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第71話

「香坂、眠いなら寝ていいぞ」 頭をぽんぽんし撫でる。 「ふあぁ…今度、課長の大学生の頃の話を聞かせて下さいね…ねむ…」 クルっと体を反転し背を向ける。 「おい、そっち向いて寝るのか?」 寂しく思い聞く。 「ん…はふぅ…この方が密着して包まれて、守られてる感じがして安心できるから…おやすみなさい」 可愛らしい返事に「全く、参るな」 背後から抱きしめ「ああ、落ち着くな」 いつも部屋で、背後から抱きしめて座っている事が殆どだからか、この体勢が落ち着くように俺もいつの間にかなったな。 自分の胸元のネックレスを見てニマニマし、そう言えば、プレゼントは2つ目かと思い直した。 香坂が知らないプレゼント、前にホテルで書き残したメモはまだ財布の中にある。 あれもボロボロにならないうちに、机の中でも仕舞うとするか。 これで2つめのプレゼントだ。 このネックレスを見る度に、今日の事を思い出し、また決意を新たにするだろう。 背後からギュっと抱きしめ、後頭部に唇を落とし 「愛してる、おやすみ」 愛しい人を抱きしめ、ゆっくり目を閉じた。 暖かい温もりに包まれて、まだ目を覚ましたく無いと温もりにギュっと体を押し付けると頭の上から声が聞こえる。 「ん…起きたか?」 まだ、覚醒していない頭で 「…まだ…ねむい…あったかい…起きたくない…」 寝ぼけて可愛い返事と寝る時は背を向けてたのに、朝には抱きついて寝ている姿に、朝からデレデレした顔と下半身が反応を示すが、香坂の部屋ではしないと俺のモノに言い聞かせるように理性をどうにか保つ。 「可愛いが、そろそろ起きないと昼になるぞ」 俺の言葉に「えっ、もうそんな時間?」 ガバっと起きて時計を確認する。 「はあ、びっくりした。まだ、10時じゃないですか?」 もう1度、布団に戻りギュっと抱きつく。 「はははは…あのまま寝てたら、確実に昼になってたぞ。少し経ったら起きよう」 頭をぽんぽんする。 「…はい、起きたら軽く朝食作りますね。だから少しだけこのままで居たい」 「少しだけな。俺もいつまで理性が保つか解らんからな」 主張する俺のモノを押し付けると 「うわぁ、もう起きます」ガバっと起きだし 「朝食出来たら呼びますから……それまでにどうにかして下さい」 頬を染めて話しキッチンに向かって行く。 くっくっく「全く朝から可愛い。どうにかしろって言われてもな。朝は生理現象だし…少し経ったら落ち着くだろう」 香坂の温もりが無くなった布団で、寂しさを感じ今日の予定を考える。 10分もしないうちに「課長、朝食出来ましたよ。起きて下さい」と寝室に呼びに来た。 「やけに早いな」 「朝食は軽めにしました」 ベットから出て服を着て、リビングに行く。 パン.目玉焼きとソ-セ-ジ.サラダが並んでいた。 「あんなに早く良く出来たな、美味しそうだ」 「どれも簡単な物ですよ。コ-ヒ-、はい」 「ありがとう。いただくか」 食パンに齧りつき、半熟の目玉焼きと次々に食べていき話し掛けた。 「少しドライブしながら、どこかで昼飯食べて帰りス-パ-寄るから夕飯も作ってくれるか?」 「はい、何食べたいですか?」 「昼飯によるな。ス-パ-行く前には決めよう」 「解りました」 「ご馳走さん、美味しかった。少し休んだら出るか?」 「はい」 コ-ヒ-を飲みながら、香坂が食べてる姿を眺め、ソ-セ-ジを口に入れた時はドキっとした。 エロイ事を想像してしまい目線を外してしまった。 何だ普通に食べてるだけなのに、香坂の仕草1つでも敏感に反応する。 昨日しなかったし、我慢したから欲求不満か? 目の前で、そんな事を考えてるとは知らずに 「ご馳走さまでした」 洗い物を持っていく後ろ姿、特に小さいお尻に目がいく、マズい香坂の部屋ではしないと決めた筈だと思い直して、テレビを付けて面白くも無い番組を眺めていた。 洗い物を済ませて隣に座り 「課長の車に乗るの楽しみです。俺が1番始めですか?まだ、誰も乗せてませんか?」 「当たり前だ!1番始めは香坂って決めてたからな。基本、香坂以外は乗る事無いだろうが」 「うわぁ、嬉しいです。1番に乗れるなんて、ありがとうございます」嬉しさに抱きつく。 「おいおい、あんまりくっつくと出掛けられ無くなるぞ」ニヤリ笑う。 バッと体を離し「えっ、出掛けられなくなるの嫌です」 はははは「解った、解った」 素直な反応に笑い、頭をぽんぽんする。 「もう課長、揶揄ったんですねぇ」 拗ねる仕草も可愛いらしい。 それを宥めて、他からみるとイチャイチャしてるとしか見えないんじゃないかとフッと思い、こんな時間もいいなって感じた。 香坂の機嫌も直った所で「そろそろ本当に、出掛けるか」声を掛け出かける事にした。 「荷物忘れるなよ」 「はい、大丈夫です」 玄関を出る時「あっ、忘れもの」 「何だ?」 振り返ると背伸びをして、俺の唇にチュっと可愛いキスをし、照れて直ぐに玄関を出て行った。 少し呆然としてたかも知れない。 ハッと気付いて玄関を出ると鍵を締める為に赤い顔で待っていた。 香坂からの予期せぬキスにデレデレし 「可愛いキスありがとう。こういうキスはいつでも大歓迎だ。夜には何倍もお礼するから、楽しみにしてろよ」耳元で囁く。 「お手柔らかに、お願いします」 頬を染めて話し、照れて先に歩いて行く。 くっくっく…可愛い返事に笑いながら、後について行く。 香坂の家で初めて迎えた朝は何とも幸せな時間だった。

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