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第809話

肌寒い時期になった。 もう秋も終わり冬の季節を感じる。 人々の服装やディスプレイも冬物仕様になってる まだ11月に入ったばかりだと言うのに、ハロウィンの馬鹿騒ぎが終わり街の木々にはLEDのイルミネーションで飾られ、店舗も街もクリスマス仕様に飾られ何だか街全体が浮き足立ってる気がする それ程、皆楽しみに待ってるって事だろう。 仕事終わりに街並みを見て、俺もその1人だと思う。 クリスマス…か。 ミキとのクリスマスを祝うのも、今度で3度目か それ程長い付き合いになったんだな。  1度目はホテルを予約し過ごした。 去年はミキの希望で部屋でまったりと過ごした。 今年はどうしようか? プレゼントは既に決まってる……あとは、クリスマスの日をどう過ごすかだ。 今回は特別に日にしようと色々考えてる。  ホテルで?それとも1泊旅行で温泉宿?星が綺麗な所でも良いな、それとも前に話してたスキー場でスノボやスキーを楽しむのも良いな。 俺が今からあれこれ考える事は、ミキは知らないだろう。 たぶん、ミキは今年も2人で部屋で過ごすつもりだろう。 それも誰にも邪魔されず誰の目も気にせずに過ごせて良いが……普段の生活とあまり変わらない。 俺は今年は気合入れて格別な日にしたい。 そう言う気持ちもあり色々考えてる。 こうやって2人でクリスマスを過ごす事を考えるのも楽しいもんだ。 今年は色々あったしな。 これまで付き合ってきた中で、1番の危機だった 特に…永瀬との事……これは本当にキツかった…最近ではストーカー女の事……はあ~色々あったな。 まあ、壁にぶち当たり克服した時には、より絆が深くもなったがな。 ミキには辛い思いもさせた……その分クリスマスは料理もせずに楽をして楽しんで欲しい。 ミキとのクリスマスをどう過ごすか? 早く決めて予約もしないとな。 良いホテルは直ぐにいっぱいになっちまう。 ミキに仕事が少し残ってると言って、書斎に籠り良さそうな所を検索しまくった。 ホテルもまあまあのグレードの所(あまりグレードの高いホテルはミキに怒られるからな)あとは、出来れば観光地か遊ぶ所が近場にある事。 1番拘ってるのは……。 それがクリスマスの場所を決める1番の条件だ。 そこから探すか。 ミキに秘密裏で何件か候補を挙げ、予約状況確認をし………。 数日後には、決めた‼︎ ミキが喜んでくれると俺も嬉しいが……喜ぶとは思うが、なんせ節約家のミキは勿体ない病を発揮する。 でも、口ではそう言いながら目は喜んでるのも解る。 可愛い奴だ‼︎ その数日後の夜にミキに話した。 夕飯の片付けを済ませ2人分のコーヒーを持ってソファに座ってる俺の隣に腰掛けた。 「はい、どうぞ」 「サンキュ。なあ、ミキ。今年のクリスマスは軽井沢に行かね~」 「えっ! 軽井沢?わざわざは?俺は別に部屋で2人で過ごしても……」 ミキならそう言うと思った。 さっきは、一応、ミキにお伺いを立てたが決定事項として話す事にした。 強引な方がミキには良い。 「実は、もう予約も支払いも済ませてる」 「ええ~‼︎ 一言、相談してくれても…?それなら費用も半分出します」 「相談しなかったのは悪かったが、ミキは部屋で…って言うと思ってな。それも良いが…去年はそうしただろ?今年は、どこかに行きたい!と思ってな。前に、一緒にスキーに行きたいね?って言ってただろう。1泊だが、昼はスキーをして夜はホテルでゆっくり過ごそう」 スキーと聞いて、ミキの顔がぱぁ〜っと嬉しそうな表情になった。 その嬉しそうな顔が見たくてサプライズしたくなるんだよなぁ~。 「初めてですよね?伊織さんとスキーとか」 「そうだな。今までは、夏はシュノーケリングしに海へ.冬は何となく温泉って感じだったからな。で?クリスマスは軽井沢で決定‼︎で良いか?と言っても予約も支払いも済ませたからな。今更、キャンセルは面倒だし」 この顔を見れば嫌とは言わないとは思う。 