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第781話 番外編

………田口視線……… 「良し、皆んな集まったな」 昨日の朝礼の時に「明日の午後に、会議室で打ち合わせする。時間空けておくように」と言われ、今、会議室に香坂.佐藤と課長が来るまで座って待ってた。 何の打合せかも聞いてなかったが……。 今までプロジェクトなどある場合は事前に俺に一言あったが……。 永瀬さんの記念品企画は終わってるし……何の打合せだろう。 だが、俺はワクワク…して居た。 成宮課長が赴任してから2年以上経つが、この2年間は仕事が充実し面白くて仕方ない。 俺は成宮課長を師と仰いでいる位に尊敬してる。 これまでも仕事の出来る先輩は何人かは居たが、課長には及ばない。 仕事も早い.冷静な判断と対処.的確なアドバイス……etc、課長は仕事の面でも男としても信頼と尊敬してる。 課長の下で働ける事に喜びを感じ、自分も成長してると自負してる。 仕事では冷静で厳しい面もあるが、偶の飲み会の時に彼女にベタ惚れで惚気話を洩らす時もある。 いや、口を滑らせたって感じか。 プライベートはなかなか明かさない課長のそんな所が身近に感じたりもする。 今日の打合せも楽しみだ! 〜会議室〜 「じゃあ、佐藤頼むな!」 佐藤⁉︎ 何で、佐藤⁉︎ 「はい! それでは資料を配ります。その資料に沿って話していきます」 佐藤が資料を配り話し始めた。 「資料の表紙にあるように『イベント等の記念品.粗品個別注文』が、今回の打合せとなります。前回、IP企画さんからの仕事からヒントを得たものです。アメリカ支社のHPにこの企画と発注書を載せwebや電話注文をアメリカ支社で行い→うちの課に発注→業社発注→日本の配送センターからアメリカ支社宛荷物に載せ送ると言う流れになります。電話確認で取り敢えず20社程の業社に話し、この企画に賛同して頂きました。資料3P目がその賛同業社と品物.数(ロット).在庫有無.納期です。業社によっては在庫としてある物や倉庫にある物や今回の企画の為に新たに製作してくれる所もあります。例えば……うちの京都工場からは和シュシユです。籠バックの為にシュシユが在庫として有りますから、それを送って貰う。竹細工の丈とんぼも在庫ありますし、手拭い業社にはネーム等入れて貰う場合は納期を2週間程貰うとか.直ぐに対応出来る物や納期を頂く物も有りますので一覧にしてあります。あとはネーム等出来る出来ないも合わせて載せてあります。それからoxoxox……oxoxox ox……oxoxox………」 佐藤が堂々と資料に沿って話すのを聞きながら、俺は内心驚いて居た。 佐藤が? これを? あの佐藤が? パラパラ……。 資料を捲りながら業社への根回しと一覧の内容.発注からアメリカ支社への荷物送るまでと完璧な資料だった。 「 oxoxox……と言う事で、これからこの企画を進めていきます。当分は、私がアメリカ支社からの発注を管理し業社発注をかけます。田口さんと香坂には発注内容はメールで連絡しますから、確認とフォローお願いします。朝と夕方にアメリカ支社からの発注確認しますが、私が居ない時は課長と上野さんが確認してくれる事になってます。後々は、上野さんに任せる予定ですが、田口さんも香坂も協力お願いします」 「解った!」 「はい!」 「良し! 良く頑張ったな、佐藤。良いプレゼンだったぞ」 「ありがとうございます」 課長の褒め言葉に照れて席に座る佐藤は少し誇らしげだった。 その後は課長が佐藤の話のフォローをし進行した 「まあ、最初はそんなに発注はないだろうが、何もしないより何かやった方が良いだろうし、折角永瀬さんのあの企画で得た事を使わないのは勿体ない。それに業社によっては在庫整理も出来るし眠ってた商品も一掃できて良んじゃないかと思う 記念品.粗品と言う事で、大ががりな商品は必要無い。例えば…さっき佐藤が言ってた丈とんぼ.シュシユ.手拭いやけん玉.書.かんざし.湯呑み.風鈴.等…色々あるが、日本向けに在庫としてある物をアメリカに記念品.粗品として送ると言う企画だな。イベント会社.学校.会社.ボランティア団体.サークル等にアメリカ支社から近場から営業かけて貰う予定だ。直ぐには発注来ないかも知れないが、長い目で見ていこうと思う。クチコミやHPなどで少しずつ需要が増えていけば御の字だ。利益も薄利かも知れないが、永瀬さんのフェス同様に先に何らかの形で他の仕事に繋がり、それによってうちの会社の商品を手にとって貰いデパートやスーパーなどでの購入に繋がるようになれば、またそれはそれでアメリカ支社からの発注に繋がるだろうと言う考えもある」 なる程……さすが課長だ! 色々、先を考えてる‼︎ こう言う視野の広さと考え方が本当に凄い所だ! 「何か、質問や要望はあるか?」 完璧な資料の前に俺も香坂も何も無かった。 「特には…。私と香坂はメールで確認し、納期前に業社に確認すれば良いんでしょうか?」 