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第780話
永瀬を見送り、空港を出て車を走らせてた。
「良し! どこかで昼飯食べて手拭い業社の所に行くか!」
「はい」
お互い永瀬と何を話したか?は、聞かなかったし話さなかった。
でも……お互いの顔を見れば、すっきりとした顔をしてた事で何となく解る。
俺は永瀬に決意表明したが、ミキも最後の別れを満足いく形で終わらせたんだろう。
これで……本当に終わった‼︎
今回の事で……ミキを奪われるかも…と、不安な気持ちが露見した。
ま、相手が永瀬だったからだとは思うが……これから先も、どんな奴がミキの前に現れるか解らない。
俺も自分を磨き、ミキの愛情が薄れる事のないようにしないとな。
今回は、自分の情けなさや弱さが不安を招いた。
色々勉強させられた‼︎
これからは、また強引で強気な俺でいく!
その方が俺らしい‼︎
そして酒に逃げる事は止めようと誓った‼︎
幾ら、酒に強いと自負して居ても精神状態が不安な時は飲んでも飲んでも自分では酔って無いと思ったが…。
結局、酔ってあんな事態になった。
あれは俺の中でも汚点だ‼︎
酒に逃げた弱い自分……今、考えても情けない‼︎
そして未遂で終わったが、もし万が一あのまま流されて身を委ねて成るようになってたら……ミキを失ってた。
そう思うとゾッとした‼︎
今更だが反省してる。
運転しながら、今回の事を考えてた。
助手席のミキはカチカチ……スマホを操作してた
「永瀬にか?」
思ってた事が口に出てた。
今さっき別れたばかりだと言うのに……嫉妬してしまう。
「あっ! はい」
永瀬も納得してたし、ミキの気持ちも解ってるがそれでもやはり…な。
気持ちの上では…そんな遣り取りを見るのは、まだ複雑だ。
少し時間が必要か。
「先輩に、LINEしました」
そしてミキはスマホ画面を見ながら読み上げた。
「これが最後のLINEになります。これからは会社に連絡して下さいね。嫉妬深い人が居るので(笑)
やはり不安にはさせたくないので。ごめんなさい!
この1ヶ月ちょっとでしたけど…学生時代に戻ったようで楽しかったですし懐かしかった! 先輩と再会できて良かったです! 今後も先輩にとって可愛い後輩で在りたいです! さっきも話したけど、これからも俺にとっては、ずっと憧れの先輩です何かあれば微力ながら力になりますし、応援してます‼︎ 先輩、元気で‼︎ ありがと‼︎ とLINEしました」
俺の為に⁉︎
ミキの俺に対して誠実であろうとする気持ちが凄く嬉しかった。
「ありがとう。だが……良いのか?」
「はい! 先輩も解ってくれます! それに大切な人を不安にさせたままで居る方が嫌です‼︎」
そう言って連絡先から電話番号もアドレス.LINEも永瀬に関するもの全て削除して見せた。
「そこまでしなくても…」
「俺のケジメです‼︎ 俺…弱い所あるから……残してると、連絡したくなるかも知れないし…逃げ道を塞ぎました! でも、連絡しなくなったからって俺の大学の先輩には変わりありません。また、日本に来た時や会社でも、先輩方の飲み会に誘われたら可愛い後輩として会う事もあります。それは許して下さいね」
ま、殆ど無いだろうが。
日本に来る事も年に1回か多くても2回程だと永瀬が言ってたし。
そこまで束縛する事はできない。
そしてミキの潔いケジメに対して俺は信用してる‼︎
「解った! だが、連絡あった時には必ず俺に連絡する事! そして真琴君も必ず一緒に行く事! これは約束な」
「はい! ……伊織さんって、マコへの信頼が凄いですね……少し嫉妬します」
拗ねるミキが可愛い‼︎
こう言う素直な気持ちを話す事も、俺には愛されてると思い起こせる。
「そりゃそうだ‼︎ ミキに関しては、真琴君が1番のナイト(騎士)だからな。俺が居ない時は、真琴君がミキを守ってくれる」
「俺……守られてばかりですね」
「ミキは優し過ぎて…それで流されてしまう危うい所があるからな。恋愛事じゃなくても騙されるんじゃないか?って思うが……芯はしっかりしてるし大丈夫だと思うが、俺達が勝手に心配して守りたいんだ。俺も真琴君もミキが好きだからこそだ。それは解ってくれるよな?」
「解ってます。信用されて無いとか思ってません流されやすい所もあるのも自分でも解りますから……今後共、宜しくお願いします」
「俺の束縛は凄いぞ‼︎ ミキ限定だけどな。覚悟しろよ‼︎」
「望む所です‼︎」
くっくっくっくっ………
クスクスクスクス……
車中では笑いが漏れた。
色々あったが、結果的により絆が深くなりお互いの気持ちがより解った。
永瀬もそのうち良い人と出会うだろう。
なんせ、俺に似てるからな。
ミキには及ばずとも綺麗で可愛いらしい娘を捕まえるだろうな。
そして、子供を作り温かい家庭を築くだろう。
元々、男に興味無い永瀬には、そんな未来が見えるしそうなって欲しい。
心から永瀬の一刻も早い幸せを祈ってる‼︎
良い知らせを待ってる‼︎
たぶん、そこで初めて心の底からホッとするんだろうな。
永瀬に幸あれ‼︎
~~後日談~~
その後も永瀬達のフェスは順調に大きくなり、名も知られるようになった。
アメリカ支社からの話しだと、グッズなどの商品販売の話も毎年少しずつであるが増えていってるそうだ。
数年の期間をかけ念願のフェスを大きくしていった永瀬の仕事振りに遠い日本から応援と感心してた。
大学時代の交流会と称して、永瀬が日本に帰国した時には永瀬の同級生達と真琴君を交え年に1回程、飲み会を開催しミキも会って居た。
その時も、ミキは永瀬の頑張りを聞いて自分も頑張らないと奮起し喜び必ず俺に報告してくれる。
そして、数年後には永瀬から恋人ができたと話し惚気てたと、ミキも嬉しそうに俺に話してくれた
そのうちに良い報告が本当に来そうだな。
ミキは知らないだろうが、実は俺には年に何回も仕事の事などで連絡がきてた。
悩みを聞いたりアドバイスしたりと交流は今でもある。
ミキには大学の先輩.俺にとっては今では仕事仲間と言う所だな。
そう言う関係になれたのは、この時からまた先の話しだった。
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