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第9話
今、俺は同期の森山とバ-で久しぶりの再会をしていた
ここのバ-は客席も少なく静かで落ち着いた雰囲気で日本に居た時は会社帰りに森山と来ていた。
森山は同期の中では話も合うし部署は違うが情報通であるから日本に居た時は呑みに行く仲だった。
「久しぶりだなぁ。アメリカでも活躍してたようだな。話は聞いてるぞ」
「まぁな。大変だったが遣り甲斐はあったな。森山は最近どうなんだ」挨拶から始まって、お互いの近居報告し、同期の話で笑って、会社の状況を聞き再会してから2時間が経った頃
「そろそろ帰るわ。今度は日本に居るんだからいつでも呑めるし会社帰りでも呑もうな」
「悪いな。休日出勤だったんだろう」
「午後からだったから大した事無い。溜まってた書類を片付けただけだ」
「今日はありがとうな。また、会社で。俺まだ少し呑んでいくから、ここは俺の奢りだ」
「そうか悪いな。じゃあ、先出るな。また連絡しろよ」って言って、店を出て行った。
森山が帰って行って今の会社状況を1人で呑みながら暫く考えていた。
考え事をしていたが大きく無い店内がザワザワしているのに気がついて周りを見渡すと入店しカウンターに歩いている人をチラチラ見てヒソヒソ話たり、ぼんやり眺めている人もいた。中にはカップルで来ているのに「あんな綺麗な人見た事無いわ」と言ってる。
他からも「すんげぇな」「はぁ、綺麗」「モデルかな」と遠巻きに眺めて小声で話している。
何だと思ってカウンターの席に座ってる人を見たら、居るはずの無い人が居て俺は目を見開いた。
そこには‘R’moneで出会った美しい人が居たからだ。
逢えた事は嬉しいが何故、ここに1人で呑みに来ているのか?祐一の所以外は1人で呑ま無いはずもしや誰かと待ち合わせか?と疑問に思ってた暫く様子を見ていると1人で呑んでいるが呑み方が悪い。
あのままだと危ない。誰かに声掛けられると思った。そうゆう店では無いが用心に越した事は無いと俺は動いた。
「君もしかしたらこの間‘R’moneに居た人?」
とさり気なく言って隣の席に座った。
声掛けられてびっくりした顔が可愛い。
「……。祐さんの知り合いですか?」びっくりした顔からマズイという顔になったから、ここは知らない振りをした方が得策だと瞬時に判断して
「いや。ずっとアメリカに行ってて、この間あのバ-には初めて行ったんだ。呑みに行くつもりで歩いてたら道に迷って、あのバ-に入って開店前なのに呑ませて貰った」少し酔っているようだから多少辻褄が合わ無くっても大丈夫だろう
「そうなんですか。祐さんの知り合いじゃないんですね」
祐一と知り合いじゃないと解って、ほっとした顔をして言った。
その顔を間近で見て、あっまつ毛長いなぁとか二重目蓋で漆黒の瞳かと思ってたが良く見ると少し青味掛かっているなぁと思いながら、先程の疑問を口にした。
「良く1人で呑みに行くのか?」まず1つ目だ。
「いいえ。1人で呑む時は祐さん、あっすみません、‘R’moneでしか呑ま無いんです」と言う事は今日は特別なのか?嘘ついて居る様子は無いから本当の事を言ってるんだろう。
「じゃあ、今日は特別?それとも待ち合せ?」2つ目だ。
店員にお代わりを頼んでいるから俺も頼み
「待ち合わせではありません。出掛けてたんですが嫌な思いして忘れたくって、衝動的に近くのバ-に入ったんです」
その時、頼んだ酒がきて、それを半分程一気に呑む姿に何があったか気になった。
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