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第792話
ミキを乗せ車で龍臣の実家に着いた。
立派な門を通り敷地内に入ると、広い敷地内に大きな屋敷が見えた。
若い金髪の男が誘導し駐車場に車を止め荷物を持ち降りた。
「こちらです」
「悪いな」
金髪男の後を、ミキと2人で着いて行く。
「伊織さん、凄い大きなお家ですね」
「お家って言うより屋敷だな。門も高いし長かったな。監視カメラもあっちこっち付いてる。セキュリティはしっかりしてるな。これなら安心だ!」
「なんか気後れしちゃうな。あまりにも凄過ぎて」
「まあ、1週間程度だ。我慢、我慢! それより、もう、体の方は良いのか?」
昨日は昼から盛り、また直ぐに欲しくなり枯れるまで散々ヤリまくった。
お陰でって言うか.やはりミキはベットから起きれず昼過ぎまでベットの住人になった。
今回は、あまり文句も言われず済んだ。
ミキも、この1週間離れ離れになる俺の心情を理解してくれてたんだと思う。
それか……ミキの方も離れ難かったのかもな。
今回は大目に見てくれたって事だな。
午後には何とか動けるようになり荷物の用意をしさて、出るか?と思ったら、ミキはキッチンで料理を始めた。
ミキが居ない間の俺の飯を考え、シチューを多めに作ってくれ冷蔵庫に入れ、ご飯も小分けにし冷凍庫に仕舞う。
俺の飯の事を考え、少しでも……と言うミキの気遣いだ。
「少しの間、不自由掛けますけど…」
「ありがとう。ミキが作ってくれるシチューは美味いからな。助かる」
ミキ特製シチューはじゃがいもの代わりにさつま芋が入って甘くホワイトソースと良く合う。
俺の好きな1品でもある。
ミキの体調や俺の食事の事やらで部屋を出るのが遅くなり夕方近かった。
離れ難く、ついついイチャイチャしたのも原因の1つでもあるが……。
龍臣と優希さんだったら解ってくれるだろう!
玄関で、優希さんが待って居た。
「いらっしゃい」
『お邪魔します』
玄関も広く、そこから長い廊下が見えた。
すげぇ~な。
「さっ! 上がって。龍臣もお義父さんやお義母さんと居間にいるから。一応、一通りは話してあるから安心して」
「有難い」
「すみません。何から何までお世話になります」
「いいの.いいの。美樹君は遠慮なくゆっくりすれば良いからね」
「はい」
長い廊下からは日本庭園らしき庭が広がり、景色は素晴らしかった。
「凄い! お庭ですね」
「俺もそう思ってた。屋敷も凄いが敷地も広いな」
俺達の会話を聞いてた優希さんが不思議そうに話出した。
「あれ、成宮は初めて?学生の時は来たことないの?仲良かったでしょ?」
「実家に来たのは、これが初めてだ。最寄り駅とかまでなら来た事もあったけど。龍臣は俺達を実家には近づけさせなかったからな」
「そっか~。龍らしいね」
学生の時は、まだ会社組織ではなく極道家業と言う事もあり、龍臣は決して俺達を実家に近寄らせなかった。
それは龍臣の優しさと俺達の前では普通の人間として関わりたいと言う思いからだと俺は感じてた
優希さんも龍臣の気持ちに気が付いてたようだった。
「ここに龍もお義父さん.お義母さんも居るから。
美樹君、緊張しなくても良いからね。凄く良い人達だから。成宮と美樹君、連れて来たよ~」
襖が開かれたが、そこは洋間になっておりソファに龍臣とご両親が座って雑談してた。
「よっ! やっと来たか」
「悪い、遅くなった」
「どうせ、離れられなくって遅くなったんだろ?」
「あながち間違ってないな」
ニヤッと笑って話すと龍臣も直ぐに解ったらしくニヤニヤ…してた。
「バカな事言ってないで。ほら、座って.座って」
優希さんが龍臣の隣に座り、俺とミキは空いてるソファに並んで座った。
優希さんが龍臣の両親を紹介してくれ、俺達の事も紹介してくれた。
「話は龍臣から聞いてる。部屋はどうせ余ってるんだから、ゆっくりして行きなさい」
「そうよ、遠慮しないでね」
「ありがとうございます。暫く、お世話になります」
「ご迷惑お掛けします」
「母さん、健太と良二を呼んできなさい」
直ぐに、叔母さんは呼びに行き若い2人を連れて来た。
座る所がなく2人は立って居た。
「こっちが中川健太で、こっちが吉沢良二よ。2人共18歳でうちで面倒見てるから。仲良くしてね」
「中川健太です。宜しく頼みます」
「吉沢良二です。宜しくです」
健太は金髪でさっき駐車場で会った男で、良二は赤髪の男だった。
若いって言うか.柄が悪いな。
この屋敷で、ミキと一緒に生活するのか?
