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第807話
感動に包まれた中で、俺は今日の目的の1つでもある事を行動に移した。
「ミキ、健太と良二を呼んで来てくれ」
涙を拭い目が赤いミキは俺の意図に気付き「はい」と返事をして、直ぐに2人を呼びに部屋を出た。
2人が来る間に、俺は龍臣と優希さんに改めて礼を言った。
「龍臣、優希さん。今回は本当に世話になった。自分1人で何とかしようとしたが、2人が協力してくれて本当に助かった。改めて礼を言わせてくれありがとう!」
「良いよ.良いよ。私も勉強になったって言っただろ?これで、こう言う案件も自信持って弁護出来るよ」
「俺も困った時には、伊織や祐一に助けられたからな。ま、困った時にはお互い様だ! そう言う時に力になるのが友達(だち)だろ?それに、お前が何かしたって訳じゃないじゃん。たまたま性悪女の都合に巻き込まれただけじゃん」
「そう言って貰えると心が軽くなる。龍臣や優希さんが困った時には、必ず力になる! その時には俺を頼ってくれ! それで今回のお礼なんだが、これを納めて欲しい。優希さんには弁護料として10万.龍臣にも10万.そして龍臣の部下に10万だ。優希さんが慰謝料として50万受け取った中から出した。俺の金じゃないが、今回の件で気分が悪い金を手元に置いときたくないし、自分達で使うのも気が引けるし。ミキと相談して決めた。俺達の気持ちだから受け取ってくれ」
金の入った封筒を3つ出し、龍臣達の前に差し出した。
「受け取れないよ。成宮の精神的な慰謝料だよ。成宮が使うべきだよ。美樹君と2人で気分転換にパァ~っと使ったら。旅行でも行きなよ。それに弁護料は最初から貰うつもり無かったし、Aさんから正式に弁護の依頼受けたから、そっちからは貰うから。いいよ」
「俺の部下の事を気にしてるなら、いつもの仕事と変わらないし気にするなって」
「俺達にとっては気分の悪い金だって言っただろ?それに泡銭だし、俺は一銭も出して無いから気にしないで受け取って欲しい。これも今回のケジメだと思ってる」
俺が頑として引き下がらないと言葉と態度で表すと、龍臣も仕方ねーな!って顔で封筒を受け取った
「優希、貰って置こうぜ。こいつ、こうなると何言ってももう絶対に引かねーし。伊織の気持ちと思って受け取ろうぜ。何か好きなの買えよ。俺も時計でも買うかな~」
このままじゃ埒が明かないと思ったのか?
龍臣の説得が効いたのか?
「解った。ありがと」
優希さんも最後には笑顔になり受け取ってくれた
そして今度は叔父さんと叔母さんに向き直り、叔父さん達の前にも封筒を差し出した。
「叔父さん達にも。俺とは面識が無いのに親身になってくれて、ミキの事も快く受け入れてくれた
俺にとっては、ミキの安全が1番の優先事項だ。叔父さん達の所に匿って貰って本当に安心出来たここに居て楽しく過ごせたとミキも喜んでたそれも叔父さん達がそう言う環境を整えてくれたと思ってる。ミキと俺の気持ちです。これも50万の慰謝料の中から出したんで、気にせず受け取って下さい」
「わしらにも⁉︎」
「あらあら、特に何もしてないんだけどね~。美樹ちゃんが来てくれて家の中も明るくなって、こっちが楽しく暮らせたのにね。私達の方がお礼言わないと言けないんだけどね~。でも、2人の気持ちは嬉しい。素直に受け取るね」
叔母さんはさっきの龍臣達との遣り取りを側で見て、俺が引かないと解り素直に受け取ってくれた
「あら~、旅行券?カタログもあるのね。偶には
2人でのんびりと温泉も良いわね~♪折角だから、なかなか行けない所にでも行こうかしら♪」
「どれどれ?」
2人には、旅行券付きカタログギフトを10万円分プレゼントした。
叔父さん達には金じゃなく、ゆっくり温泉でも行って欲しいとミキと決めた。
2人でカタログを覗きに込んでる姿は仲睦まじく旅行券に決めて良かったと思った。
そこにミキが健太と良二を連れて来た。
部屋に入って来た良二と健太は機嫌悪く、俺を睨んでた。
何だ!
その態度は⁉︎
そう思ってると、2人から俺を責め立てるように話し出した。
「成宮さん! 何で、美樹ちゃんの事を泣かせてんの⁉︎」
「偉そうに言ってた割りには、美樹ちゃんの事泣かせてさ! そんなんじゃ、美樹ちゃん返せないよ‼︎ ここにずっと居なよ。ね、美樹ちゃん」
「そうだ.そうだ! 帰るな.帰るな!」
2人の剣幕に、俺達は茫然としてた。
ミキが慌てて2人を嗜めてた。
「違うよ.違う! 俺が泣いたのは、伊織さんが虐めたわけじゃなくって‼︎ 叔父さんや叔母さんに凄く嬉しい事を言われて、心に沁みて感動しちゃったんだよ。嬉し涙だから‼︎」
「美樹ちゃんは優しいから庇ってんだろ?」
「そうだよ。こんなに優しい美樹ちゃん泣かせるなんて‼︎ マジ、最低‼︎」
ミキが誤解だ!と言っても2人は憤慨し俺を責め立てる。
「違う‼︎ 俺がミキを虐めるわけねーだろーが‼︎ さっきミキが話した通りだっつーの‼︎ それと、ミキが帰る場所は俺ん所だから‼︎」
そうきっぱり言っても、まだ納得して無い2人に龍臣からも話してくれた。
「美樹君や伊織の話は本当だ。この場に居た俺と優希が証人。俺達が嘘吐くわけねーし」
龍臣には一目置いてるんだろう2人はやっと納得してくれ『すみませんでした』と謝ってくれた。
「それにしてもお前ら、短い間だけ生活してただけなのに。余程、美樹君が好きなんだな⁉︎」
ミキを好き⁉︎
龍臣の発言に、今度は俺が2人を睨んだ‼︎
「違う.違う。美樹ちゃんの事は好きだよ。でも、変な意味じゃなくって。優しいし勉強も教えてくれるし……なんか~癒されるんだよね~」
「そう.そう! 美樹ちゃんが笑ってると、俺達も自然に笑顔になるって言うか~。男とか関係なく美樹ちゃんの存在が癒しなんだよ~。美人だし性格も良いし~。あっ! でも、俺も健太も男とか興味無いんで‼︎ でも、美樹ちゃんはそう言うの関係無いって言うか.居るだけで良いって言うか.もう見てるだけで良い‼︎」
「そうそう! 俺も一緒‼︎」
今度は興奮してミキの事を語る2人。
はあ~、また信者が増えたって事か⁉︎
男に興味が無い奴らも関係なく1週間やそこらで魅了するなんてな!
マジで‼︎ 目が離せねー‼︎
「健太君.良二君。ちょっと大袈裟だけど、そこまで思ってくれて嬉しいよ。2人と離れると思うと
……寂しい」
『……美樹ちゃん』
また、涙ぐむミキをうっとり感動し見つめる2人を、俺は怒りを通り越し呆れ他の4人は笑って見てた。
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