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第798話
「やっと素直になったわね。結構、頑張ったわね」
ニヤッと嘲笑う顔が醜かった。
その顔を見て、ほんの少しの理性が残ってたらしい俺は差し出した手で四つん這いでにじり寄って来る三田を思いっきり突き飛ばした‼︎
「キャ~~! 何するのよ‼︎」
辛うじてベットから落ちないで済んだらしい。
「このまま苦しくても辛くても、お前とヤルよりマシだ‼︎」
俺は前屈みで逃げるようにベットを下り、そのままトイレに籠城した。
ガチャッ‼︎
鍵を掛け、洋式トイレの便座にそのまま座り、あそこを握り締めたまま前屈みで項垂れてた。
ダンッ! ダンッ!……ダンッ!
「出て来なさいよ‼︎ いつまでもそこに居られないでしょう?もう限界なんでしょ?意地張らない方があなたの為よ。折角、私が楽にしてあげるって言ってるのに‼︎ また、私をコケにするの⁉︎」
「………うっ……はぁはぁ…」
三田はドアの外で喚いてるが無視だ‼︎
俺は直ぐにスマホを出し焦る手で龍臣に電話した
♪♪♪♪……♪♪♪♪……♪♪♪♪……
龍臣、出てくれ! 頼む!
優希さんに電話を掛け直そう。
切ろうとした時に、龍臣がやっと電話に出た。
「龍臣‼︎ 助けてくれ‼︎ あのクソ女! 薬盛りやがった‼︎……くっ!……はぁはぁはぁ…」
「伊織‼︎ しっかりしろよ‼︎ 直ぐに助けに行く‼︎ 少しの間、待ってろ‼︎ 美樹君の事でも考えて気を紛らすんだ‼︎ 良いな⁉︎」
「……解った……頑張って…みる。はぁはぁはぁ……早く来て…くれ……」
「解った‼︎ しっかりしろよ‼︎」
龍臣はそう言って電話を切った。
来てくれるって言ってた‼︎
もう少しの辛抱だ‼︎
ダンッ! ダンッ! ダンッ!……
相変わらずトイレの外で三田は俺に対して暴言.罵倒し騒いでた。
「うるせー‼︎」
言い放ったが、更に悪化し暴言や罵倒が増した。
体の欲求は益々強くなる一方で、龍臣と連絡取れた事でもう少しだ‼︎と我慢する気持ちも出てきたが、体のの熱さと勃起してるあそこは痛い程で、更に脂汗が出る。
もう少しだ‼︎
1人トイレに篭城し便座に座り、あそこを握り締めてる自分は滑稽で情けなくなるが……あの時、もう体の欲求に耐え切れず目の前の女を抱かなくて、本当に良かった‼︎
あの時、三田が嘲笑うような薄汚いゲスな笑い方をしなかったら……。
そして……「……っ!酷い‼︎」と、前に祐一の店で誤解された時のミキの顔がフラッシュバックした事で思い止まった……だが……一瞬でも、自分の欲求に負けミキを裏切ろうとした。
今度は、その事で何度も懺悔する気持ちが強くなった。
ああ……俺は……だめな男だ‼︎
ミキを一瞬でも裏切ろうとした……いや、今もそうだが……あの時には、出して楽になりたい‼︎それしか考えられなかった。
ミキの存在も……頭に無かった。
自分が許せない!
ミキに対して…顔向けできない!
悔しさとあんなクソ女にしてやられた自分の事が……情けない! 恥だ!
また…急に、体の欲求が増してきた。
くそぉ~‼︎
少しは考えられてた頭が、また朦朧とし出す事しか考えられなくなってきた。
俺は人間じゃなく今の俺は…猿だ‼︎ 獣だ‼︎
だが、耐えろ‼︎耐えろ‼︎……出したい‼︎出したい‼︎…楽になりたい‼︎……耐えろ‼︎……ループに陥った。
龍臣が助けに来る!と言ってから凄く長く感じてた
あそこをギュッと握り耐え脂汗を手で拭いジッと丸くなりやり過ごす。
本当はこのまま扱いて出してしまいたい!
だが、1度で済むわけがない。
快感と解放を知った体はもうどうにもならないかも知れないとそう思うとジッと耐える事しか出来なかった。
龍臣! ミキ!……助けてくれ!
