「……金曜日の時に、成宮さんには強気な事言いましたが……。もしかして、成宮さんがミキの恋人なんじゃないか？って思い始めた時から……本当は…ミキとは無理だろうなって心の中では思ってました。それまでは……金曜日に話した通り、ミキを探し出して必ず取り戻して見せる‼︎って、自分でも自信はあったんですよ。そして仕事やプライベートでもミキと接するうちに、その気持ちがどんどん強くなってた。相手が成宮さんとはっきり確信してからは……相手が悪いな‼︎ 敵わないな‼︎って……心のどこかで諦めもあった。けど、最後の一縷の望みを掛けてと言う気持ちで居た。あの当時は自分の事しか考えずに……自分勝手な我儘でミキと距離を取った事をずっと後悔してたから…あの時、ミキを離さなければ良かったと言う気持ちが常にあった。そんな後悔をずっと胸に抱いてた。それなら、今の自分ならミキを幸せに出来ると思ってた…今度は後悔したくなかったからだから、自分を奮起させる為にも、金曜日に成宮さんと2人で会った時には強気な言動をするように振る舞ったし煽るような事も言いました。成宮さんの反応も見たかったと言う事もあり、そんな不遜な態度をとりました。すみませんでした! ミキにはっきりと振られて……予測してたし、ある意味納得もしました。成宮さん‼︎ ミキを泣かすような事は絶対しないで下さい! ずっとミキの側に居て支えて下さい! 俺が言える立場じゃないのは重々承知の上です。お願いします‼︎」 そうか。 そんな気持ちで、あの日俺と対峙したのか! 永瀬のミキへの想いが伝わった。 頭では納得してるだろうが、まだ心の中では整理できてないんだろうな。 でも、永瀬もミキに振られた事で、少しずつ前に進めるだろう……多少の時間は掛かるかも知れんがな。 「任せておけ‼︎ 俺はミキと初めて出会った時に、一目惚れだ! 俺の者にしたい! 必ず俺の者にする‼︎と、そんな気持ちにさせられたのは、ミキが初めてだった。ミキの事を知れば知る程、益々惹かれていった。今じゃ骨の髄まで愛してる‼︎ 愛しくって.愛しくって堪らない。完全に骨抜きにされてるよ。何もしなくても、ミキが側に居てくれるだけで俺は幸せなんだ‼︎ 俺が唯一情けない所や弱さを見せられるのもミキしか居ない! ミキの ‘伊織さん’ って呼ぶ声や笑い顔.困った顔.怒った顔.拗ねてる顔や態度.甘えてくる所.優柔不断なくせにいざって言うと潔い所や倹約家な所と家庭的な所…全てが愛おしく失いたくない‼︎ それ程大切なんだ! 永瀬に言われたよな？‘俺がミキの最初の男だ! 忘れられる訳ない!’ってな。それじゃあ、逆に俺も宣言しておくよ‼︎ 俺がミキの“最後の男”になる‼︎ 意味解るよな⁉︎ もう離さない.離れないって事だ! 誰も俺達の仲を引き裂く事は出来ないし.させない‼︎ ミキを幸せにしてやる、いや2人で幸せになる‼︎ ミキは愛に飢えてる所があるが、俺の溢れる愛を注ぎ満たしてやる‼︎ 俺の一生涯掛けてミキの笑顔を守る‼︎ だから、安心して俺に任せろ‼︎」 少しキザな事も言ったが、俺の本当の気持ちだ! あの時は永瀬の決意表明を聞き、自分の中で多少の不安もあって強くは言えなかった。 だが、俺達の絆がより一層深くなった事で、永瀬に印籠を渡し完全に諦めて貰う為にも力強く自信持って言い切った。 これが永瀬に対しての俺の決意表明だ‼︎ 永瀬は神妙な面持ちで聞き、少し驚いた顔も時折見せてた。 「……少し驚きました。成宮さんがそこまで言うなんて。でも、安心しました‼︎ 成宮さんの話を聞いて、これでミキの事はやっと諦められる。自分でもやれる事はやったし、ミキと成宮さんの気持ちも解って! これからは唯の良き先輩になります‼︎」 俺の気持ちを解ってくれたか。 「ありがとう。永瀬とはミキ絡みじゃなく会いたかった。出来れば、部下に欲しいと思ってた」 「それは嬉しい言葉です。俺も仕事振りを拝見して尊敬できる人だと思ってました。だからこそ、ミキの相手は貴方しか居ないと思った。ミキも素晴らしい人に出会えて良かったと思ってます。ミキの事、くれぐれも宜しくお願いします!」 「ああ、任せてくれ! 永瀬にもきっと良い人が現れる。幸せになれ!」 少し上から目線だったかも知れないが、永瀬にもこれで前に進んで欲しい、そして幸せになって欲しかった。 「ありがとうございます」 話しが済んだ所で、さっきから少し離れた所で俺達の話が終わるのを待ってたミキを手招きし呼び寄せた。 コーヒーが入った袋を持ち歩いて来た。 「はい、コーヒーです。熱いから、気を付けて下さいね」 袋から取り出し、何も聞かずに俺と永瀬に手渡した。 俺はコーヒーを受け取り「折角だから、少しそこら辺を見ながら飛行機でも見てくる。5分だけ席外すな」そう言って2人から離れた。 ほんの少しだけ、永瀬にもきちんと別れる機会を与えた。 武士の情けだ‼︎ その方が蟠りも無く2人共終えられると思った。