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第811話

朝早く出発した俺達は軽井沢のスキー場に着いたのは8時近かった。 途中から高速道路を使いSAに寄ったり途中混雑もあり少し時間が掛かったが、またまあ良い時間に着いた。 スキー場.ホテル.レンタルショップと広大な敷地にあり、ここだけで1日過ごせる。 ホテルの駐車場に着き 「もう、レンタルショップもやってるしスキー場もやってる。荷物は、車に置いて早速行くか?」 「伊織さん、休憩しなくて大丈夫?まだ、早い時間だから少し車で休んでから行っても……」 「昨日は早く寝たし大丈夫だ。レンタルショップで手続きやらなんやらで多少は時間掛かるだろうし、人が多く集まる前に少し滑って慣らさないとな。滑りながら休憩すれば良いよ」 俺の体を気使うミキは優しい。 「……解りました。休憩挟みながら滑りましょう 俺も随分滑ってないから……伊織さんが言うように人が多くなる前に慣らさないと…」 「迷惑かけちゃまずいしな」 「うん!」 話が纏まり、荷物は車の中に置き貴重品とスマホと車の鍵を持ってスキー場内にあるレンタルショップに向かった。 既に一式予約して置いた事もあり手続きも直ぐに済み、レンタルしたウエヤーに着替えスキー靴に履き替えスキー道具を持ち目の前のゲレンデに歩く。 雪のゲレンデは、まだ慣れない目に反射し眩しい 「最初は、初心者コースで何回か滑って感覚を取り戻しましょう」 「そうだな。あまり人が居ない今がチャンスだな」 「ですね」 初心者用コースのリフトに乗り山に登っていく。 見晴らしも良くスキー場のコースも良く見える。 既に、ゲレンデでは滑ってる人も疎らに居た。 スキーヤーやらスノボやら。 初心者コースの頂上に着きリフトを降りた。 降りる時も緊張した。 「やはり早い時間だから、そんなに人居ませんね」 「それもあるだろうが、上手い人はやはり上級者コースに行ってるんだろ?取り敢えず、肩慣らしに何本か滑ってみようぜ」 「はい! うわぁ~緊張して来た~」 「俺も! ヤバいと思ったら尻から転べ‼︎」 「はい‼︎」 「じゃあ、俺から行くぞ‼︎」 何年振りかのスキーだ、最初の滑り出しが1番緊張する‼︎ スゥ~と息を吸い込み滑り出した。 ゆっくりと大きくゲレンデを使う事にし、感覚を取り戻す事にした。 時間を少し開け、ミキも俺の後に続き俺の滑った跡をなぞるように滑ってた。 パラレルターンとまではいかないが、麓に降りてくる頃にはそれなりに形になってた。 下で、ミキが降りて来るのを待ちながらミキの滑りを見てた。 ミキも学生以来って言ってたが、なかなか上手かった。 ザァッ! 俺の側で止まり、少し興奮気味で話す。 「あ~~何とか転ばないで滑って来れました~♪」 「なかなか上手かったぞ」 「伊織さんも! でも、後何本か滑ったら感覚取り戻せそうです。雪質も良いし広いし滑り易い。楽しい♪」 「滑ってると風を切って気持ち良いしな。じゃあ また滑るか!」 「はい!」 こうして初心者コースで何本か滑り肩慣らしをしそれからコースを変え中級者コースでも何本か滑った。 この時には2人共感覚を取り戻し、パラレルターンでスイスイ滑るまでになり、一緒に横で滑ったり後を着いて滑ったりと面白くって仕方無かった 初級コースのリフトはロープウェイで周りからもリフトに乗ってる俺達の事が良く見えると思い密かに手を繋いで乗ってたが、中級者コースはゴンドラで箱の中と言う事もあり、俺は見えないように少し屈みミキに軽くキスもしてた。 恋人同士なら誰でもしてるだろうし。 中級者コースはそれもあり楽しい♪ まあ、軽いキスしか出来なかったのは多少不満はあったが……。 時間が経つにつれ人が多くなってきた。 何本か初級者コースと中級者コースを滑り終え 「少し早いが、混む前に休憩がてら昼にしよう」 「は~い」 スキー場内のロッジで食べるか?