拷問にも近く長く感じた時間。
「誰⁉︎ あんた達⁉︎ 何しに来たのよ‼︎ 出てって‼︎」
三田の叫ぶ声がし、トイレの外が騒がしい。
「健太! 良二! その女をあっちに連れて行け‼︎」
『はい』
「何すんのよ‼︎ 何、勝手に入って来てんのよ‼︎ 嫌! 離してよ‼︎」
朦朧とした頭で、少しずつ叫ぶ三田の声が遠のいていく気がした。
ダンッ! ダンッ! ダンッ!
「伊織! ここか⁉︎ 助けに来た、開けろ!」
ああ…龍臣の声がする……やっと助けに来たのか……だが、体が動かない……。
「伊織さん! 伊織さん! 大丈夫⁉︎ 開けて‼︎」
ミキの声‼︎
俺は熱く重い体を動かし手を伸ばし鍵を開け、あそこを押さえながら前屈みに倒れるようにトイレから出た。
「伊織‼︎」
倒れる寸前に龍臣が支えてくれた。
「大丈夫か⁉︎」
「だい…じょうぶ…じゃない。体が…言う事聞かない」
俺の体の熱さと脂汗.そして手で押さえてるあそこの状況から龍臣は直ぐに察してくれた。
「優希、そっちは任せた。健太、良二、戻るまで頼む‼︎ 俺は伊織を送って戻って来る‼︎」
『任せて下さい』
「龍、頼むね」
そんなやり取りを朦朧とする頭で聞いた。
「美樹君、行くぞ!」
「はい。伊織さん、俺につかまって」
ミキと龍臣に支えられHotelを出て、龍臣の車に乗せられた。
龍臣は運転し後部座で俺とミキが座った。
俺はミキに寄り掛かり、まだあそこを押さえ朦朧としてた。
運転してる龍臣とミキの会話が朧気に聞こえる。
「美樹君、たぶん媚薬かなんかの薬を盛られてると思う。薬の量や強力具合にもよるが、たぶん理性は無いに等しい。こうなると出して楽になるしか無いんだが……美樹君に無理させてしまうかもしれない。大丈夫か⁉︎ 今の伊織は薬でいつもの伊織とは違う、別人だと思った方が良い。無理そうなら伊織をどこかに閉じ込めてやるが、どうする?」
龍臣さんは俺の事を考えて選択を俺に任せてくれてる。
薬の効きがどんなものか?は解らないけど……辛そうな伊織さんを放っておけない。
理性を無くしてる伊織と言うけど……ここまで我慢出来た事は並大抵じゃないと思う。
余程、辛かったはず……それなら…。
「龍臣さん、俺の事は大丈夫です。こんな辛そうな伊織さんを放っておけません! 理性なくてもどんな伊織さんでも俺の恋人の伊織さんには変わりありません。助けたいんです‼︎」
「そうか、ありがとう‼︎ たぶん無茶苦茶にされるかもしれないけど……美樹君に頼むしかない」
「大丈夫です。これでも前より体力はついてきましたから」
この時には伊織さんを助かる事ばかりに気を取られ、龍臣さんに恥ずかしい事を言ってる自覚はなかったが、龍臣さんも緊急事態と気にもして無かった。
後で、揶揄われる事になったが……。
「まだ…か?……くっ…体が熱い!」
「もう少しだ‼︎ 我慢しろ‼︎ 伊織、こんな時だが、後の事は、俺と優希に任せて貰って良いか?悪いようにはしない‼︎」
「はぁはぁ……頼む……今は何も考えられ…ない。任せる……早く……うぅ…んぐ…はぁはぁ」
「解った! あと少しだ‼︎もう直ぐ、お前のマンションに着く!」
たぶん、龍臣は結構スピードを出して送ってくれたと思うが、俺には凄く長く感じた。
「着いたぞ‼︎ 美樹君、1人で大丈夫か?俺も着いて行こうか?」
「大丈夫です。早く、優希さんの所に行ってあげて下さい! あとはお任せします‼︎」
「解った。また、こっちから連絡する」
息も荒く朦朧としてる伊織さんを何とか車から降ろし、伊織さんを支えビジネスバックを持ちマンションに入って行った。
ヨロヨロ…足元も覚束ない伊織さんに合わせて歩く、たぶん周りから見たら酔っ払いを介抱してるように見えるだろう。
エレベーターに乗り、俺に寄り掛かり辛そうに俯く伊織さんに声を掛けた。
「もう少しで部屋です。もう少しです」
「はぁはぁはぁ……」
荒い息遣いだけで返事にならなかった。
そのくらい辛いって事なんだろう。
そして部屋の玄関を開けた。
この部屋に入ってからが、今度は俺の方が快感と言う拷問を受ける事になるとは……。
……媚薬の薬を甘く見てた。
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