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第49話

ソファ-に運ばれてから動けない俺の為に課長は何が嬉しいのか機嫌良く。 「腰にクッション充てておけ」「寒くないか?」「コ-ヒ-入れたから」と甲斐甲斐しく世話を焼く。 寝室から洋服を持って来てくれたのは助かったが、着替えさせようとするのは恥ずかしいから断って支えて貰う事は、お願いしたがいつまでやってるんだろう、俺は世話をして貰うのは嬉しいが……。 「昼はピザ頼んだからコ-ヒ-のお代わりは?」「………。」 「午後はDVDでも観てゆっくりしよう」 「………。」 「香坂はどんな映画が観るんだ?アクション?ホラ-?ファンタジー?割と何でも揃ってるぞ」 「………。」 「……香坂…頼むから口効いてくれ」 「………。」 DVDを探して少し離れた所から俺の膝の前に座り手を撫でられ 「悪かった、頼むから口効いてくれ、お前と言葉を交わせ無いのは堪(こた)える。どうしたら口効いてくれる?何でも言ってくれ」 本当に反省したようだから 「……怒ってるわけじゃありません、恥ずかしくってどうしたらいいか解らないのと課長が全然、側に居てくれないのが寂しいです」 口を効いてくれた事にホッとし嬉しい言葉を貰って 「怒ってはいないのか?無理させて出掛ける事も出来ない、終わった後はやり過ぎたと反省するんだがその時は夢中で…大人気ないな。香坂の事考えれば抑えないといけないのにほんとに悪かった」 「えっと、休みの前の日なら大丈夫ですが明日会社なのでちょっと困ったなぁって思ってるだけです。午後ゆっくりすれば体力も回復すると思うしそれに出掛けるだけじゃなく2人でまったりと過ごすのもいいので」 「ほんとか、じゃあ何かして欲しい事は無いか」 「そんなに言うならチョコとコ-ヒ-お願いします。後はDVD観てる間は課長は俺のソファ-になって下さいね」 「そんな事で良いのか?」 俺には逆にご褒美なんだが……。 「課長、お世話焼いてくれるのは嬉しかったけどいつまで待っても側に来てくれないのが寂しかったのでソファ-になるのは罰ですよ」ふふふと笑う。 「そんな嬉しい罰ならいつでも受けるぞ」 頭をぽんぽんしコ-ヒ-とチョコを持ってきてその間に宅配ピザが届いた。 DVDはアクションものにして課長は、俺の背後から足を広げ間に俺をいれ背中から抱きしめてお腹に手を回す、その手に手を添えると肩に顎を乗せ話すから耳元がくすぐったい 「アメリカで買ったのが殆どだから英語版だが香坂は、大丈夫だろう?」 「はい、大丈夫です。でも、なぜ英語版なんですか?」 「アメリカで聴き取り用に観てたんだ。日本にいるアメリカ人はゆっくり話してくれるがあっちではそんな気遣いしないからな。だからDVDは色々揃った」ははは… 「課長でもそんな努力するんですね」 「まあな、ほら観るぞ」 背後から抱きしめてくるから俺は課長に寄り掛かかりピザを食べDVDを見始めた。 大分前のアクションもので見た事あるが懐かしく観てたけど、ピザを食べてお腹いっぱいで段々と眠くなって、うとうとし始めた。 「ほら、眠かったら寝ろよ」 頭を撫でられたら気持ち良くなって瞼を閉じてしまった。 ス-ス-と寝息が聞こえ顔を覗き込んで 「寝たか、無理させたからな」 駄目だな。平日は会社だけで逢うのを我慢している、その分香坂不足の為休日に逢えると我慢が効かない。 少しずつ平日も逢うようするか食事だけとか部屋でこういう風にまったりするんでも良い、兎に角2人で過ごす時間が欲しい。 それにしてもソファ-になってくれとは可愛い罰だ。 さっきの香坂の言い方と姿を思い出し頬が緩む。 怒るより側にいて欲しいと寂しがり屋のお姫様に俺は心底やられた。 寝ている頭にちゅっとキスしこんな時間もいいなぁと幸せに浸っているとフッと俺が香坂から離れたら寂しがり屋のお姫様は直ぐ誰かとこういう時を過ごすのかと思うとギュッと心臓が縮まる思いがした。 ネガティブな考えに頭を振りそんな事は今後永遠に無い、香坂の隣には俺が常に居ると決意を新たに強く抱きしめた。

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