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第66話
膝枕で頭と腰を撫でられて、気持ち良さにうとうとして目を覚ました。
お腹も空いたなぁと思い「ん~、今何時ですか?」
俺の頭を撫で「昼過ぎだ、何か出前でも取るか?」
「お腹空きましたよね。昨日の残り物で軽く作ります」
少し楽になった体でキッチンに向かうと課長が支えてくれた。
「別に、無理するな」
気遣う優しさを感じて「朝食用にと思って、少し昨日多めに作ってあるので直ぐできます。使わないとだめになっちゃいます」
家庭的な所を見せる香坂に、良い奥さんだと思いながら責めて出来る事をしようと申し出る。
「何か手伝う事あるか?」
「ん〜、じゃあ食パン4枚焼いて下さい」
言いながらてきぱきと手を動かす姿に感心する。
アッと言う間にハンバーグレタスサンド.玉子サンドが出来上がり、コ-ヒ-を入れ食べ始める。
「美味い。昨日の残り物だとは思えない」
ふふふ「そうですか。足りないなら玉子サンドなら、まだ作れますよ」
「いや、大丈夫だ。夕飯を早めにすれば良い。ん〜美味い」
美味しそうに食べる課長を見てると嬉しくなり
「課長、はいあ〜ん」
俺のハンバーグサンドを口元に持っていく。
目を点にして、戸惑っていたが直ぐに破顔して、1口食べる。
「ん〜美味い。尚更、美味く感じる」
「そうですね。2人で食べると美味しいですね。今度、お弁当持ってどこかに行きましょうか?」
あ〜んなんて良い歳してやるとは思わなかったが、天然の可愛いさに自然と口が開いていた。
同じ食べ物なのに、不思議と倍美味しく感じた。
香坂の手作り弁当を食べられるとは……。
だらし無い顔でデレデレしてると思うが仕方ない。
「いいな、近くの海でもいいし広めの公園でもいいな。楽しみだ」
2人の約束事がどんどん自然に増えていく事が嬉しい。
午後からは古いDVDを見て、早めの夕食はササッと作ったオムライスとサラダ.ス-プでオムライスの玉子が半熟でトロトロして美味かった。
食事を済ませ、いつもの体勢で背後から抱きしめテレビをだらだら見ながらイチャイチャしていると時間は直ぐに経ってしまう。
時計を見て「課長、そろそろ帰ります」
立ち上がり寝室で着替えてくる。
もうそんな時間かと思い、やはり帰さないとマズイかと考えながらも
「香坂、帰りはタクシーを呼ぶから」
1人で帰すのが心配で話す。
「えっ、電車で帰りますよ」
そう言うと思って「無事に帰るか心配なんだ。本当は車で送りたいが……納車したら送れるしス-ツ届いたら、ここから出社してもいいし今日は仕方無いが、頼むからタクシーで帰ってくれ」
こう言えば折れるだろうと考えた、やはり
「解りました。今日はそうします」
タクシーを呼び下まで送るつもりで、2人でエレベ-タ-に乗る。
誰もいない事を良いことに、抱きしめ軽めのキスをし「部屋に入ったら、必ずLINEくれ」
「課長、過保護過ぎですよ。でも、LINEしますね」
ふふふと笑い、お返しのキスをくれた。
甘い雰囲気に帰したく無いと思う気持ちをどうにか堪えて、タクシーに乗せ見えなくなるまで見送り、自分の部屋に戻る。
香坂が居ない寂しさで部屋が寒々と感じた。
「……いつか、一緒に住みたい」
自然に口から出た。
風呂に入り、そろそろ着いた頃かと思いLINEを開くと丁度着いたようだ。
♪*無事、着きました😃凄く楽しかったです。ゆっくり休んで下さいね♪*
直ぐに返信する。
♪*これで安心して、寝れる♪*
♪*大袈裟ですよwww♪*
♪*いや、大袈裟じゃない。香坂がいない部屋は寂しく感じる♪*
♪*俺も課長が側に居ないと寂しいです😞♪*
香坂もそう思ってくれていると思うと嬉しくなり
♪*愛してる♪*
♪*俺も愛してます……恥ずかしい♪*
恥ずかしがってるのが目に浮かぶ。
♪*ゆっくり休めよ、明日会社で。おやすみ♪*
♪*はい、おやすみなさい♪*
何度も見直し、愛してるという文字にニマニマし、さっき感じてた寒々としたものが消え、ふわぁっと香坂の温もりを感じた。
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