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第58話

ロンTにシャツを着て、大きいから腕捲りし黒のスキニーパンツもベルトでどうにか調節し、俺の服を着て電車に乗っている香坂を見てニヤニヤしてしまう。 何着ても似合う、今日は大学生かストリートファッションモデルみたいだと考えていると小声で 「課長、どこ行くんですか?」 首を傾げて聞く姿に可愛いと抱きしめたかったが今は外で電車の中だと我慢する。 「ん、車を見に行く。大体の目星は付けているが色で悩んでるから香坂と一緒に決めようと」 「えっ、車買うんですか?」 「どこかに出掛ける時に必要だし旅行とかまた海にも行きたい。昨日みたいに合コン行ってる香坂を迎えにも行きたいしな。遅かれ早かれ買うつもりだった」 少し嫌味も含めて話す。 バツが悪そうに「すみませんでした。もう合コンには誘われても行きません」 「そうしてくれ、縛るつもりは無いが…。ま、この話はこれで終わりだ。香坂、確か免許は持っていたよなお前も乗るんだから好きな色選べよ」 頭をぽんぽんする。 「課長、冗談ですよね。俺、確かに免許有りますが会社の車に乗る位です。新車なんて怖くって乗れませんよ」 「それもそうか。でも、必要ならいつでも言えよ。取り敢えず暫くは慣れるまで助手席専用だな」 車の話をしていると目的の駅に着き車屋に向かう。 俺が目星を付けていた車の実物を見て 「カッコいい」「高級感がある」と言いあっちこっち見て周っている。 「香坂、色なんだが黒.シルバーメタリック.ブラックパールで迷っているどれがいいと思う」 香坂が見ているのはブラックの展示品なのでカタログを見せて話す。 「課長。俺の意見は言いますが、最終的には課長が決めて下さいね」 「解った。解った」 「ん~、黒は高級感があるしシルバーは傷とか汚れが目立た無いから使い易そう、ブラックパールは光の反射によって黒にもパ-プルにも見えるんだ……ん~俺ならブラックパールかな」 「解った。ブラックパールにしよう」 俺が言うと慌てて 「課長、そんなに簡単に決めないで下さいよ。高い買い物なんですから」 「いや、簡単には決めて無い。俺もその色が3種類の中では1番いいと思っていたからな。ただ香坂の意見も聞きたかっただけだから。少し待ってろ、契約してくるから」 「えっ今日、契約するんですか?」 あんまりの決断の早さに驚く。 「先週、香坂と会えなかったから、大体の契約内容の話もついているし、ちゃんと割引もして貰う事になってるから安心しろ」 頭をぽんぽんして、担当者と共に契約する為にテ-ブルに着き、先週、話は大体ついてあったから20分程で終わった。 ソファで雑誌を読んでいた香坂に声を掛け車屋を後する。 駅に向かって歩き 「俺の用事は終わったから次は、香坂が良く行く服と雑貨を見に行こう」 「俺の行く所は安い店ですよ。課長が行くような所じゃないですよ」 「香坂がどんな店に行ってどんな物に興味があるか知りたいんだ。そこで服何着か購入して俺の部屋に置いとけ、そうだな泊まりの時の部屋着と外出用は必要だな」 にやにやして話すと照れて 「別に買わなくっても少し家から持って行けばいいだけですから」 「足りない分は持って来ればいいが今回は購入する」 「解りました。でも、いつも歩いていいなっと思った店に入ったりデパートに行ってみたりですよ」 下北沢か池袋で買い物すると言うから、ここからだと池袋方が近い。 美人な香坂を連れて歩くのも楽しいし香坂の趣味や嗜好が解り買い物デ-トもいいなと思いながら池袋に行く事にした。

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