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第60話
雑貨屋には今まで余り入った事が無かった。
「香坂、好きなの選べよ。ちょっと店内ひと回りしてくる」
「はい、解りました」
香坂はマグカップを探しに、俺は物珍しいさもあって不思議な物が有ると何に使うのかと手に取り、奇妙な品物が有ると買う人が居るのかと考えたりと結構楽しんで店内を物色していた。
香坂と別行動して20分位経った。
そろそろ決まったかと香坂の元に戻ると香坂は女子高生に囲まれて何やら話をしていた。
またかと考え近寄ると「LINEだけでも教えて下さい」「写メはいいですか」言われて
「え~と俺はそんなんじゃ無いんで」「困ります」答えていたのが聞こえた。
全くモテる恋人を持つと苦労する。
これから先も思いやられると頭を掻いて、困ってるようだから助けるか。
「おい、香坂買う物決まったか」声を掛けると香坂と女子高生が一斉に俺を見て、香坂はホッとしたように「今、会計して来ます」レジに逃げて女子高生は「うわぁ、こっちの人もカッコいい」と声が聞こえたが無視し店の外で待っていた。
会計を済ませて「すみません、お待たせしました」
紙袋を持つ香坂と歩きながら
「何だ、女子高生に軟派されたのか?」
困った顔で「軟派って言うかモデルさんですか?って聞かれただけです」
「LINEとか写メとか聞こえたが」
「それは……でも、モデルでは無いのでって断わってた所に、課長が声掛けてくれて助かりました。最近の女子高生は積極的で凄いですね」
変な所で感心して、全く自分の事を解って無い無自覚さにこっちが困る。
「もう、買う物は無いか?無かったら帰るか?腹も空いてきた」
「はい、帰りにスーパーだけ寄りたいです」
「解った、よし帰るか」
電車に乗り近くのスーパーに寄る。
またも香坂はテキパキとカゴに入れ、支払いは自分がするとレジにサッサと行ってしまった。
ス-パ-の袋を持つと「ありがとうございます」微笑む
些細な事でも喜んでくれる香坂が可愛い。
マンションまでの道を2人で話ながら歩く。
「課長、これからスーパーでの食料品は、俺が払いますから」
突然言われ「俺も食べるんだ。別に俺が払っても構わないだろ」
「だって、外出すると全部課長が払っちゃうから俺全然出して無い。責めて食料品位は払わせて下さい。お願いします、じゃないと気が引けて外出できません」
外出先での支払いを気にしてたんだな。
年上だし俺の方が給料も貰っているんだ、別に気にする事無いと思うが香坂の性格じゃあ言っても無駄だな
「解った。これからは外出先は俺が払う、年上なんだからカッコつけさせろ。その代わり香坂が料理する時は頼むな」
頭をぽんぽんする。
嬉しいそうに「はい、なるべく作るようにします」
にこにこして話す。
「香坂の手料理食べられるのは嬉しい」
素直に言うと可愛いく照れてる。
他の奴なら払って貰って当たり前って感じだ、まあ、俺も今までそう思ってたが香坂は付き合っていてもそういう所は、きちんと一線引いて甘え無い。
そういう所も新鮮だし自分をきちんと持ってる感じでいい。
早くマンションに着いて2人っきりになりたいと少し足早になる。
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