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第53話
部屋に入り暫く何も考えられず呆然とソファに凭れ掛かっていた。
それから今日は酔いもあるから頭の中が整理できていない。
恋人同士みたいな時間や毎日のLINEどれも嘘だと思いたく無かった。
もう考えるのは明日にしようと逃避行した。
「お風呂入ってもう寝よう」
独り言を言いお風呂に入った。
それからベッドに潜り込んでイヤホンをして音楽掛け頭から布団を被って外部を遮断した。
♪*気分は大丈夫か?明日、ゆっくり過ごして良くなって居たら夕飯は一緒に食べよう。また、明日、昼頃連絡するから、おやすみ*
俺はいつも通りに香坂におやすみLINEをし風呂に入った。
風呂から出てLINEチェックすると既読にも成らずにいた。
こんな事初めてで心配だったが酔っていてもう寝たのかも知れないと思い、また、明日返信がくるだろうと安易に考えていた。
「香坂、明日には気分良くなってろよ。おやすみ」
香坂の寝顔の写メを見て呟いて寝てしまった。
起きたら昼近くだった。
寝過ぎてしまったと思ったが起きたら考え無ければならないと布団の中でグダグダと過ごして居ると♪ピロ~ンLINEが鳴った。
スマホを開くと昨日の夜と今と2通LINEがあって慌てて昨日のから見て今のLINEは
♪*おはよう、気分はもう良いか?夕飯行けそうか?*
どうしようこんなに心配してくれて居る……。
でも今の状態では会えない、ちゃんと逃げないで考えようと思い返信する。
♪*おはようございます。昨日あのまま寝てしまいLINE気付かずにすみません😔頭がまだ痛いので今日は家で過ごします。折角誘ってくれたのにすみません*
♪*解った。無理せずゆっくり過ごせよ*
♪*ありがとうございます*
なんとか断れた、昨日は余り酔っても居なかったので気分も悪く無いが気持ちが沈んで断った。
嘘を付いた罪悪感があったがどうしようも無い。
課長、ごめんなさいと心で謝る。
起き上がりコ-ヒ-を飲みながらソファで見ないテレビを付け考え事を始める。
頭を整理しよう、昨日、課長が言った絶世の美人って上野さんが言ってたからやはり女性の事だよな、男に美人は使わないし……。
でも俺と居ると楽しいとか幸せだと言ってたし2人でいる時はまるで恋人同士みたいに甘い雰囲気なのはどうして?
昨日の会話を思い出し、そうか田口さんと佐藤さんがアメリカの人とか遠恋とか言ってたのに否定しなかった……もしかしてアメリカに彼女がいて日本で寂しいから……。
女性だと後々面倒な事になるから男の俺なのかもしれない……。
そう思うと涙が溜まってきた、袖で拭き膝を抱えフッと頭に浮かんだ。
そう言えば今まで1度も好きとか愛してるって言われて無い事に気づき、涙が止まらなくなる。
もう、良からぬ事ばかり考えつく。
アメリカに彼女がいて日本に居る時のセックスフレンド?可哀想だから恋人同士の雰囲気にしてくれたんだ。
そんな相手に好きも愛してるの言葉は必要無いって事か。
辻褄が合うと思い込んだ。
その日はずっと何もせず中島みゆきの歌を聴いて泣いて過ごし泣き疲れて課長からLINEがまた、きているのも気付かずにそのままソファに寝てしまった。
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