803 / 858

第805話

言い合いをしてる2人を見て俺は呆れてると、隣のミキがポツリッと言った。 「赤ちゃん……どうするんだろう?」 その場は一瞬シーンと静まり返った。 俺とAさんの事は取り敢えず解決したが……俺達には関係ない事だとは言え……宿した命の事は、やはり気にならないとは言えなかった。 「ん…どうするんだろうね。彼女もその場では何も言ってはいなかったけど……。どうだろうね 托卵する気満々だった2人にはバレたしご両親にも悪事がバレた事から、別の人にってわけにはいかないよね。これ以上被害者は出したくないだろうし、またバレた場合慰謝料発生するわけだから……同じ過ちはしないとは思うけど……。不倫相手の上司には家庭があるわけだし……」 「そもそも、その不倫相手に1年後にしろ.結婚の意思があるかも怪しいもんだ」 「それ、どう言う事なんだ?」 「調査結果からだとな。伊織やAさんと関わり合いながらも不倫相手とも相変わらず続いてるんだよ。営業に2人で行って営業車の中でイチャイチャしたり仕事中にそのままホテル行ったりしてるよ。本当に ‘お盛ん’って感じだ。不倫相手は堕ろすと思ってるのか?それとも女の計画を知ってるのか?は解らないが、暫くは関係を続けてほとぼりが冷めたら上手く言って別れるつもりなんじゃねーの。今は取り敢えず、逆上されると困るからか?楽しんでるのか?ま、今も関係は続けてるよ」 「でも、彼女は不倫相手の方の言葉を信じて1年後には結婚出来ると思ってるんでしょ?彼女も酷いけど不倫相手も酷いね」 俺はミキの考えには賛同出来なかった。 「自業自得だろ?お互い良い思いしてるんだし被害を被るのは周りだ。1番の被害者は何も知らない不倫相手の奥さんだろ。女にも不倫相手にも情けなんか無用!」 「俺もそう思うが、女もある意味騙されてたのかもな。それも自業自得だけどな」 「はあ⁉︎ どう言う事だ⁉︎」 「それはね。奥さんも妊娠してるんだよ」 「はあ⁉︎ 最低な男だな‼︎」 「本当に最低だよね。調査の結果で解ったんだけどね。奥さん、妊娠6ヶ月でさ。だから、龍臣が話したように不倫相手には彼女と結婚の意思があるか?怪しいわけよ。奥さんが妊娠中の有りがちな浮気だと思う」 「奥さんの妊娠の事は…彼女は知らなかったの?」 「そうみたいだよ。成宮とAさんの件が示談で解決して、彼女が開き直って ‘不倫相手と結婚する’ ‘1年後なんて待てない‼︎ 慰謝料なんか気にしないで、最初からそうすれば良かった’ ‘そんな2人より、やはり愛し合ってる人と結ばれるのが1番よ!’とか悪態吐いて喚いてたからね。この時まで奥さんの妊娠の事は知らなかったみたい。本当は言わないでおこうと思ったんだけど…あまりの自己中な身勝手な発言にムカついたから現実を見せる為にも教えてあげたよ。‘現在、不倫相手の奥さんも妊娠6ヶ月です。不倫相手の方が生まれてくる子供が居るのに、あなたと1年後にしろ.今にしろ結婚の意思があるか不明ですよ。結婚の意思があるなら、妊娠発覚の時に ‘堕ろせ‘とは言わないでしょ?良く考えて下さい’ってね」 「そしたらすんげぇ~ヒステリックになってさ。 ‘奥さんとは冷え切った関係だ’ ‘全然シテない’ ‘やはり奥さんより若いお前の方が良い’ とか ‘その内時期がきたら一緒になれれば良いね’って言ってたのに~~‼︎と喚き散らして凄かった。ご両親が宥めてたが、優希が ‘自業自得ですよ! あなたのした事は1つの家庭を壊すと言う事です!それは許される事ではないんですよ! 不倫相手とお腹の子供の事はどうするか?きちんとご両親と相談して決めて下さい! 奥さんがこの事を知ってるか?は解りませんが、あちらは今の所普通に生活されてますよもしかして奥さんは全て知ってて何も言わないのかも知れませんけど。ご主人の不倫は遊びと解って、今回は妊娠してる事もあり許してるのかも知れません。そうなると離婚は有り得ないですね。それこそ、あなたに奥さんから慰謝料を要求されてもおかしくないんですよ‼︎ 先程も申し上げましたが、今後の事は良くご両親と相談して下さい! そして何も関係ない人達に迷惑掛けた事を反省して下さい‼︎’って正論言ったら、少しずつ現実が見えて最後憔悴しきってたよ。ま、自業自得だし、ざまあ~みろ!って感じだった」 話しを聞いてるだけでも、すげぇ~修羅場って感じだ。 「そうか。何だか本当に悪かったな。最終的には優希さんと龍臣に丸投げした形になって。本当に悪かった! そしてありがとう!」 俺が頭を下げると隣のミキも「ありがとうございます」と一緒に頭を下げてた。 「ま、後は相手側の話だから、こっちは成宮もAさんの事も解決したし。こっちは要望通りに解決して一安心! ま、罰金も発生する事だし今後は接近.接触は無いと思うよ。余程のばかじゃなければね」 「ばかじゃねー事を祈るよ。これでやっと平穏な生活に戻れる!」 「良かったね。成宮もだけど、美樹君もお疲れ様」 「俺は何も……」 「美樹君も伊織と離れて寂しかっただろ?」 「それはそうですけど……。俺、今回何も力になれなくって……。それに龍臣さんの実家は凄く居心地良かったし皆さん良くしてくれて…伊織さんが大変な時にのほほんと生活してた……」 「ミキに何かあったら、それが1番俺には辛い‼︎ 安心出来る事が1番だ‼︎ のほほんと生活出来たらそれが1番良い‼︎」 「ま、親父も母さんも健太や良二も喜んでるし美樹君が居なくなると逆に寂しがるよ」 「俺こそ楽しかったです」 「これを機に、また遊びに行ってあげてね」 「はい!」 一応の結果報告を終え、それからは世間話をし時間が過ぎた。 帰り際に、龍臣にこっそり言われた。 「伊織が頭を下げると必ず美樹君も頭を下げてさ何だか夫婦みたいだったよ」 そう言って笑って、優希さんと一緒に帰って行った。 俺達の関係がそう龍臣に見えてた事が凄く嬉しかった。 優希さんや龍臣の協力のお陰で俺の事に関してはこれで解決したと思う。 だが、真実を知ると子供の事や女が策略し過ぎて複雑にし、何とも後味が悪い感じで終わった気がする。 結局は俺もAさんも利用されかけ不倫.妊娠騒動に巻き込まれたって事だろう。 もう2度と会いたくないし顔も見たくない‼︎ これで反省し改心してくれる事を祈る‼︎ ミキはこの日からまた俺との元の生活に戻った。 「荷物が…」 「荷物なんていつでも取りに行ける! もうミキが居ない生活には限界なんだ! 今日からここに居ろよ!」 「ん~…解りました。その代わり荷物一緒に取りに行って下さいね。その時にお礼も一緒に言いましょうね」 「そんなのはお安い御用だ! 俺もそのつもりだった」 きちんとお礼もせずに今日からこっちで生活する事をミキは気にしてたが俺の希望を叶えてくれた ミキが帰って来た‼︎ その日はミキを抱きしめ胸に抱き、久し振りのミキの匂いを嗅ぎ深い眠りに入った。

ともだちにシェアしよう!