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第826話
「マコ、良かったね。祐さんと一緒に旅行行けて」
「うん! ミキ達のお陰!」
「えっ! 俺達のお陰?何で?」
「あっ! それは…」
真琴君が言葉に詰まり困ってるようだった。
助け船出すか。
「ミキ、ホテルのイルミネーション2月末までって言ってたよな?」
「うん! また、見れるなんて嬉しいな。この間はクリスマスだったからクリスマスツリーのイルミネーションとかあったけど、流石にそれは無いだろうけど…バレンタイン用のイルミネーションかもね。それとスキー場も3月末までやってるって」
そこから真琴君にホテルの事やスキーコースの事などを話してた。
何とか誤魔化されてくれた。
俺達は祐一達と一緒に行く事にし、祐一の車で俺が運転しマンションを10時頃に出発した。
祐一は朝方まで仕事をして居た事もあり、今は後部座席で真琴君に寄り掛かり熟睡中だ。
「でも、スキーするには出発遅くないですか?」
「ん、まあな。祐一の事もあるしな。それでもあっちには13時頃には着くだろ」
「じゃあ、着いたら直ぐにレンタルして夕方まで滑って温泉入って夕飯だね。楽しみ♪」
ミキなりの予定を話す顔が嬉しさ全開だ。
「龍臣達も、もう出てるだろう」
「そうみたい。沙織さんからこっちは早めに着く予定ってLINE来てたから、少し早く出たのかも」
「そうか」
沙織……気合い入ってんな~。
「ミキも真琴君も眠くなったら寝てて良いぞ」
「うん。でも、折角だからマコと話してる」
「そうだね。ホテル着いたらバタバタ…しちゃうもんね」
「ん?確かにレンタルとかでバタバタ…慌しいかもね」
「そう.そう!」
「そう言えば、祐さんのお店は臨時休業したの?」
「そうしようと思ったらしいけど。土曜日で忙しいからバイト1人じゃ無理だからって言ってたけど、結局、知合いにヘルプ頼んだみたい」
ったく!こう言う時ぐらい店を休めよ。
1日ぐらいどうって事ねーじゃん。
この守銭奴が!
心の中で祐一に対して悪態ついてると
「店に来るのを楽しみにしてる人も居るからって、迷ってたみたいだけどね」
「祐さん、優しいね」
「うん! あまり表には出さないし口数も少ないけどね。そう言うの表現するの苦手みたいだけど…
だからこそ祐さんの優しさは凄く心に響くんだ」
「そうだね。今日だってマコの為に無理したんだもんね!」
「そんな事ないよ~」
「またまた照れちゃって~」
キャッキャッ…とテンション高く話す2人。
なぜか?祐一の株が上がってた。
2人共、祐一に騙されてる‼︎
こいつはそんな良い奴じゃねーし‼︎
他人には興味ないし何考えてるか解らねーし、大体が表情が乏しいんだよな。
それにむっつりスケベで変わり者。
基本、自分が興味ある事にしか動かないしな。
昔っから何をするでもない祐一は皆んなになぜか?一目置かれ寡黙だけど優しいと密かにモテてたな。
それが俺には納得いかない!
ただ単に自己中なだけ。
ま、今回は祐一には感謝してるが……真琴君の為でもあるんだろうけど……無理してくれたんだろうな。
真琴君は祐一と一緒に旅行出来た事に喜んでるしミキはそんな真琴君と一緒に自分の事のように喜んでる。
やはり仲が良いな。
12時近くなり祐一を起こし、SAで休憩しながら軽食を食べた。
お店見て来る!と言って、ミキ達は行ってしまった
俺と祐一は2人でコーヒーを飲んでゆっくりする事にした。
「へぇ~、以前のお前なら、絶対一緒に行く!って言ってたのにな。ふ~ん、夫夫になると余裕が出来るんだな」
「1人なら絶対に一緒に行くが、今日は真琴君が一緒だしな。真琴君が居るなら安心だ」
「マコも信頼されてるな」
「ま、色々世話になったしな」
「マコだけじゃねーだろ?俺も散々世話したつーの!」
「確かにな」
「へぇ~やけに素直で、気持ち悪っ!」
「今日ぐらいは素直で居たい。皆んなには感謝してる」
「だな」
俺達はそう言って笑い合った。
予定通り13時過ぎ頃に着いた俺達より先にホテルに着いてた龍臣達はロビーのカフェでお茶をしてた。
まだ、チェックインには時間があると思い、そのまま合流しカフェでお茶をしてると「ねぇ、伊織さん、スキーレンタルしに行かないの?時間勿体なくない?」とミキは言ってたが「まあ、焦るなって」と誤魔化した。
8人でワイワイ…ガヤガヤ…してると、沙織の所に1人の女性従業員が耳打ちした。
沙織は皆んなに目配せをし合図した。
察した俺達はいよいよだ!とお互い目で合図した。
沙織は徐に立ち上がり「ヨシ君、行くよ!」と有無を言わさず、ミキの手を引いてホテルの中の奥の方に連れて行く。
「何.何?伊織さん! マコ~」
不安気に俺達を見て呼ぶミキを、俺と真琴君は行ってらっしゃ~いとばかりに手を振り、沙織とミキを見送った。
それから間もなく俺達はチェックインを済ませ一旦部屋に入り、それぞれ準備に取り掛かった。
この為に、この旅行を企画してた。
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