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第78話
朝飯兼昼飯を美味しく食べ、コ-ヒ-を持ってきた香坂に「今日、夕方から出掛けるから、夕飯は外で食べよう」
「はい、どこ行くんですか?」
「内緒だ、楽しみにしてろ」にやっと笑う。
「……解りました。楽しみにしてます」
不思議顔で答えて「じゃあ、片付けて少しキッチンに居ますから、課長はゆっくりして下さいね」
食器を持ってキッチンに行ってしまった。
今日はキッチン出入り禁止を言わたされてた。じゃあ、ゆっくりテレビでも見るとするか。
暫くするとテレビと香坂がいるキッチンの音でウトウトし始めた。
「…ん…いい匂いだ」
目が覚め気が付くと、香坂の膝に頭を乗せていた、膝枕だ。
俺の頭を撫でながら「昨日、作ろうと思ってたシチュ-作ったんです。折角、買った材料勿体ないので。冷めたら冷蔵庫入れて置くので、明日でも食べて下さいね後、スパ多めに茹でたので、小分けにして冷凍庫入れてるので、電子レンジで温めてレトルトル-でも掛けて食べて下さいね」
会わない時の俺の食事の事まで考えてくれた事が嬉しかった。
「ありがとう。俺は良い奥さんもらった」
重くならないように、冗談ぽく思った事を本気で言った。
「課長、冗談ばっかり言って」
クスクス笑う声が聞こえ、顔は見えないが怒ってはいないだろうと
「香坂は恋人兼家族だ。だから俺の奥さんだ」
「………。」
返事が無い事に不安になっていると、俺の頬に水滴が落ちてきた。
何だと思い香坂の顔を見ると、涙がポロポロと頬を伝っていた。
その顔を見て思わず綺麗だと思ったが「どうした?重かったか?」
頭を振り「…嬉しくって。家族って言ってくれた事が…恋人も嬉しいけど、家族の方が絆が深い気がするから……課長、ありがとうございます」
下から手を伸ばし頬を拭う。
「そうか、嬉しいか、良かった。俺の気持ちが重かったらどうしようかと思ってた。泣くな。泣き虫奥さんだな」
「じゃあ、課長は俺の旦那様ですね」
泣き笑いで話す言葉が嬉しく
「そうだ、よろしくな奥さん」
後頭部に手を伸ばし引き寄せキスを交わす。
咥内に舌をいれ絡ませクチュクチュ…と音をさせ何度も角度を変え絡めた。
唇を離し香坂の唇の表面を拭う。
「残念だが、今はここまでだ。出掛けるから時間がない」
名残り惜しそうに「…はい。でも最後に」
軽くチュっとキスをくれ、余りの可愛いさにデレデレと顔が緩んだ。
それから俺は香坂の膝枕で過ごし、出掛ける間際までイチャイチャしていた。
夕方になりマンションを出て歩き始める。
「課長、車じゃあ無いんですか?」
「呑むから電車で行く。待ち合わせは6時だから、その前にデパ-トに寄って少し買い出しする」
「?」
良く解らないけど着いて行く事にした。
デパ地下でツマミとお惣菜を買って電車にまた乗って目的地に行く。
降りた駅と歩いている風景は知ってるもので、まさかと思いながら課長の後に着いて行く。
課長が止まった所は、やはり知ってる場所で
「あの…課長…」
話掛けるがカンカンカンと地下に降りて行った。
今日は日曜だから休みのはず、どうして課長が……不思議な気持ちで慌てて降りて行く。
重厚なドアに“R”moneのプレ-トそのドアを開ける。
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