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第36話
日曜日の夕方に待ち合わせしていた。
俺は少し早めに来ていてぼんやり景色を眺めていると「ねぇ、君誰かと待ち合わせ?」とチャラそうな大学生が声を掛けてきた。
こう言う人偶に居るんだよなって思い、はじめは気付かない振りしてスマホを見たりしていた。
「ねぇ、無視しないでさぁ俺と遊ばない?カラオケかゲ-センでも行かねぇ」
話し方が嫌だなと感じ執拗に話して掛けてくる
「俺、男ですよ間違えてませんか?」
「あっそうなの。どっちでも良いよ一緒に遊び行こう」
腕を掴まれた所に
「何やってる?俺と待ち合わせしてるんだが」
課長の低い声がしチャラい大学生をギロッと睨んでいる。
睨まれた大学生は「何だ、待ち人来ちゃったか残念」と言って掴んでいた腕を振り解いて足速に去って行った。
課長が「何、軟派されてんだ」と少しムッとした顔で言われて
「……軟派ではありません。たぶん誰かと間違えてたんだと思います」
機嫌が悪くしてしまったと思い顔を見れなくなり俯いて話す。
「へえ、あれは軟派じゃないんだ。ふうん、そうか」また少しムッと怒った顔で話し「もういい、行くぞ」と言って歩き出した。
その姿を見て、課長怒ってるよなどうしようと考え直ぐには着いて行けなかったがこのままここに居ても仕方ないと歩き出した。
先に歩きながら、待ち合わせしたら軟派される事は予想出来たはずだ、俺は香坂とのデ-トで浮かれていた自分に腹が立っていた。
良く考えればタクシーで迎えに行くとかすれば良かったんだやはり車買おう。
今後出掛ける時には迎えに行けば良いしこれからドライブや旅行に行けるからな、うん、そうしようと香坂とのこれからの事を考えて気持ちが浮上してきた。
着いて来ているだろと振り返るとそこには香坂は居なかった。
まだ動いて居ないのかと思い待ち合わせ場所を確認するがそこにも居なかった。
辺りを見渡すと駅の方にトボトボと歩いているのが見え慌てて駆け寄った。
「おい香坂、どこ行くんだ」
俯いていたまま「帰るんです」
それを聞いて、はあ、どうしてだ?
「何故?今から食事に行く約束だぞ」
困惑した頭で聞く。
「……課長、怒っているからこのまま俺と御飯食べても楽しく無いんじゃないかと……」
理由を聞いて香坂の事を怒ってると勘違いしてると思い
「ここで話してもあれだからどこか喫茶店でも行くぞ」
1番近い喫茶店に入って「コ-ヒ-でいいか?」
黙って頷くから2つ頼み何て話すか考えているとコ-ヒ-が置かれ口をつけてから話し出した。
「香坂の事を怒ってたんじゃ無い。さっきの軟派男にはムカついたが自分にイラ付いてたんだ」
俯いてた顔を上げ
「そうなんですか?…俺の事怒ってると勘違いして…すみません」
軽く頭を下げるから
「謝るな。俺の態度が悪かったんだ」
香坂もほっとしてコ-ヒ-を飲み始めた。
「ちょっと聞きたいんだか香坂は軟派良くされるのか?」
頭を横にコテっと倒して不思議顔で話すその仕草が可愛いかったが
「えぇと偶に声掛けられる事ありますが、課長、誤解してますよ。あれは軟派じゃないですよ」
訳わからない事を話す
「じゃあ香坂は、あれは何だと思ってる」
頭ではあれが軟派じゃきゃ何なんだ、どう見ても軟派だろうと考えてるが顔には出さなかった。
「課長、軟派って男が女にするものですよ」
俺が勘違いしてるという風に笑いながら話す。
「はあ、じゃあ香坂はさっき何て言われたんだ」
良く判らない話をしてると思って聞く
「はじめは女の人と勘違いしてたみたいで…その後はどこかに遊びに行かないか?ってカラオケかゲ-センって言ってました。でも知らない人には恐くて着いて行け無いし友達にもなりたいとも思わないですしカラオケもゲ-センもあんまり好きじゃないんで断りました」
香坂の話を聞いてもしかして冗談で言ってるのかと始めは思ったがどうも本気で話してるらしい天然なのかも知れない。
「じゃあ、香坂は男同士はどこで出会うと思ってる」
「そんなのは決まってます、祐さんみたいな店ですよ。そういう店で出逢うんですよ」
当たり前の事だと言う顔で話す。
俺は香坂の話を頭で必死に整理していた。
香坂は、軟派は男が女にするもんだと後は男同士の出逢う場所はゲイバ-だけだと思ってるって事かどうしたらそんな思考回路になるんだ、判らん。
ゲイバ-以外の普通の生活では男が好きな奴に出逢わないと思っているのか?
世間知らずなのか天然なのか今迄良く無事でいたな、教えるべきか悩む処だ。
考え込んでいると「課長、どうかしましたか?」
屈託ない笑顔で話す
「いや、何でも無い。夕飯どこ行こうか考えていた」
誤魔化して、やはりこのまま天然のままにしておこう。
今迄、無事だったんだ余計な事言わないほうが返っていい、これからは俺が守ればいいんだから、それにしても今後が大変だなこの容姿だ男も女も寄ってくるだろうどう蹴散らすか考えもんだ。
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