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第816話

「うわぁ~あったか~い♪部屋の中、暖房入れておいてくれたんですね」 「ああ、切らずに出たからな。外は寒いだろうと思ってな」 「流石‼︎ 伊織さんですね」 外のイルミネーションを見てチャペルでプロポーズし、俺達は部屋に戻って来た。 部屋の暖かさより俺の胸の熱さの方が優ってる。 それ程、プロポーズが成功し俺は高揚して居た。 コートとマフラーを脱ぎ、ソファで残りのワインで更に暖まる事にした。 「これから宜しくな。奥さん」 「ふふふふ……こちらこそ宜しくお願いします……旦那様」 今までも冗談では言ってたが、プロポーズの後だと何だか現実味と新しい俺達の絆を感じた瞬間だった。 ワイングラスを合わせた。 雪のチラつく外を歩いてた体に、冷えたワインは冷たく感じたが少しずつ体を温めてくれた。 ソファに座りワインを飲みながら、今日一日撮った写メを2人で顔を寄せ合い、あ~でもないこ~でもないと話し笑った。 スキー場.部屋の中.ロビーのツリーの前.フラワーガーデンでのイルミネーション.オブジェの前.そしてチャペルでのプロポーズの後……どれも今日一日の記念になった写メだった。 特に、チャペルでの写メは蔓延の笑みの俺と鼻と目を赤くし涙目で笑ってるミキの写メが1番良かった。 俺は嬉しくって仕方ないって顔で、ミキは感激し嬉し涙で、2人の性格がそのまま表れた写真だった。 「ミキ、鼻と目が赤いぞ~」 揶揄うと 「え~~寒かったし…本当だ~……ブサイクだから消して下さい」 「いや、消さない! 記念の写メだからな。それにブサイクって言うが可愛いぞ?」 「……疑問系って……やだ~…やっぱ消して~」 俺のスマホを奪おうとするミキからスマホを遠ざけ、ミキは奪おうと必死だ。 俺はソファから立ち上がりスマホを上に掲げるとミキは背伸びをして取ろうと必至になる。 たぶん、ここに他の奴が居たら ‘何、イチャイチャしてんだよー’と言われるだろうな。 「んもう、そんな写メ恥ずかしい~から消して」 「やだねー。可愛いじゃん」 「可愛くない」 「可愛い~って。それに今もワインで頬が赤いぞ~」 そう言って、俺は不意打ちでミキの唇にチュッと口づけた。 突然の事に、ミキは一瞬固まる。 可愛い~な。 「それは…ワインで……後は……部屋が暖かいから」 「俺はどんなミキでも可愛い~の。そしてミキの色んな表情や姿を目に焼き付けておきてーの。 ブサイクだろうが何だろうがそれもミキだろ?」 出会った頃はミキの容姿に一目惚れしたが、この長い付き合いで外見だけじゃなく中身にも惚れてる。 違うな。 惚れてるって次元を越えて骨抜きになってる。 一緒に生活して、尚更好き度が増す。 「伊織さん……。俺もどんな伊織さんでも好きです! これからお腹出てきても髪も薄くなっても皺が多くなっても」 それは歳をとっても変わらず愛し続けるって事か⁉︎ 凄い殺し文句だ‼︎………とは思うが…。 「おいおいミキ、酷くないか~。俺が将来デブでハゲでしわくしゃの親父って事か~。俺…ミキにそう思われてるなら……泣く‼︎ いや、俺はそうはならない‼︎ ナイスミドルな親父か.ジェントルマンだ‼︎ 絶対そうなる‼︎」 戯けながらも力強く宣言した。 「例えですよ~。でも、伊織さんのその自信どこから来るのか~.根拠とか無いのに凄い‼︎ ある意味尊敬します」 「根拠はある‼︎ 俺の父親がそうだからな。ま、同じ歳になったら、俺の方がもっとカッコいいはず‼︎」 「解りました.解りました~」 ちょっと呆れてるミキ。 「俺が爺さんになっても側に居てくれるか?」 「当たり前です‼︎ 逆に、俺がしわしわでハゲても側に居てくれます?」 ミキがハゲるのは想像つかないな。 たぶん、ミキは歳をとっても綺麗なまんまなんだろうな。 そりゃ~少しは皺も出るだろうが、綺麗な所は変わらない気がする。 外見もだろうが、綺麗な中身は変わらないだろう 「ん~……ハゲは勘弁かな?」 くっくっくっくっ…… 「酷~い! 俺は伊織さんがデブでもハゲでも良い!って言ってるのに~」 プイっとそっぽを向くミキが可愛いらしい。 素直で揶揄うと堪らねーな。 「嘘.嘘~! 冗談だよ。俺はミキ無しでは生きていけません」 「………俺も」 そっぽ向いたまま小さな声でそう返事するミキは照れてるようだ。 「良し‼︎ お互いの気持ちも解り合えたし…今日は熱い夜を過ごすぞ‼︎ ミキ、寝かせねーからな」 「え~……今日は……特別ですよ?」 頬を染め少し上目遣いで恥ずかし気に答えた。 か.可愛い~‼︎ ヤバッ‼︎ あまりの可愛さにドキッと胸が高鳴った。 文句を言うと思ったが……ミキにとっても今日は特別な日だと思ってるんだ‼︎ 堪らなくなった俺は早速行動に移した。 「了解‼︎ 奥さんのお許しが出た所で」 俺はスマホをテーブルに置き、ミキをヒョイッと横抱きにしベットルームに向かった。 ミキも俺の首に手をしっかり回し、胸に顔を押し付け甘えてるようだ。 うっ‼︎ 可愛い過ぎ~~! 今日はぜってー寝かせねー‼︎

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