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第61話
やっと、マンションに帰って来た。
楽しかったが人混みと電車移動で疲れた。
ラグに座りソファにだらしなく寄り掛かり冷蔵庫に食材を入れている香坂を眺めていた。
「課長、疲れたでしょ?今コ-ヒ-入れますね」
コ-ヒ-メ-カ-をセットする。
「頼む、香坂もコ-ヒ-入れたら座って休め」
ちょこまかと動く香坂に早く側に来て欲しかった。
コ-ヒ-を2つ貰って来て、目の前のテ-ブルに今日買ってきた、マグカップが色違いで置かれた。
俺には格子柄の青いマグカップで、香坂は同じ柄の赤だった。
ペアで買ったのかと同じ物を欲しがる香坂に頬が緩む
マグカップを手に取り「ん、ペアにしたのか」
「はい、課長のマグカップはあるけど、どうしても色違いで欲しかったんです。それに、このマグカップ面白いんですよ、普段はただの線なんですがお湯を入れると色が浮き出て格子柄になるんです」
マグカップを両手で持ち照れて話す姿に早く抱きしめて香坂不足を解消したくなった。
「香坂。ほら、いつもの場所に座れ。外で我慢してたんだ、早く抱きしめさせろ」
足の間に座るようにラグをぽんぽん叩く。
素直に足の間に座る香坂を後ろから抱きしめ
「はあぁ、やっと抱きしめた」
腕の中に香坂がいる事を実感しギュッと抱きしめ、少し疲れが取れた気がした。
お腹に回した俺の手に手を重ね。
ふふふ「課長、よっぽど疲れたんですね」見当違いの事を言い「疲れた時は甘いものが良いんですよ」俺の口の中にチョコを入れ微笑む。
「そうだな、疲れた時は甘いものが1番だな。香坂にもお裾分けしなきゃな」
顎を持ち唇を重ね咥内に半分溶けたチョコを舌に乗せ絡め、角度を変えクチュクチュと音をさせ何度も絡め合う。
唇を離すと「ん…甘いキス」照れ笑いしている。
甘い味と甘い雰囲気に、このまま崩れ込もうと思った時に、グルル~と俺の腹が鳴った。
お互い顔を見合わせて「…………。」
ぷっあははは…香坂が笑い出し俺は甘い雰囲気を壊した事と恥ずかしさとでバツが悪く、頭を掻き「すまん、腹が鳴った」
ふふふ「じゃあ、先に性欲より食欲を満たしましょうか」
するりと腕から抜けて立ち上りキッチンに向かうのをまだ未練がましく「香坂…」声を掛ける。
振り向き「直ぐに作りますね、少し待ってて下さいね」
腕捲りをしてキッチンに行く姿を見て、あっと思い出し、クロ-ゼットからプレゼント用に包装された品を持ってキッチンに向かう。
冷蔵庫から食材を取り出している所に「香坂、これ」目の前に出すと「何ですか?開けて良いですか?」
黙って頷くと丁寧に開けて中を見て手に取り広げ
「わぁ、エプロンですか?綺麗な色ですね。凄く嬉しいです。これから料理作るの楽しくなります」
ふわりと天使のように微笑み早速身に着ける。
照れながら「どうですか?似合います?」
「色、迷ったが凄く似合ってる」
「俺、外出の時は結構モノト-ンにする事が多いから部屋では明るめの色を着るようにしてるんで、この色凄く気に入りました。ありがとうございます。じゃあ頑張って作りますから待ってて下さいね」
「じゃあ、出来るまでソファにいるから何かあったら呼べよ」
邪魔になると悪いと思い、ソファに移動してそこからキッチンに立つ香坂のエプロン姿を堪能していた。
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