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第23話

課長が暫くして仕事をしていた俺達に声を掛けた。 「仕事中悪いが皆んなちょっと聞いてくれ」 言われてパソコンを打つ手を止めて話を聞く。他の2人も顔を向けて話を聞く。 「面談では色々各自の状況が聞けた。課題も良い線の物もあった、今回は残念ながら採用見送りしたがこれからどんな事でも言ってきてくれ。まぁ面談の話はこれ位で。田口、来週月.火の2日。田口の窯の先生に挨拶に行くから同行するように。後、G&Kの食器の委託している工場ラインも見たいからそっちも頼む。佐藤、水.木の2日でガラス工房と竹細工工芸の職人に挨拶行くから同じく同行するように。2人共スケジュール調整してくれ。香坂は金曜日に見本みて打ち合わせするそれまでに用意して置け。じゃあ各自宜しく頼む、以上だ。仕事戻っていいぞ」話をして自席に戻った。 「うわぁ。仕事早え-よ」と言って佐藤さんは慌ててスケジュール表を見て相手先にアポの確認の電話をし始めた。 田口さんは既にアポの電話をしていた。 俺は‘手拭い洗顔’の資料集めにパソコンに向かって仕事を始めた。 月.火と田口さんと同行し、水.木と佐藤さんと同行し殆ど会社に居ない課長に見本のポップを見て貰う事は出来なかった。 金曜日の打ち合わせ迄に1度見て欲しかったが忙しいそうで声を掛けられ無かった。 会社に帰ってきても田口さんや佐藤さん各自と打ち合わせに入ったり自分の仕事をして居たりとても声を掛けられる雰囲気じゃない。 俺もポップだけをしていられ無い他にも自分の仕事もしていて時間が合わなかった。 そんな感じで1度も見せられ無いまま課長と打ち合わせに入った。 資料を持って課長の待っているパ-テ-ションに向かう。 あれから資料集めて先週の土曜にはまた、手拭い専門で詳しく店員さんに聞いて資料を作ったから大丈夫だと思うけど不安だなぁと考えていた。 「課長すみません。遅くなりました」 「大丈夫だ。それよりポップは出来たか?見せてみろ」と言われ直ぐにポップと説明書を出して渡すと暫く見て考えていた。 あぁ、この沈黙が耐えられ無い。 何か言って欲しいと思っていたら赤ペンを取り出してポップと説明書に直接書き始めた。 書き終えて戻されたポップや説明書を見ながら課長が話始めた。 「考えた通りの出来だ。美肌&角質ケアをもう少し目立さて注意書きの所は赤で目立たせておけ。強く擦るなと肌に合わない場合は直ぐに辞めて医師に行く事を書く事。アメリカは告訴社会だからな。そこは気を使わないといけない後、買って貰った商品には詳しい説明書付きも入れておけ。ポップの大きさはA4位。説明はA4の4分1サイズにする。説明書は詳しい洗顔方法はこれでいい。こっちにも念の為注意書きを入れておけ。……全体的に良く出来てる。頑張ったな」笑顔を見せられてドキっとした。 慌てて「はい。ありがとうございます」 「じゃあ、もう1度手直しして出来たら持ってこい」 「はい。判りました」って言って打ち合わせは終わりかと思い資料を片付け出したら課長が 「香坂、GWはどうするんだ?今回は飛び々だから長い旅行もできないだろ」確かにそうだが何故GWの話?と不思議に思ったが。 「そうですね。予定は友達と遊ぶ位です。課長は?」一応聞いてみた。 「帰国してから仕事落ち着く迄、友人に会って無いからいい機会だから会うつもりだ。まぁ、それぐらいか」笑って言った。 課長位、素敵な人なら彼女がいるはず、もしかして、アメリカに居て遠恋かも私生活は部下には話さないだろうなと思い今度は胸がチクっとした。 さっきからドキってしたりチクっとしたり何処か悪いのか?と考えていた。 ぼんやりしている俺を見て。 「香坂、GW開けの木.金京都の自社工場に視察と挨拶行くから同行する様に調整しておけ。後、織染会社と老舗の呉服屋と卸問屋にも挨拶行くからな、2日で周るから。GW遊び過ぎるなよ」急に言われ焦った。 確かに自社工場は着物関連の工場で俺が担当だが2日で他も周るのは強行スケジュ-ルだ。中々、京都には行け無いから仕方ないのかもしれないが。 あっ、だからGWの予定を聞いてきたのか体力残しておけって事か。 「判りました。調整して置きます。後、千葉の工場にはいつ行きますか?」聞いといた方がいいだろうと思った。 「そっちは近いからまた連絡する。じゃあ、‘手拭い洗顔’の方と出張の方頼む」本当に打ち合わせは終わったようだ。 資料を纏(まと)めて「失礼します」と言って先にパ-テ-ションを出て、ポップの手直しを始めた。 香坂が出て行ってからGWの予定を聞いて安心した。 友達は多分祐一の恋人だろう。 内ポケットからサイフを出し中からお守りの紙を取り出し「GWもいい子にしていろよ」と呟いてキスをした。

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