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第8話

‘R’moneの営業時間 平日夜7〜2時 金.土夜8〜3時 日・祝定休日。 祐一から俺の本気を見ると言う掛けから、毎日 9時〜11時までの2時間を‘R’moneで過ごしていた。 祐一の指定した時間がその2時間で、その時間帯が一番声が掛けられ易い時間だからだ。 まぁ、俺も昔はこの店には世話になったから祐一も色々知ってるし俺の本気を試す時間に指定したんだろうけど本当に性格が悪い。 初日は次から次へと誘われて断るのが大変だっが、流石セレブ御用達の店だけあって執拗くする者は居ないから助かる。 誘った方も断られても皆品が良いからトラブルにならない、あっさりしたもんだ。昔はそういうドライな付き合いが良くてここに来てたが今は俺の正念場だ。必ず本気を見せてやる。 暇な2時間を酒を呑みながらスマホやタブレットを使って、部屋探し、家電製品、仕事絡み、ネットなど有効活用していた。 祐一も始めの何日かは気にして居たり、そうかと思うと「アイツ辺りお前のタイプじゃないか?」「男はミキ1人じゃないんだから、別に無理するな」「意地を張らないで良い相手が居たら誘えよ」と言って、俺を嗾けて俺の事を試したりする。 どうせ面白がってるんだろ。さすが人間観察が趣味だけある奴だ。 祐一の思惑は判っているからそれには乗らないし、その気にも慣らない。 そんな日々が続き幾ら誘っても素っ気無い対応しかしない俺に誘っても無駄と徐々に誘いも少なくなってきていた。 祐一も何にも言わず黙って見届けるようになった。 今日が最終日でいつものようにタブレットを片手に仕事絡みのネット検索していた。 祐一が近づいて小声で 「今日が最終日だな。まぁ、最後まで頑張れよ」と言われていた側から 「いつも1人で居て、誰の誘いにも乗らないんだね。どう、僕と」と誘いを掛けてきた方に振り向いた。 そこにはこの2週間通っていた中で1番俺のタイプの奴が居た、二重で大きく勝気な目.鼻は小さく.薄紅い唇.顔が小さく何より目元に小さな泣きボクロが印象的な男だった。 祐一も俺のタイプと解っているから「頑張れよ」って小声で言って離れて行った。 「頑張れ」ってどういう意味で言ったんだ、最後まで頑張れかそれと俺のタイプだから誘いに乗って頑張れって事かアイツの意図が解んねぇけど、今の俺はどんなにタイプが来てもその気に慣れ無い。 「悪いが1人で呑みたいんだ。他当たってくれ」 と断りをいれた。相手も自信があって声を掛けたようだがすんなり「そう、仕方ないね」って去って行った その光景を離れた場所から見て居た祐一がほっしたような顔をしていた。 目が合ってなんだアイツ頑張れって最後までって意味だったのか散々嗾けて言ってたが一応、応援してるのかも知れないなぁと感じた全く判り難い奴。 まぁ、心配しなくってもどんな相手が誘ってきても今の俺は靡(なび)かない。あの男を知ってからどんな相手も霞んでしまう。 その位忘れられ無い。こんなに手に入れたいと思った事は今迄1度も無い。 そんな事を考えながらまた、タブレットを弄り出した それからも何人か誘ってきたが全て断って過ごした。 タブレットに集中していたら、11時を過ぎていた事に気づかず祐一が「2週間お疲れ。取り敢えずお前の本気は判った。明日、会社の人と会うんだろ。もう、帰っていいぞ」 それを聞いて時間が過ぎていた事に気がついた やっと終わった、ばかばかしい掛けだが2週間で俺の本気が伝わったのか。 「ああ、帰るが、祐一これで今後は協力して貰う」 「判ってる。協力はするがお前とどうするかはミキ次第だからな」 案に無理強いはするなと牽制されたがそれに応えず。 「……明後日にはアメリカに戻る。日本には1カ月後に帰って来る予定だ。その間は祐一に頼むしか無い」見張ってろよと目で訴える。 仕方ないって顔で「約束だからな。目を光らせて見張っててやるよ、安心しろ。お前こそアメリカ行って悪さするなよ」ニヤって笑う。 「お前が見張ってくれるなら安心だ。もう、どんな奴も目に入らないからそこは安心しろ」ってニヤっと笑い返してやる。 「また、戻って落ち着いたら連絡するから、その時は龍臣も呼んで3人で呑もうぜ」 判ったと目で言って客に呼ばれて離れ行った。 俺は席を立って扉に向かって歩いた。 こんな馬鹿げた事をしても必ず手に入れたい相手だやっと長かった2週間がこうして終わった。

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