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第838話 其々の夜(祐一x真琴)

何⁉︎ 今度は難しい顔をしてる。 「で……俺は戸籍上でもきちんとしたい!と思ってる。俺と養子縁組してほしい。今の現状では男女のように婚姻関係は無理だろ?俺達が夫夫になる為には養子縁組しか無い。そうなると本当に別れる事は難しくなるぞ。そうやってマコの一生を縛ってしまう事になるが良いか?後悔しないか?」 祐さんは本当に優しい。 無理を言うでもなく、俺に選択肢を与えくれる。 そんな祐さんが大好きだ! 「祐さん! プロポーズしておいて……今度は別れるとか.後悔とか言うのおかしくない⁉︎ 僕は祐さんと本当の夫夫になりたい! こんな事言うと怒るかも知れないけど…僕の気持ちだから聞いてほしい 祐さんのお店がそう言う人達が多く集まる客商売だって事も解っては居るんだけど…やっぱり心配だった。僕なんかより凄く綺麗な人や可愛い人たくさん居るし……祐さん目当ての人も居るのも知ってるし誘惑も多いと思う。祐さんを信じないわけじゃなく……心配で。だから、祐さんから養子縁組の話をしてくれて嬉しかった。祐さんは僕の事を縛るとか言ってるけど……僕の方が、これで祐さんを束縛出来る!と言う気持ちもあるんだ。ごめんね。僕、腹黒いよね?」 あ~言っちゃった。 祐さんだけじゃなく、僕もそう言う気持ちがあるって伝えたかった。 どう思ったかな? 「そうか。じゃあ、養子縁組して構わないんだな?」 僕の言った事……気にならないんだ。 そうか、良かった。 「うん‼︎ 僕はその方が良い‼︎」 「そうと決まったら近いうちに……マコのご両親に挨拶行かないとな。簡単には許して貰えないと思うが……根気強く話して許して貰おう。マコにも辛い思いさせるかも知れないが……2人で乗り越えよう」 たぶん、いや相当に反対されるだろう。 それは覚悟の上だ! 当たり前だ!とすら思ってる。  自分達が手塩に掛け大事に育てた子供の結婚相手が男と知ったら……そりゃ反対するだろう、いや罵られ罵倒される事も覚悟してる。 何度も会いに行って、長い時間掛けて説得するつもりだ。 それでもダメなら……マコには悪いが、親より俺を選んで貰いたい! それは最終手段だ‼︎ マコには、そう言う家族と縁を切るような真似はさせたく無いし辛い思いもさせたくない……どんな目に遭おうが、俺は受け入れて貰えるように努力はする‼︎ マコの為に……。 そんな事を思ってると、先の見通しが暗くなり前途多難だなと表情に出てたようだ。 そんな俺の気持ちが伝わったのか?マコの方は泣き顔から笑顔を見せた。 わざと俺を安心させる為に笑顔を見せてくれてるんだな。 いつもそう言うマコに救われてる。 「祐さん! いつでも挨拶に来て大丈夫だよ?」 「………挨拶には行くが、マコにも辛い思いや嫌な事を言われたりするかも知れない。俺と付き合ったばかりに……そう思うと気が重い」 俺が暗い顔をしてたんだろう、マコは俺の頬に手を当て顔を見つめ笑顔を見せた。 「だから、大丈夫って言ったでしょ?僕ね、祐さんと正式にお付き合いが始まって直ぐに同棲して1年位経った頃に ‘もう大丈夫! 僕には祐さんしか居ない。祐さんもそう思ってくれてる’ と自信が持てた時に、実家に話しに行ったんだ」 俺は初めて聞くマコの話しに驚き動揺した。 1人で⁉︎ そんな事を……どんなに大変だっただろう。 そんな素振りも見せなかったし知らなかった。 「マコ……」 「そりゃ~初めは反対されたしお母さんには泣かれたよ。だけど、何度も.何度も説得しに行ってね ‘真琴の気持ちは解った。まだ納得もして無いし相手の事も信用出来ない。この先の2人の様子を見て判断しよう。その間にお互いの気持ちが離れて別れるかも知れないし…。それが今の私達の譲歩だ。真琴の幸せを私達なりに考えてる気持ちも解って欲しい’ と数年掛けて説得して少しずつそう言うようになってくれた。でね、僕達の付き合いが長い事で徐々に気持ちも変わってきたらしい。ここ1年位は ‘どんな相手か.1度会わせなさい’ ‘相手がどんな考えや真琴をどんな風に思ってるのか聞いてみたい’ と言ってくれるようになってたんだ」 そこまで1人で……。 なぜ、言ってくれなかった⁉︎ マコ1人で苦労させた自分が情けない‼︎ 「……そこまでしてくれたのか……ありがと、マコ。でも、なぜ俺に話してくれなかった?俺が頼りなかった?」 ここまでしてくれて感謝もしてるし責めてるわけじゃないが……何もせず知らないで生活してた自分が情け無く、ついそう言ってしまった。 マコはそんな俺の事を気にしつつ言葉を選びながら話す。 「僕が家族とも疎遠になりたく無かったし、祐さんとも別れたくなかった。なら、どっちも無くさないように努力すれば良い話でしょ?それは僕が勝手にやった事だし祐さんの重荷になりたくなかったし強制もしたくなかった。それに祐さん、その当時は仕事の方で頭がいっぱいだったでしょ? それ以外の余計な事は考える余裕なかったでしょ?祐さんを信用して無いとかじゃなく、僕の家族だもん。僕が努力して説得するのは当たり前だよ。数年掛かったけど、努力は報われるって……祐さんと付き合うようになるまでの事で学んだからね。僕が粘り強いって知ってるでしょ?だからいつでも挨拶来て大丈夫だよ」 マコは俺の為に.俺の事を考えて…そして俺の仕事の事も……ありがと。 本当に感謝しか無い‼︎ マコもいつか家族に俺と会って貰いたい! 家族にも俺を解って欲しい!と……俺がいつ家族に会っても良い様にしてくれてたんだ‼︎ ここまでしてくれる奴は他には居ない‼︎ 俺は感激し、マコをギュッと抱きしめた。 「ありがと.ありがと。必ず近いうちに挨拶に行く! そして今度は俺の口からマコへの本気の想いをご両親に話す、そして結婚の了解を得るよ。もし…結婚に関して難色を示したら、今度は俺が粘り強く説得する! 今度は俺がする番だからな」 少し声はうわずってたかも知れない。 涙が頬を伝うが、泣き顔は見せられない!とマコの肩に顔を埋め涙を拭いた。 俺の腕の中に居るマコは俺の背中を撫でて 「今度は2人で説得しよう! 結婚するのは、僕と祐さんなんだから。大丈夫! ちょっとは言われちゃうかも知れないけど、絶対に解ってくれるから」 マコの言葉が嬉しくて顔は上げられなかった。 「そうだな。マコの親だもんな。ありがと、マコには感謝しか無い。マコと出会えて、こうやって一緒に居られる事が本当に嬉しいんだ! この先も俺にはマコが必要だ! ずっと一緒に居てくれよ」 「はい! これからも宜しくお願いします」 マコからも涙声だったが、元気な返事が返ってきた声をマコの肩越しで聞いてた。 俺が仕事第一の考えで、今の生活に満足してた事が2人の将来を遠のかせて居たんだ。 マコはずっと2人の為に.俺の為に考え動いてくれてた。 龍臣や伊織より遠回りしたが、俺達もあいつらに負けないぐらい幸せになる‼︎ マコとならそうなれる‼︎

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