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第786話

はあ~、今日も仕事終わったが……帰るのに気分が憂鬱だ‼︎ それも、あの三田の所為だ! だが、帰らないわけにはいかない! 愛しいミキが待ってるし。 いや、もしかして……昨日の今日だ! はっきり断った事で、諦めて待伏せはないかも知れない! 頼む! 居るなよ‼︎ 会社を出て、駅に近づくに連れ足が重くなりゆっくり歩き駅付近を見渡せる所まで来て三田の姿があるか確認した。 ……はあ~……居た‼︎ 面倒だな‼︎ 無視して通り過ぎても声を掛けてくるだろうし… 俺は見つからないように遠回りし、駅の反対口から駅構内に入り直ぐに改札口を抜け電車に乗った はあ~。 何で、俺がこんなこそこそとしなきゃなんねーんだ! 朝は三田も会社があるから待伏せは無いから気が楽だが帰りは……。 昨日の今日で、良く待伏せ出来るよな⁉︎ すんげぇ~神経だ‼︎ また待伏せしてるか解んねーけど、暫く駅の反対口から駅に入るか?それとも車で通勤するか?だな。 それから三田が駅で待伏せしてようがしてまいが関わらずに、駅の反対口から駅に入ったり車での通勤も1回程したり、俺が三田を避けてる行動をとった事で三田本人も解るだろうと思ってた。 そんな事を1週間続け、やっと週末になり気分を変える為にも日曜日にドライブし少し遠出をした 山の方に行き紅葉を見て回り地元の物を食べたりと、この時には三田の事も忘れてミキと楽しく過ごし、木々が色付き赤.オレンジ.黄色と色鮮やかな風景に心が洗われるような気がした。 美しい風景と愛する人……癒されるひと時だ。 そして今年も後僅かなんだな~と、しみじみ実感した。 そんな楽しい週末を過ごし、また1週間が始まる月曜日に気分が憂鬱になりながらも会社に向かった。 朝は良いんだよな。 問題は帰りだ! 先週は、あの手この手で何とか三田をスルーしたが……。 あの日以来、いつもの出入口から駅に入って無い事もあり、三田が待ち伏せして居たのかどうかも解らないが……。 今日の帰りに駅付近を見て見るか⁉︎ 避けられてるのが解り諦めて待伏せは止めたかも知れないし……1度、確認するか。 まだ、待伏せしてるようなら反対口から駅に入れば良いし。 俺は帰りに様子を見に行く事に決めた! 朝の朝礼が終わりメールを見ると、アメリカ支社からのメールがあった。 内容は、初の粗品.記念品の注文受注!とあった。 日本人学校の生徒に、授業で日本の伝承遊びの授業に使うと言う事でけん玉.カルタの注文だった。 けん玉は60.カルタ10と少量だが、それでも初の注文で嬉しかった! メールでは、上級学年の授業でコマや百人一首も検討してるとあった。 次に、繋がる注文だ! 少しずつでも口コミやSNSで広がってくれれば… 生徒達がけん玉やカルタで遊んでる姿をSNSで発信してくれないかなぁ~と淡い期待をしながら、佐藤を呼んだ。 「佐藤、アメリカ支社からメールあったぞ!」 「私の所にもメールで受注の確認しました!」 佐藤も嬉しさを隠しきれないって感じだ。 「直ぐには大量注文はないと思ってコツコツ…やるしかないが、その内認知されれば大量注文に繋がると思って地道に長い目でやろうな。取り敢えず一安心だ。私の方からもアメリカ支社に連絡入れて、もっと営業活動して貰うように話すつもりだ」 「はい! 当初からそのつもりでしたので焦らずにやります。でも、嬉しいです‼︎ 早速、業社に注文依頼し納期確認しアメリカ支社に連絡します」 「ん、頼むな!」 佐藤は一礼し自席に戻ると、田口とミキからも激励を受け照れながらも嬉しそうだった。 初めて自分で最初からやり抜いた仕事で、初の注文に嬉しさと益々やる気も出るだろう。 これで佐藤も仕事の面白さが解って、これからもっと成長していくはずだ! 週初めに良い事があったな。 高揚した気持ちのままアメリカ支社に連絡し、良い気分で仕事を終えた日だった。 帰るとなった段階で三田の事を思い出した。 はあ~! 朝から良い事があったから忘れてたが……この時間が憂鬱になる。 でも、帰らないとな。 朝、決めたように駅付近を確認する事にし会社を出た。 駅から離れた所から見回した。 ……居ない⁉︎ 良く見回したが、三田の姿は無かった‼︎ よっしゃ~! 俺はそのままいつも通りに駅に向かった。 どこからか声が掛かるんじゃないか?と、少し警戒したが大丈夫だった。 やはり駅口を変えたり車で通勤した事が功を奏したんだな! 俺の作戦勝ちか⁉︎ 諦めてくれた!と胸を撫で下ろし憂鬱だった気分も晴れ晴れした。 これで以前の日常に戻る‼︎ あ~、疲れた1週間だった! これで平穏な日常になると思ってたが…そう甘くなかった。

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