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第50話
「……さか…香坂…」
肩を揺すられ誰かが呼ぶのを意識の中で聞く。
「そろそろ起きろ、出掛けられなくなるぞ」
「うぅん、もう少しだけ」頭を擦り付けると
「仕方ないなぁ、後10分だけな」
頭を撫でられ、また、うとうとする。
香坂の顔を眺めて
「可愛い、なんでこんなに可愛いんだ」
甘える姿にデレデレしてしまう。
目を擦り「ん、もう朝?」
寝ぼけて可愛い姿に愛しく
「夕方だ、1度起こしたが結局30分寝てたな」
頭にちゅっとキスする
「えっ課長、すみません。ずっとこの姿勢で居たんですか?大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。俺はこの体勢がいい、こうやって香坂を抱きしめられるからな」
ギュっと抱きしめる。
「ふふふ嬉しいです。俺もこの体勢好きです、守られている感じがします」
「じゃあ、2人で部屋いる時はずっとこうしてような」
「はい」
素直な返事に頭をぽんぽんして
「香坂、腹空かないか?ピザだけだったからな身体、大丈夫ならどこか食べに行くか?それとも出前でも取るか?」
「身体は楽になりました……課長さえ良ければ散歩しながら近くのスーパーで買い物して何か作ります」
予想もして無い嬉しい返答に
「香坂、作ってくれるのか?」
「いつも外食ばかりでお金使ってるし、課長が住んでる所も色々知りたいです。美味しいかどうか味は保証しませんよ、何が食べたいですか?」
嬉しく背後からギュっと抱きしめ
「俺もあんまりわからないがス-パ-と美味しいパン屋は知ってる。香坂が作ってくれるなら何でもいい」
「和食か洋食どっちがいいですか?」
どっちも作れるのかと感心して
「そうだな、今日は和食で…でも無理はするなよ」
「できる物しか作れませんよ、あんまり期待しないで下さい。じゃあ、散歩がてら探検しますか?」
可愛い言い方にちゅっとキスし
「じゃあ着替えて行くか」
立ち上がり香坂も大丈夫そうだと確認して着替えて部屋を出た。
自分が住んでる所だが知らない場所があって色々楽しかった。
マンションの近くに大きめな公園.美味しいパン屋.とコンビニは知ってたが定食屋.本屋.雑貨屋と少し足を延ばすと商店街もあった。
「課長、今日は時間があんまり無いから今度ゆっくり散歩しませんか?」
「そうだな、いつも夜帰るだけだったからな。こんな所あったんだな、また、ゆっくり来よう」
ス-パ-では香坂は手際よく必要な材料をカゴに入れ
「課長、何か必要な物ありますか?」
「いや、特に無い」
「じゃあ、精算して帰りますけど」
財布を出そうとしたら
「課長、いつも出して貰ってるんで、この位は俺に出させて下さい」
サッサとレジに行き精算してしまった。
部屋に戻ると6時過ぎていた。
「課長、キッチン借ります。テレビでも見てて下さいね」
買ってきた物を冷蔵庫に入れ腕捲りをしてキッチンに立つ姿を見て、奥さんみたいだな今度エプロンを買って置いておこうそれを身に付けた香坂がキッチンに立ち背後から……変な妄想は止めておこうまた、ムラムラすると困る。
でも今度、1度位キッチンでするのもいいなと思う…気を紛らす為香坂からテレビに目を向けた。
暫くすると良い匂いがして
「課長、出来ましたよ」
呼ばれ時間を見ると1時間経ってなかったがテ-ブルに並べられた品に目を見開いた。
ご飯.味噌汁.玉子とツナのサラダ.肉じゃが.カレイの煮付け
「香坂、こんな短時間で凄いな」
「そうでも無いですよ、味は保証しませんよ」
「じゃあ頂きます」
「はい、頂きます」
俺が肉じゃがを食べるのをジッと見詰めている
口にいれて
「香坂、味が染みてて美味しいぞ短時間で良く出来てる」
安心した顔で「レンジを使うと短時間で出来るんですよ」
自分も食べ始める。
カレイの煮付けもサラダも凄い美味しいかった料理上手な奥さんを貰ったと細く微笑む。
あっと言う間に食べ終わって
「香坂、料理上手いな、どれも美味しかった。また食べたい」
「こんなんで良いならいつでも」
また香坂の料理を食べられると思うと嬉しくなる。
片付けは俺がやると言ったが香坂も譲らないから結局2人でキッチンに立つ。
ああ、こんな感じ良いなとニヤケて居たのを香坂は気付か無いで居た。
リビングで香坂を背後から抱きしめて座り香坂も身体を預けてリラックスしている、この重みが愛おしい。
テレビを見て話をして過ごす。
「課長、もうそろそろ帰ります」
香坂の言葉に時間を確認すると9時を過ぎていた。
ほんとは帰したく無いが明日は会社だ、仕方ないと自分に言い聞かせ
「じゃあ、送るから」
「良いですよ、電車で帰ります」
「香坂、送りたいんだ。少しでも一緒に居たい」
頬を染め「解りました。お願いします」
部屋を出る前に玄関で
「香坂」
靴を履いて居た香坂が呼ばれて振り向く、抱きしめて軽くキスをし咥内に舌を挿れ絡める。
角度を変え何度も舌を絡める、香坂の咥内を堪能し口を離す。
「はぁはぁ…課長」
香坂からもちゅっと可愛いキスをくれた。
「可愛い事するな」
頭をぽんぽんし玄関を開け部屋を後にする。
エレベーターでは誰も乗って無い事をいいことに手を繋いで駐車場まで行き助手席に乗せ香坂のマンションまで束の間の会話を楽しみあっと言う間に着いた。
「ありがとうございます。楽しかったです」
降りようする香坂に軽くキスし
「また、明日会社でな」
「はい」
マンションの中に入ったのを確認して車を出す。
昨日と今日で何となく香坂からも硬さが取れて甘えてみたり拗ねたりと色んな顔を見せるようになった。
もっともっと一緒にいる時間が欲しい。
香坂と逢えて幸せを噛み締めて自宅へ車を走らせる。
この時、これから香坂の天然に振り回される事になるとは思わなかった。
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