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第851話 コンヴァージョン(変化)

キャッキャッ…キャッキャッ……俺達が取って来たデザートを「美味しそう!」「可愛い!」「食べるの勿体ないね~」と言いながら、目をキラキラ …させ、美味しそうに笑顔で食べてるミキと優希さんと真琴君の姿を可愛いなぁ~と思いながら、俺達も自分用に取って来た少量のデザートを食べながら見てた。 沙織達も相変わらず2人の世界でイチャイチャ…してる。  デザートも食べ終わりコーヒーやジュースを飲みながら、皆んなお腹いっぱいでまったりとしてると、突然、祐一が衝撃発言をぶっ放した。 「皆んなに報告がある! 俺とマコ……結婚する事にしたから」 さっきまで、まったりしながら和やかに話してた俺達は祐一の突然の宣言にシーンとその場が一瞬静まり返った。 1番始めに我に返ったのは、やはり真琴君の親友のミキだった。 隣に座ってた真琴君の肩と腕を触り身を寄せ 「マコ! おめでとう‼︎ やったね‼︎」 真琴君本人より嬉しそうに祝福の言葉を言ったミキに「ありがとう‼︎」と、凄く嬉しそうに照れながら話す真琴君。 そんな2人を見て、他の人達も祐一と真琴君に祝福の言葉を送った。 「良かったね~、おめでとう!」 「おめでとう‼︎」 「幸せに~‼︎」 「やっとか?良かった.良かった。おめでとう‼︎」 次々と祝福の言葉を言われ真琴君は凄く嬉しそうにし、表情が乏しい祐一でも流石に嬉しそうな顔をしてた。 「おめでとう‼︎ 仲良くな」 俺も2人に祝福の言葉を送った。 ‘俺も、そろそろきちんとしないとな’ と、祐一の言葉を聞いてた俺は近いうちにこうなるだろうと予想はしてたが、それが昨日だったのか。 龍臣達は早い段階で夫夫になったが、祐一達は俺達より長い恋人期間で同棲も長かったからな。 なかなか言い出せずに居たようだった。 俺達の結婚式を見て感化されたのか?それとも良い機会だと考えたのか?は知らないが、祐一から言い出す良いタイミングだったんだろうな。 さぞかしプロポーズする時には緊張したんだろう 俺でも緊張したからな。 ま、ともあれ良かったな。 もっと色々聞こうと口を開き掛けた時に、沙織が目を輝かせ一足先に口を開いた。 「じゃあ、今度はマコちゃん達の結婚式ね~。楽しみだわ!」 祐一と真琴君以外は沙織の言葉に自然と頷いていた。 俺達が結構式を挙げたばかりだから、皆んなも当然そうするだろうとすんなり納得してた。 「マコちゃんなら、短めのフワっとしたウェディングドレスが可愛い~かも~♪」 もう既にやる気満々の沙織の頭の中には、真琴君のウェディングドレス姿を妄想してるようだ。 この流れなら、そうなるだろうな。 「いつ頃かしら?」「どこで挙式するつもり?」 とか先走ってる沙織に真琴君が「あの~……」と戸惑いながら口を開いた時、祐一が沙織の暴走を止めるかのように手で制した。 「伊織達の挙式を終えたばかりで、色々、考えてくれる事は嬉しいが、俺とマコは挙式はしない! 俺達はどっちかと言うと、ひっそりと2人だけで夫夫になった記念に写真だけでも撮ろうとは思ってる。それもお互い白いタイシードでな」 「えっ! でも…桐生さんもマコちゃんのウェディングドレス姿を見たくないの?一生に一度よ。こんな機会は無いわよ」 「ん~……見たいか?と言われたら…正直な所…見たいとは思うが……マコには無理をさせたく無いし俺達の性格からしてもひっそりとやりたい」 祐一らしいなと思って聞いてた。 真琴君への優しさが伝わる。 それを聞いてた真琴君が沙織を説得するように話し出した。 「沙織さんの気持ちは嬉しいですけど…。やっぱ ごめんなさい。ミキのウェディングドレス姿を見たら、僕には無理! それに僕も祐さんと一緒で2人だけでひっそりとしたいから」 自分が原因で挙式しないと言われたと思ったミキは、慌てて真琴君に言ってた。 「そんな事ないよ! マコのウェディングドレス姿は絶対に可愛いよ!」 「そうよ.そうよ!」 ミキの援護射撃する沙織。 「ごめん。卑屈になってるとか.比較されるのが嫌だとかじゃなくってね。皆んなのお祝いしたいって言う気持ちは充分解ってるけど……僕達はその方が良いんだ」 まだ、沙織は諦めてなさそうだったが、それを矢島君が制した。 「沙織、桐生さん達は桐生さん達できちんと2人で考えて、そうしたいと思ってるんだ。2人がそう考えてるなら、それで良いじゃないか。祝福して素敵な思い出を作ってあげたい沙織の気持ちは充分伝わってるよ。