後は少しギクシャクしてたが、時間が経つと笑いも出て雰囲気は良くなった。 それ程、今回の件は祐一と真琴君に心配掛けたって事が重々解った。 そして横浜に着き、コインパーキングに車を置き中華街を見て回り、豚まんやちまき.ごま団子などを食べ歩きした。 この頃には笑顔が溢れ色んな所で写メを撮り、もう以前の4人の雰囲気に戻ってた。 中華街から元町に行きふらふら見て歩き、そして山下公園まで足を運んだ。 俺と祐一は歩き疲れベンチで休んでたが、ミキと真琴君は2人でベイブリッジや行き交う船を見に行った。 俺達もベンチに座りながら、港からの海やベイブリッジを眺めた。 そして電話では話せなかった詳細を祐一に話した 祐一は黙って聞き、そして「良かったな」と一言言った。 口数が少なく寡黙な祐一らしいな!と思った。 でも、祐一が心から俺達の事を心配し、仲直り出来た事を喜んでるのは、ちょっとした表情や仕草で長い付き合いのある俺には解った。 船を指差し何やら楽しそうに話してる2人を俺達は黙って見つめてた。 祐一の眼差しは愛しい人を見る目だった。 たぶん、俺も同じ目でミキを見てたんだろう。

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