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第828話

プランナーさんに案内されてチャペルに向かうとドアの前にマコがスーツ姿で待ってた。 「マコ」 「ミキ~! 凄い綺麗‼︎」 「ありがとう。マコ、何でここに?」 マコはにこにこ…して話す。 「バージンロードをミキと一緒に歩くの。父親代わりにね。この大役は親友の僕じゃなきゃね。 あ~僕の方が緊張してきた~」 そうか、本来なら父親と……。 でも、ずっと側に居て俺を見守って支えてくれたマコと一緒に歩ける事は胸に込み上げて来るものがある。 ずっと側で笑って.叱られて.泣いて……いつも一緒だった。 ありがと…マコ。 「俺の方が緊張してるよ。宜しくね、マコ」 「うん! バージンロードの先に…成宮さんが待ってると思うと…ちょっと悔しいな。ミキを渡したく無いって言う気持ちとお願いしますって言う気持ちとで…ちょっと複雑。これって父親の気持ちなのかな?」 苦笑いするマコ……ありがと。 「マコ! 結婚式するからって、今までの俺達の関係は変わらないよ?ずっとマコは永遠に俺の親友だもん」 「じゃあ、先にここで誓おうか。僕はこれから先何が合ってもミキの味方で未来永劫親友で居る事を誓います‼︎」 マコが右手を挙げて宣誓した。 俺も右手を挙げて同じ様に宣誓する。 「俺もこれから先、何が合ってもマコの味方で未来永劫親友で居る事を誓います‼︎」 ぷっ! 顔を見合わせ笑顔を見せた。 「成宮さんより先に永遠の誓いしちゃったね」 「伊織さんには内緒だよ?拗ねちゃうから」 クスクスクス…… キャハハハ…… 「あの~そろそろ宜しいですか?」 『すいません』 「では、ドアを開けます。一礼して、ゆっくり歩いて行って下さい」 『はい』 マコの腕に手を絡めた。 ギィ…… チャペルのドアが開いた。 外光が真っ白なウェディングドレスを照らし、俺の方から神々しく光輝いて翼のようにも見えた。 女神が地上に舞い降りた…のかと思った。 その姿に、チャペルの中に居る皆んなは「わぁ~」「ほぉ~」と言う感嘆の声が上がった。 真琴君と一緒に一礼し、歩幅を合わせゆっくりとバージンロードを歩いてくる。 ミキの姿がはっきりと見えると、今度は、綺麗.モデルと言う単語が聞こえた。 そして祭壇前に居る俺の前で2人は立ち止まり、真琴君の腕から俺の腕にミキが腕を絡めてきた。その時に真琴君が俺に聞こえるように呟いた。 「ミキの事、頼みます」 そう話す真琴君の目は潤んで今にも泣きそうな顔だった。 俺は真琴君のその顔を見て黙って小さく頷いた。 隣のミキも感極まって「マコ……ありがと」と、こちらも目が潤んで居た。 そこには長い間一緒に苦楽を共にし親友で居た2人にしか解らない絆があった。 今度は、俺も真琴君と一緒にミキを守っていくよ! 心の中で、真琴君にそう話してた。 そして祭壇居る牧師の前に2人で並ぶ。 讃美歌.牧師による聖書朗読と続き、そして誓約。 「新郎伊織、貴方は新婦美樹を妻とし、健やかな時も.病める時も.喜びの時も.悲しい時も.富の時も貧しい時も.妻を愛し.敬い.慰め合い.共に助け合い. その命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」 神父からの定番の言葉を聞いてる時から胸はドキドキ…してた。 今度は、俺が返事をする番になりミキの手をそっと繋ぎ握った。 「はい、誓います!」 その言葉を口にするだけだったが、心臓がバクバク…した。 「新婦美樹、貴方は新郎伊織を夫とし、健やかな時も.病める時も.喜びの時も.悲しい時も.富の時も貧しい時も.夫を愛し.敬い.慰め合い.共に助け合い. その命ある限り真心を尽くす事を誓いますか?」 ミキも緊張してたんだろう、繋いでた手をギュッと握ってきた。  「はい、誓います」 牧師は俺とミキの顔を交互に見て微笑み、出席者に話す。  「皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、結婚の絆によって結ばれた、このお二人を神が慈しみ深く守り助けて下さる事を祈りましょう。