でも、無理強いする事では無いと思う」 祐一達の気持ち.沙織の気持ちも考え、どちらも傷付かずギクシャクしないようにと気遣った物言いに沙織も納得せざるを得ないようだ。 「そうね。2人の結婚だものね。ごめんね、マコちゃん.桐生さん」 「そんな謝らないで下さい。沙織さんの気持ちは凄く伝わってますから」 「挙式とか写真とかは、自分達で決めれば良いけど。せめて、お祝いはさせてくれよ」 俺が妥協案を出すと祐一もそれには乗った。 「ああ、色々済んだらな。報告がてら、皆んなでおやっさんの店で食事会しようと考えてる。その時は、ぜひ来て欲しい」 「行く!」 「絶対に誘ってね」 「楽しみにしてるわ」 ミキ.優希さん.沙織が続けて話す。 「なあ、祐一。ちょっと聞き捨てならねー事をさり気なく言われてる気がしたんだが?ひっそりやりたい!とか言ってたが……それじゃまるで俺達が派手好きみたいじゃねーかよ~」 場の雰囲気を良くしようと、俺はわざと祐一に食って掛かった。 長い付き合いの祐一も龍臣も俺の意図は解り、それに乗ってきた。 「ミキは性格からして俺達派だが、伊織は昔っから目立つ事や派手な事が好きだっただろ?」 「そうだな。こいつは昔っから、そう言うお祭り騒ぎみたいなのは率先してやってたからな。で、目立つ美味しい所は全部掻っ攫っていってよ~。そうだっただろ?優希」 少し考えて、優希さんも笑顔で応える。 「そう言えば、そうだったかも。体育祭や文化祭とかイベントの時は率先してやってくれてた。ま、お陰で私は助かってたけどね。ただ、熱くなり過ぎて困る事もあったりもしたかな。それは龍臣も同様だけどね」 「優希さん……、優希さんに言われたら、信憑性があり過ぎるんだけど……」 俺が苦笑いで話してると横から龍臣が口出ししてきた。 「はあ⁉︎ 俺はこいつとは違うね! 団体行動出来ない目立つ事しか考えて無い奴とはね!」 「はあ⁉︎ 誰の口が団体行動って言ってるんだ‼︎ お前から、その言葉が出るなんてな。世も末だな」 「俺は自分だけ目立てば良いって考える奴とは違って、極力皆んなと足並み揃えてたが⁉︎」 「はあ⁉︎ 誰が足並み揃えてただって! 良く言うわ!」 俺と龍臣が高校時代の話をしてると、呆れ顔の祐一が間に入った。 「俺に言わせれば、どっちもどっち‼︎ イベントを楽しみ自ら目立つ事をする伊織と協力的だが熱くなって結局は目立つ龍臣って感じだったな。ま、結果的には、お前らのお陰で俺達のクラスが1番盛り上がり楽しかったんだから、結果オーライなんじゃねーの。な、優希さん」 「そうね~。確かに、クラスの団結力も出来たし楽しいクラスになってたね。ま、この2人は置いといて……何だか懐かしいね~。いつもこの2人が言い合いや喧嘩になると桐生が間に入ってたね。そう考えると、この2人のお守りをしてる桐生が1番大変だったかもね。あれから何年経っても変わらないね」 懐かしむ顔で話す優希さん。 俺達も照れ臭くなった。 後で、ミキから聞いたが、そんな俺達3人を他の人達は羨ましくもあり微笑ましく見てたらしい。 場の雰囲気を変えるつもりだったが……藪蛇になった気もした。 でも、さっきとは空気感が違う。 「この後、ホテル出たらどうする?折角来たんだもの、観光でもする?」 違う話題を振ったのは優希さんだった。 『賛成‼︎』 ミキと真琴君.沙織は喜んで返事をしてた。 「この間、伊織さんと来た時には、お昼に信州蕎麦を食べて蕎麦クレープも食べたんだよ~」 その話に食いついたのは沙織と優希さんと真琴君で「絶対、行きた~い!」と口々に話す。 ‘それじゃ~、この間と全く一緒じゃねーか’ と思ったが、他の奴は初めてだろうしミキが良ければ良いかと俺は口を挟まなかった。 それからは観光地の場所をどこにするか?とか話題はそっちに移った。 皆んな楽しそうに話してるのを見て、俺達は結婚式.今日の朝の龍臣が甲斐甲斐しく優希さんを世話する姿や優希さんの可愛らしい1面を見られた事や沙織達の名前の呼び方が変わった事や祐一達の結婚宣言と、この1~2時間で色々あった。 小さな変化から大きな変化まで。 少しずつ、皆んなの夫夫(夫婦)関係も変わりつつあるのかも知れない。 赤の他人が一緒になるんだからな、お互い多少の努力もし妥協や協力して、それぞれの形にあった夫夫(夫婦)関係と家庭になっていくんだろう。 俺とミキも、これから少しずつ俺達の家庭を築いていけば良い‼︎と思った。

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