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第43話
濃厚なキスの余韻を残して抱きしめていると
「課長、キス上手過ぎです、いつも俺翻弄されてしまう」
体を預けて下から上目遣いで話すから堪らずまた、濃厚なキスをして
「下手より良いだろう」
ニヤっと笑いこっちの方が翻弄されているがなと思っていると
「まあそうですが……経験の差が解って妬けます」
胸にコテっと額を付けて素直に話す内容に顔がにやけてしまう。
今迄これ程濃厚なキスは誰ともした事が無かった、求められればするが自分から積極的にする事は無かった。
お互い割り切った関係だからキスはしなくてもセックスは出来る。
キスは雰囲気を盛り上げるパフォーマンスの1つだと思っていたが香坂とするキスは甘く頭の芯まで痺れるような中毒になりそうな位で何度でもしたくなる。
外見は絶世の美人なのに性格は素直で可愛い、こんな奴どこを探しても居ない。
俺は運が良いこんな宝石を手に入れたんだからああ又キスしたくなった、これじゃ終わりが無い。
「あんまり可愛い事言うな。このままホテルにでも連れ込みたくなるが折角のデ-トだ、夜まで我慢する、そろそろ行くか」
最後にチュっとキスして手を繋いで歩き出すと照れて頬を赤く染めて黙って歩き出す。
車に乗って「館山で海産物網焼きで食べるかサ-ビスエリアに寄りながら少しずつ食べるかだがどっちが良い?」
「……網焼きも良いし悩む所だけど当初の予定通りサ-ビスエリア寄りながらにします」
「館山のサ-ビスエリアから行くか?最終的に海ほたる目指しながらチョコチョコ寄るから」
「はい、楽しみです」
車を走らせ最初のサ-ビスエリアでお勧めを軽く食べドッグランがある所だったから見に行く事にした。
「愛犬と一緒に旅行に行く人が多いからですかね、ドックランあるの珍しいですよね」
「そうだな。飲食店でも愛犬OKの所も多くなって来てるし需要があるんだろ」
香坂はドックランで走り周ってる犬を見て「可愛い可愛い」と笑みが零れてる。
犬そっちのけで香坂の姿を微笑みながら、お前の方が何十倍も可愛いと思っている事は内緒だ。
暫く眺めて「香坂、次行くぞ」
車に乗り込み海ほたる迄2〜3ヶ所、休憩がてら名物を食べ足湯があったり地元物産展があったりと色々楽しめた。
車の中では海で拾ってきた物を覗いてたから「どうするんだそれ」
「折角ですから大きい貝殻は飾って、小さい物は……写真立てに貼ってみようかとシ-グラスは1度作ってみたかったから楽しみです」
「ガラスの事か?何するだ?」
「課長、これ確かにガラスなんですけど岩にぶつかったり波に削られたりして角が取れて柔らかい形になるんです。元がガラスなので色んな色があるんです、色によっては高く売れたりするんですよ。俺はアクセサリー作ってみたかったから見つけられて嬉しいです」
香坂の趣味の1つでもあるアクセサリー作りか、こんな嬉しいそうなら連れてきて正解だったな他の海も取れそうな所探してまた海に誘うか
「出来たら見せてくれよ」
「はい、初めてなので上手くいくか不安ですがやってみます」
また、ガラスを覗いて手に取って綺麗に拭いて光に翳して楽しそうに話す。
香坂の趣味の話やサ-ビスエリアでの話をしたらアッと言う間に海ほたるに着いた。
陽が落ち展望台から見る景色は綺麗だった。
千葉方面には工場地帯の灯り東京湾にはフェリーの灯りとビルの夜景を眺め海の上に浮かんで周りは海だけという不思議な感覚だった。
「見渡せば海だけで吸い込まれそうですね。夜景も綺麗で日本じゃないみたいです」
「そうだな、この綺麗な夜景を香坂と見れて良かった、寒く無いか?」
「はい、風が気持ちいいです」
暫く景色を楽しんで館内に入ると土産屋を覗いて記念にイルカのキ-ホルダーを2つ買い
「香坂、記念に持っておけ」と渡す。
「可愛い、早速スマホに付けます」と付けてかざして眺めて「ありがとうございます、課長は何かに付けますか?」
「香坂と一緒にしたいがそれはマズイだろ……そうだな鍵に付けるか」
マンションの鍵に付け「お揃いだな」2つを並べる。
「はい」はにかんでる顔も可愛い。
俺も年甲斐も無くお揃いにした自分が今になって恥ずかしいくなってきて誤魔化すように「何か食べるか」と館内を歩き始める。
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