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第813話
ピッピッピッピッ……
腕を伸ばしサイドボードのスマホのアラームを止め、まだ俺の胸に顔を埋め眠るミキの姿があった
幸せだなぁ~。
こんな何でもない事が本当に幸せだ。
暫く幸せなひと時を満喫し、これからの事を頭の中で色々予定を立てた。
良し‼︎
そろそろ起きようと、そぉっとベットを抜け出た
ミキはスキーでの疲れと風呂に入った事で、まだ起きる様子は無かった。
寝顔も綺麗なままだ。
ミキが寝てるのを確認し寝室を出た。
色々と準備をし、ソファでTVを見てるとチャイムが鳴った。
スコープを覗くと、ホテルマンが2人程居た。
「時間通りだな」と呟き、ドアを開け中に招き入れる。
ワゴンを押しテーブルの上に手際良く食事のセッティングをしていく。
物の数分でセッティングし終わる。
「2時間程で片付けに参りますが、もし必要無ければワゴンに入れて部屋の外に出して頂いても結構です。それでは失礼致します」
ワゴンを置き、そのままドアの前で一礼して部屋を出て行った。
テーブルの上には美味そうなフランス料理が並べられ、ワインクーラーには赤ワインが冷やされてた。
そしてクリスマス仕様なんだろう。
可愛らしいキャンドルに火が灯り、クリスマスを演出している。
ミキが好きそうだな。
お品書きには…
(アミューズ)真鯛のババロア仕立てトマトのクリュ.キャビア添え
(オーダブル)ズワイ蟹のガトー仕立て花びらのサラダ フォアグラのテリーヌと北海道産ホタテのポワレ
(スープ) コンソメドゥーブル
(魚) カナダ産オマール海老のプレゼ.アメリケースとヴァンプランソース
(肉) 黒毛和牛A5ランクサーロンステーキ
(デザート) クリスマスツリータルト.チョコレートムースアイス添え.ラズベリーケーキ
お品書きと実際の料理を見て
「美味そうだ。デザートもクリスマス仕様だし、ミキも絶対に喜ぶな」
雰囲気の良いキャンドルと綺麗にセッティングされた料理を写メし、可愛らしくデコレーションされたデザートを見てミキが喜ぶ顔が目に浮かぶ。
そう思うと俺も頬が綻ぶ。
「さてと、じゃあ、そろそろお姫様を起こすか」
部屋の明かりを少し落としキャンドルの灯りが一層輝く、良い感じだ‼︎
美味そうな料理を目の前に俺もウキウキ…し始めた。
ベットに腰を下ろし、ミキに声を掛け肩を揺する
「お~い。お姫様~! お食事のご用意が出来てますよ~」
「ん…んん」
「ん?お姫様は王子様のキスじゃないと起きないか?良し!」
ミキの頬に手を当て顔を近づけチュッ.チュッとキスした。
「ん?ぁ…えっ!」
「起きたか?」
「わっ! 寝過ごしました?」
「いや、疲れてるだろうとわざと寝かして置いた
腹減ってるだろ?もう料理来てる。食べよう」
「えっ! もう?ごめんなさい」
「謝る事は無い。ほら、早く行こう」
ミキの手を取りベットから起こし、そのまま手を繋いでセッティングされてるテーブルの側に行く
「うわぁ♪凄い♪美味しそう♪あっ! このキャンドル、素敵‼︎」
ドライフラワー.赤い実.ドライフルーツやらで作られたキャンドルだった。
変わってるとは思ったが、ミキにはどんなキャンドルか?解るらしい。
俺には良く解らんが、クリスマスの雰囲気を良く演出してるとは思ってた。
「感激してる所、悪いんだが。席に着いて、ディナーにしよう」
「は~い♪」
機嫌良く席に着いた。
ワインのコルクを開けグラスに注ぎ手に持ち
「2人で過ごすクリスマスに.MerryChristmas」
「こんな素敵なクリスマスをありがとう」
『カンパ~イ』
カチンッとグラスを合わせワインを口に流し込む
「ふう~、ワインも美味いな。さて、頂くか」
「どれも美味しそう♪やっぱ前菜から?かな」
「気にするな。もう、目の前には料理があるんだから、好きな物から食べろよ」
俺はそう言ってステーキから手をつけた。
そんな俺を見てミキも微笑み
「そうですね。ん~でも、迷う~」
オマール海老をパクッと口にした。
「ん~美味しい‼︎ プリップリ~♪」
笑顔全開だ‼︎
その後は2人で ‘美味しい.美味しい’とワインを飲むのも忘れ食べた。
昼はラー麺とポテトフライ食べただけで、その後もスキーをし自分が思ってるより腹が空いてたらしい。
残りは、デザートだけになり
「わぁ~! どれから食べよう♪ 可愛いから食べるの勿体な〜い」
フォーク片手に目の前のデザートの皿を眺めて悩んでた。
「じゃあ、これは?」
俺は自分のラズベリーケーキを一口サイズにし
フォークに乗せ、ミキの口元に持っていくと口を開けパクッ!と口に入れた。
フォーク片手に両頬に手を当て
「わぁ~! めちゃくちゃ美味しい♪ラズベリーの甘酸っぱさと生クリームの甘いので最高! スポンジもふわふわ~」
「そりゃ~良かった♪」
何でも美味しいと言って食べるミキだが、またデザートは別格らしい。
そんなミキの笑顔を見てるだけで俺は満足し、やっとゆっくりワインを飲み始めた。
そうすると今度はミキから俺の口元にタルトを持ってきた。
「ワイン飲んでないで。はい ‘あ~ん‘」
可愛い言い方に、俺もそのまま ‘あ~ん‘と口を開いた。
口の中にはタルト生地のサクサク感とクリスマスツリーに見立てたグリーンの生クリームはピスタチオ風味で程良い甘さで俺の口には合った。
「どう?」
「ん、程良い甘さで俺には丁度良い。この緑の生クリームはピスタチオ味で美味しい!」
「本当! ピスタチオ味?美味しそう!」
今度は迷うまでもなく一口サイズにし、自分の口に入れた。
またまた笑みが溢れた。
この笑顔が見れるだけで幸せだ‼︎
キャンドルの演出と美味しい食事とワイン.そしてミキの笑顔で穏やかな甘~い雰囲気の中で食事を楽しんだ。
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