「そうだな。そのフォローは頼む!」 「解りました」 「香坂は?」 「大丈夫です!」 「そうか。それでだ、12月にはイベント事が多いと思う。それに合わせて11月から発注出来る状態にする。アメリカ支社にもその旨で話してある。皆んなもそのつもりで頼む!」 『はい!』 「何かあれば、俺か佐藤に聞いてくれ。じゃあ、会議は以上!」 『はい!』 会議は終わったが、そろそろ就業時間も終了間際と言う事もあり、その場に皆んな留まり雑談が始まった。 パラパラ……資料を見て、改めてこれを佐藤が1人で?と感心した。 「佐藤。これ、お前1人で?」 「一応。でも、課長に手直しとかアドバイス貰ったりしましたし……何度かやり直しも言われました」 「それでも凄いです! 佐藤さん、頑張りましたね」 「へへへ……。俺なりには頑張ったつもり! 途中挫けそうになったけど。田口さんも香坂も永瀬さんの仕事の方で忙しそうだったから、助けて! なんて言えなかった。その分、課長に助けて貰ったけど……」 そうか! 俺と香坂が永瀬さんの仕事してる最中に……。 佐藤はあまり関わらないと思ったが……課長は水面下で佐藤にこの仕事をさせてたのか。 「いや、課長に手伝って貰ったとしても1人で良く頑張った! 偉いぞ‼︎ 良くやったな‼︎」 俺は佐藤を褒めた。 俺からあまり仕事で褒められる事が無い佐藤も喜びいっぱいの顔で少し誇らしげだった。 その姿に……俺も佐藤の成長が嬉しいのと寂しさも感じてた。 俺に頼り叱られながらも一所懸命やってた佐藤はどこか不器用だが、それでも人柄とコミュニケーション能力が長けてる事もあり業社や会社の人達に可愛いがられてた。 俺も可愛いがってたが……もう、あまり頼られる事も無くなっていくんだろうなと寂しく感じた。 それでも一からやった仕事で佐藤の自信に繋がり これからの成長に繋がるなら、それは嬉しい事だ! 少し寂しいのと凄く嬉しい気持ちだが、佐藤の頑張りを今日は佐藤を褒めてやろう‼︎ 「佐藤は本当に良く頑張った。何度も俺の所に来てたしな。少しアドバイスするだけで的確にやってた。まあ、今回は田口や香坂に甘えられない状況だし、自分でやるしかないと解ってたんだろう 佐藤は柔軟な考えがあって面白い視点から話すし相手との距離感も良いし聞き上手だしな。それは佐藤の強味だ。一から自分でやり通す仕事が出来れば、これからもっと成長していくだろう。これからも頑張れよ!」 課長の話しを聞いて、佐藤は嬉しさ全開って顔で元気良く「はい!」と返事してた。 そうか! 課長は佐藤の成長の為にも1人でやらせたのか。 俺と香坂が忙しくしてる事で、佐藤は助けて貰えずやるしか無い状況を作ったって事……か。 佐藤の成長を妨げてたのは……俺かも知れないな 頼ってくる佐藤をついつい可愛いからと……。 俺も少し反省した、そして課長の部下を育てる気持ちが解り、やはり尊敬する上司だ!と更に信頼と尊敬の念でいっぱいになった。 「良し! 今日は焼肉奢ってやる‼︎」 「えっ! 良いですか?ラッキー♪」 焼肉位で、こんなに喜ぶ佐藤はやはり可愛い。 頑張った佐藤に、ご褒美だ。 「香坂も行かないか?奢ってやるぞ?」 「ん~~…折角だから行きますけど……自分の分は払いますから」 「佐藤に奢って香坂に奢らないわけ無いだろう。良いから、今日位は先輩を立てろって」 「ん~でも………じゃあ……お願いします」 「課長も行きませんか?」 来るかどうかは別として、この流れで課長も誘わない訳にはいかない。 「そうだな。部下に奢られるのも悪くないか」 そう言って笑う課長も行くらしい。 そして課に戻り少し仕事をし、4人で焼肉屋に行った。 佐藤を褒めちぎり、そして雑談し楽しく過ごした 結局、会計の際には課長が出してくれた。 課長は最初からそのつもりだったようだ。 格好良すぎだろ! やっぱ、そう言う所も男としても尊敬出来る! 焼肉屋を出て、俺達と帰る方向が違う課長と香坂とは店の前で分かれた。 課長達は飲むといつもタクシーで帰ってるようだが、俺と佐藤は電車があるうちは電車で帰る事にしてた。 「翔。今日、このまま泊まれよ」 佐藤に小声で話すと、酒の所為か?それとも照れてるのか?頬が赤い。 「うん!」 蔓延の笑みで返事する佐藤が可愛い‼︎ やはり仕事場でも後輩としても可愛いし恋人としても可愛いく愛おしい。 さてと…夏期休暇でプール行った時に女の子に逆ナンされデレデレしてた事は、そろそろ不問にしてやろうかな。 偶に、その事でチクリチクリ…嫌味言ったしな。 流石に、反省もしてたようだし。 こいつ本当にフラフラ…して、危なかっしいんだよな。 仕事は一人前になれた(?)かも知れねーが、恋人としては……やはりまだまだ目が離せない‼︎ 今日は褒めて褒めて…そして優しく抱いてやろう‼︎ 頑張ったな‼︎ 翔‼︎

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