アーメン」 暫しの黙祷の後に本来は指輪交換だったが、俺達は既に指に嵌めて居た為に、それは事前に話し省いてもらった。 そして結婚証明書にサインした。  緊張して手が震えてたかも知れない。 「…緊張する」とミキも小声で言ってた。  サインが終わると牧師が証明書を出席者に見せ 「ここに神の元お二人を夫婦となった事をご報告します。それでは誓いのキスを」 俺達は向き合い、そしてミキの顔に近づけ額にキスした。 ミキは ‘えっ!’って顔をしてたが、俺は他の奴らにミキのキス顔を見せるつもりはない! 俺は微笑んで誤魔化した。 出席者側からは「残念~」「え~、何で額?」と言う声が漏れ聞こえたが、今は大事な式の最中だスルーした。 無事に式は終わり、俺とミキは皆んなに見守られながら腕を組みバージンロードを歩きドアの前に行き出席者に向け礼をしチャペルを出た。 午後の日差しが俺達を包む。 そして直ぐに扉が開き、出席者の皆んながぞろぞろ…出て来た。 「おめでとう」「幸せになれよ」「凄く、良かったわ」「おめでとうございます」「幸せ者だな」 「感動しちゃった」……etc次々と祝福の言葉と一緒に俺とミキを囲む。 そこにプランナーがにこにこ笑顔でやって来た。 「おめでとうございます。素敵なお式でした。もし宜しかったら、チャペルの前で皆さんの写真撮りますよ」 それに直ぐに反応したのは、やはり沙織だった。 「ありがとう。じゃあ、私のスマホで」 さっさと自分のスマホを預けて、俺とミキを並ばせ、俺達を囲むように皆んなも並ぶ。 「じゃあ、撮りますね♪」 カシャッ! カシャッ! カシャッ! 3枚程撮り「素敵な写真が撮れましたよ」と、沙織にスマホを返そうとしたが「あの、あそこでも皆んなで集合写真撮りたいんですけど…良いですか?」図々しく沙織はプランナーに言った。 「もちろんです」 プランナーも快く受けてくれ、皆んなで目の前の広場に移動した。 イルミネーションやオブジェでクリスマスバージョンで装飾されてたが、今はバレンタインバージョンになってた。 ハート型のオブジェの前で俺達は並び集合写真を数枚撮って貰った。 「それでは、この後1時間後に個室で食事会がございます。それまでごゆっくりお過ごし下さい」 そしてプランナーは笑顔でホテルに戻って行った 俺達はオブジェの前や雪が少し残り、まだイルミネーションが点灯されてない木の前やチャペルの中に戻り何枚もの写真を撮ってた。 真琴君が俺達2人を撮ると言って、ハートオブジェの前で俺がウェディングドレスのミキを突然お姫様抱きにし写メを撮って貰うと、他の奴らが「ヒュー.ヒユー」「カッコつけやがって~」「お似合いよ~」などと冷やかされ、ミキは「恥ずかしい…」と顔を隠すが「見せつけてやれ!」と俺はその場でお姫様抱きのまま一回りした。 ますます冷やかされたが、それも良い思い出だ。 それから俺達に触発されたのか?それぞれツーショットで仲良く撮ってた。 あとは、数人で撮ったりと人を変え場所を変えとガヤガヤ…ザワザワ…と賑やかに撮りまくった。 俺達も凄く良い思い出になったが、皆んなにも良い思い出になったようだ。 皆んなの顔を見れば解った。 その顔を見て、俺とミキも嬉しくなり顔が綻んで居た。 沙織に後で聞いたが、プランナーがスマホを返す時にこっそり沙織に話したらしい。 「本当に素敵なカップルですね。長い事この仕事してますけど……ここだけの話ですけど、ここまでの美男美女は見た事ありません。芸能人かモデルかと思いました」 そう言って笑ってたと教えてくれた。 「良かったわね~」 沙織に冷やかされ、照れた。 ここに居る仲間以外は誰もミキがまさか男だとは思わなかったようだ。 ある意味神を欺いて式を挙げたが……神の元、皆平等と言うから大丈夫だろう。 無宗教の俺だが心の中で神様に懺悔し、そして運命の人と出会えた事に感謝もした。

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