「はい‼︎ ……さっきは部屋で!って言っておきながら……凄く嬉しいです! 伊織さん、ありがとう」 ギュッと俺に抱き着くミキが可愛く愛おしい。 そんなミキの頭をぽんぽんした。 「いつも俺が喜ぶ事を考えてくれて、ありがとう伊織さんに気を使わせてばかりで……申し訳ないです……伊織さん、クリスマスプレゼント欲しい物とかあります?色々、考えては居るんですけど……伊織さんは何でも持ってるから……」 「プレゼントか~……ん、特にこれ!って欲しいもんはねーなぁ~」 「え~……困る」 俺の顔を見つめ眉を下げ、本当に何をプレゼントするか?悩んでるらしい。 「あっ! 欲しいもんある‼︎」 ぱあ~と明るく期待に満ちた顔に変わった。 本当、可愛い♪ 「何.何?凄~く高く無ければ、奮発して買います‼︎何ですか~」 「ミキからの愛情‼︎」 定番のジョークの返し。 だいぶベタだとは思ったが、ミキも乗ってくるだろうと思ってたが……そこは素直過ぎるミキは少し考えてた。 いや、そこは考えずにノリで返すか.ツッコむ所だろ~。 「俺の愛情足りませんか?……そう感じてるならもっと解って貰えるように努力します」 冗談を言って、笑ってイチャイチャ……に持ち込もうと思ってた思惑が……。 素直過ぎるって怖い‼︎ 「悪い.悪い‼︎ ほんの冗談のつもりだった。ミキからの愛情は充分に感じてるから」 「本当に?」 その上目遣いは止めろ‼︎ 不安気で儚く……可愛い過ぎる‼︎ 「本当にほんと‼︎ でも、俺って、我儘で欲張りだからな。今でも充分に、ミキからの愛情は感じてるがもっと.もっと欲しくなる。限りないんだ」 本当に、ミキからの愛情は感じてるしミキが側に居てくれる事が幸せだ‼︎ だが、ミキへの俺の愛情はその数倍いや何百倍だ! 愛おし過ぎて、誰の目にも触れさせず俺だけを見て誰も居ない2人っきりの世界でずっと居たい。 その思考は年々酷くなる一方だとも自覚してる。 愛し過ぎて……俺の愛情は狂気と紙一重なんだろうと思う。 そんな俺の危ない思考は、現実世界での日常で保ってる。 ミキには知られたくないが……それもミキを愛してるからこそ……だ。 もっと深く固い絆で結ばれたい‼︎ 誰にも邪魔はさせない‼︎ 挙句の果てに……魅力過ぎるミキが悪い……とまで思っちまう…ミキの所為じゃない事も解ってる素直で優しく家庭的で綺麗で可愛らしい、それでいて優柔不断で流され易い…良い所も悪い所も全てが魅力となる。 長く一緒に居れば居る程、ミキの魅力に囚われ離れられなくなる。 そう思うのは俺1人だけじゃないだろう。 だから……心配なんだ‼︎ ミキが俺を愛してるのは充分解ってるが……誰にも奪わられる事が無い!もっと強固な絆が欲しい‼︎ そう思ってるのは、ミキは気付かないだろう。 「それなら俺もです! 伊織さんとずっと側に居たい‼︎ 離れたくない‼︎ 伊織さんが欲しいなら俺はもっと.もっとたくさん愛情をあげます‼︎ だって…… 愛してるんだもん」 ‘だもん’……他の男が言ったら引くが、ミキから言われると可愛い♪ その子供みたいな言い方にも心が鷲掴みだ。 他の奴らからは惚れた欲目とか.あばたもえくぼとか言われたって構わない。 俺はミキにメロメロ…なんだ‼︎ そんなのはとっくに自覚してるし自信持って誰にでも言える‼︎ 「俺も愛してる‼︎ ミキ……早速だが、ミキからの愛情を感じたい‼︎ 熱烈なラブコールに我慢できなくなった。今直ぐにミキを愛したい‼︎ ミキからの愛情を証明してくれるか?」 「もちろんです! たっぷり俺の愛情を証明しますよ」 「くっくっく…楽しみだ。ミキ…愛してる」 「ふふふ……俺も愛してます」 そのままラグに押し倒した。 最終的に…俺の思惑通りになった。 何度もお互い ‘愛してる’ を口にし濃厚な一夜になった。 あ~…クリスマス当日が待ち切れない‼︎

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