心配だ!
「成宮伊織です。こちらが香坂美樹です。暫く、お世話になります」
一応、2人に挨拶し、ミキも2人に向かって挨拶した。
「香坂美樹です。暫くの間ですが、宜しくお願いします」
ミキの姿をマジマジと見て、2人共ポーっと見惚れてた。
「健太.良二! 幾ら、美樹君が美人だからって、そんなに見ないの。美樹君は成宮の恋人だからね」
「伊織は妬きもち焼きで嫉妬深いからな」
「あのぉ~、一応、聞きますけど……男ですよね?」
「こんな美人でも、れっきとした男!」
龍臣がそう話すと、残念そうな顔をした2人を俺は見逃さなかった。
「男か~、残念! めっちゃタイプなのに~」
「女なら……。マジ、残念」
心底残念がる2人は男には興味は無いようだが…心配だ!
「お前達! ミキに手を出したら、ただじゃおかねー!」
一応、鍵は刺して置くに限る。
さっきまで礼儀正しかった俺の豹変振りに、龍臣の両親はポカンっとしてた。
そして目の端では、龍臣と優希さんが笑ってた。
「伊織さん! 改めて、健太さん.良二さん、宜しくお願いします」
「健太さんはよして下さい。俺の方が年下なんで健太って呼んで下さい」
「俺も良二で!」
「でも……。じゃあ、改めて健太君.良二君、宜しくね」
にっこり微笑まれ、ミキの笑顔に見惚れる2人はハッとなり、直ぐに背筋を正し『こちらこそ、宜しくお願いします‼︎』と元気良く答えた。
そして2人は挨拶も済んだと言う事で部屋を出て行った。
「美樹君が来てくれて、何だか家も華やかになった気がするわ」
「健太も良二も若い人が来て喜んでるだろう」
龍臣の両親はミキを気に入ったようだ。
「叔父さん.叔母さん! また、無理言うようで悪んだけど。ミキの部屋は出来るだけ叔父さん達の近くで、鍵付きの部屋が良いんだけど」
「それなら尊が使ってた部屋がわし達の隣だからそこを使えば良い。鍵も付いてるし。8畳程の狭い部屋だが我慢してくれ」
「そんな充分です。ありがとうございます」
「無理言って悪い! ありがとうございます」
叔父さん達はにこにこ笑ってるが、また目の端で龍臣達が笑いを堪えてた、いや笑ってたな。
それから叔父さん達を交え仕事の事や世間話をし交流を深めた。
叔父さん達は龍臣の学生の頃の話を聞きたがり、龍臣は嫌そうだったが俺と優希さんとで話して聞かせた。
もちろん、俺も優希さんもヤバい話は暗黙の了解で話さず、学校行事やクラスの事でのバカ騒ぎし楽しかった話をした。
叔父さん達は嬉しそうに聞いてた。
ミキも笑顔で聞いてた。
叔父さん達のその姿を見て、学生時代に龍臣に何て言われようが実家に遊びに来れば良かったと後悔した。
今後はこれを機会に、ちょくちょくミキと遊びに来ようと思った。
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