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第840話 其々の夜(伊織x美樹)

「あ~、すげぇ~疲れた~」 「お疲れ様でした」 結婚式が終わり、食事会.barでの2次会で皆んなに祝って貰い、俺達は幸せな気分のまま部屋に入りソファに座ってる。 「ミキもな、お疲れ様! 緊張もしたし疲れたが、凄く幸せな気分だ。皆んなに感謝しないとな」 「はい! 凄く良い仲間です!」 「そうだ! ミキ、余り飲んでないだろ?少し、ワインでも飲むか?改めて、2人で乾杯して祝おう!」 「はい! 結婚式終わって緊張が解けて、何だか安心したのと……このドレス姿…… 皆んなに何て言われるか…と思って、ちょっと憂鬱だったんですけど、皆んな気を使ってくれて……似合うと言ってくれて微妙な気持ちだったけど…取り敢えずホッとしたら、急にお腹空いたなぁ~と思って……飲むより食べてました~。barでは飲みましたけどもう少し飲みたいかな?」 「だろうと思った! ちょっと待ってろよ」 備え付けの冷蔵庫からワインを取り出し、グラスを持ってミキの元に戻った。 ソファに座ってるだけのミキの姿は艶やかで、そこだけ華やかだった。 テーブルにワインとグラスを置き、ミキの姿を見て唐突に写真を撮ろうと思い立った。 皆んなで撮った写真や俺とミキの2人での写真は沙織や矢島君がたくさん撮ってくれ後でスマホに送ってくれるはずだが……あの時は撮られる方が多くミキ単体の写真を撮りたかった。 皆んなと居る時には見せない2人っきりの時のミキの姿を……俺だけが撮れる写真だと思うと何が何でも撮りたくなってきた。 「乾杯する前に、何枚か写真撮って良いか?皆んなで撮った写真はあるが、ミキ単体の写真が欲しい」 「え~! 別に、要らないですよ~」 「いや、これも記念だし、それに龍臣の叔母さんが選んだだけあって凄く似合ってる。ウェディングドレスも凄く良かったが、また雰囲気が違ってこっちも良い! 良いだろ?数枚だけ! な?」 俺が手を合わせ懇願するとミキは溜息を1つ吐いて渋々了承した。 「本当に、数枚だけですよ?もう、恥ずかしいんだから」 「解った.解った。ちょっと、そこの窓際に立って」 「はい.はい」 窓際に立たせ、正面の写真を数枚カチャ.カチャ… 綺麗だな。 白い肌に赤いドレスが映え赤い口紅もまた良い! 女には興味無いが、ミキだ!と思うと男でも女でも気にならない。 それくらいミキは魅力的だ! 「ちょっと後ろ向いて」 くるりと後ろを向くとアップしてる髪で頸が色っぽく腰から尻に掛けてがまた艶まかしい! 良い‼︎ 後ろ姿もカシャカシャ…数枚撮り 「そのままこっち振り向いてみろ」 振り向く瞬間を…カシャカシャ……。 「今度はソファに座って」 「え~! まだ~撮るの~」 「もう少しだけ。頼むって」 「本当に、少しだけだよ?」 俺に指示された通りソファに座る姿もカシャカシャ…。 「そのままちょっと上目遣いで、カメラ見て」 俺は少し上からスマホを翳(かざ)し、ミキの目線が自然に上目遣いになるようにした。 カメラをジッと上目遣いで見るミキにドキッ!とした。 マズッ! この上目遣い…クル‼︎ カシャカシャカシャ……。 「まだ~?」 ミキの艶やかで色っぽい姿をカメラに収めようと もう俺はカメラマン気取りになってた。 そろそろ終わりにしないと……マズいか⁉︎ 「じゃあ、最後に1枚!」 「本当に.本当に、これで最後ですよ」 「解ってる! とびっきりの笑顔をくれ!」 「………そんなの無理。何にもないのに笑顔って……」 それはそうか‼︎ 一瞬を逃したくない俺はスマホの画面を見たままミキに言った。 「じゃあ、そうだなぁ~。俺の事を考えてみろ」 そう言ってみたものの、どんな顔をするか?楽しみだ! 少し間があって、ミキはふんわりと笑った‼︎ カシャカシャカシャ……。 俺の好きな笑い方だった。 俺の事を考えるとこんな風に笑うんだな! めちゃくちゃ嬉しい‼︎ 「ちなみに、俺のどんな事を考えたんだ?」 「ん? 俺の料理を‘美味しい.美味しい’って食べてる所とか…クスクスクス……あとね、TVを一緒にソファで見てる時に ‘ミキ~’って甘えて膝枕強請る所かな?…クスクスクス…可愛いんだもん!」 「…ミキの膝枕、気持ち良いんだよ」 俺が甘えられるのも.俺を可愛いとか言うのも… ミキだけだけどな。 そう話すミキのふんわり笑った写メを照れ臭ささと感慨深くジッと見てると痺れを切らしたミキが「……もう良い?」と言ってきた。  「そうだな。あっ! あと1枚だけ‼︎」 「え~‼︎」 「2人の写真を撮ろう‼︎」 それにはミキもにこにこ笑った。 「俺の写真だけ撮って2人の写真無いなんて~。それが1番大切なのに~」 「全くだ‼︎」 顔を見合わせ笑った。 そのまま俺はミキの隣に座り、自撮りで写メを撮った。 カシャカシャ…… 頬がくっつく程近く、笑顔の2人。 良い写真だ‼︎ やっと俺はスマホをテーブルに置き、グラスに赤ワインを注いだ。 ミキに手渡しグラスを掲げた。 「改めて……夫夫になった記念だ! これから長い人生宜しくな」 クスクスクス…… はあ?何、笑ってんだ?真剣に言ってんだぞ? 不満そうな顔が出てたのか?ミキが言い訳をしてた。 「ごめんなさい。だって~、夫夫になった記念日が何度もあるから~」 「この間は2人っきりのプロポーズ記念日! で、今日は仲間が証人での結婚式記念日! 記念日、たくさんあって俺達幸せじゃん‼︎」 「そうだね。本当に‼︎ こんなに祝福してくれて… 俺達幸せ者です。改めて、宜しくお願いします」 「ん、乾杯‼︎」 「乾杯」 カチンッ! 自然に笑顔になり、今度は2人っきりで静かに祝った。 プロポーズの時も凄く幸せだったが、今日と言う日はまた別の意味でも……ミキのウェディングドレス姿に感激し、神聖な結婚式に感動した。 そしてなによりサプライズ企画してくれた仲間達に感謝した特別な日になった。

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