それともホテルのレストランで食べるか?迷い「せっかくだからロッジで食べましょう♪」と、ミキに言われそうする事にした。 席の空きもチラホラしかなく何とか確保し、食券を購入し味噌ラーメンと醤油ラーメン.ポテトフライを持ち席を確保してるミキの元へ向かった。 「お待たせ」 「わぁ~い♪ 美味しそう‼︎」 ミキの前に醤油ラーメンを置き、俺の前には味噌ラーメン、真ん中にポテトフライを置き早速食べた。 ズルズルズル…… 「美味しい♪」 「腹も減ってたし、あったまるな」 「うん♪こう言う所で食べるとまた美味しい~ね」 可愛い笑顔でそう話す。 「だな」 街中でのラーメン屋とは比べのにならない何の変哲もないラーメンだが、雪山と言うシチュエーションや腹が減ってた事もあって格別美味く感じるから不思議だ。 「交換する?」 「良いね~」 ラーメンを交換して食べたりポテトフライがどっちが長いか?とか楽しく食事した。 腹も満腹になり食器を片付けるついでに食券を購入し、コーヒーを2つ買いミキの元に戻る。 「ほい、食後のコーヒー」 「うわぁ~ありがと。何だか至りたく尽くせりで申し訳ないな」 「旅先なんだから気にするな。普段は家事やってくれてるんだ、こんな時位ゆっくりしろ」 「うん♪あ~美味しい♪」 1時間位休憩し、今度はロッジが込み始めて来たのを見計らい俺達はまた滑りに行く事にした。 キッズコーナーでは親子で雪だるまを作ったりソリをしていたり、スキーを始めたばかりの子供と一緒に滑ったり教えたりする親子連れで楽しそうだ。 俺達はその後も初級者コースや中級者コース.ファミリーコースと滑った。 「ミキ。1度、上級者コースどんなのか行ってみよう」 「え~~大丈夫かな?」 「大丈夫.大丈夫。ゆっくりと滑ってくれば良いさ」 「う~~ん……じゃあ、行って見る?」 「行こうぜ‼︎」 中級者コースから更にロープウェイで山の頂上まで行くとロープウェイから見ても傾斜が凄くゲレンデも狭くなっていくのが解り、俺も不安になって来た、ミキもそう思ったらしく「大丈夫かな~」と呟いて居た。 ロープウェイから降りて頂上からゲレンデを見ると傾斜が凄く、そしてこぶもあり上級者コースに来た事を後悔した。 「マジ、ヤバいな」 「怖い~」 「本当だな。こぶもあるし…ゆっくりと滑れば…って言ってる場合じゃないな。取り敢えず、ここにずっと居ても仕方ない。こぶを避けてボーゲンでも良いから、何とか中級者コースまで行こうぜ」 「……うん」 「ゆっくりと、俺の後に着いて来い‼︎」 「……はい」 そうは言ったもの……俺もこの傾斜とこぶには不安と恐怖しか無かった。 「行くぞ‼︎」 「はい」 俺はボーゲンを駆使しながらシュテームターンとおり混ぜ途中途中で止まり、背後のミキも俺と同じように滑ってるのを確認し待つ。 「ヤバいよな」 「怖かった~」 「まだまだ先があるぞ。でも、この調子でゆっくり滑り途中止まりながら行こう」 「はい」 ミキに話した通りに、ゆっくりと滑り途中途中止まりながらも何とか中級者コースまで滑って来た 上級者コースを滑る人はやはり颯爽と滑り、俺達は邪魔だったんじゃないか?と思ったが、自分達の事で精一杯だった。 「もう、上級者コースは懲り懲りだな」 「本当に‼︎ あれは無理‼︎ あ〜無事に滑って来れて良かった~」 「俺も」 そう言って笑った。 そしてその後は2人で初級者コース.中級者コース.ファミリーコースで滑る事にし、休憩とりながら15時頃までスキーを堪能した。 レンタルショップに返却し、車に寄って荷物を持ちホテルにチェックインした。 ミキとの初めてのスキーは何年振りだが、思ってたよりは無様には成らずに楽しく滑れた。 これからが……勝負だ! 良し‼︎ 忘れられない日にするぞ! 密かに俺は心で気合を入れた。

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