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第79話

「よ、待ったか?」 「おう、久しぶりだな」 そんな声が聞こえ「?」知り合い?話してる相手は祐さんだと思うけど…顔を出すとやっぱり祐さんで、俺の顔を見て目を見開いていた。 「伊織、そう言う事か。日本に帰国してから全然、顔出さないと思ってたら、いつの間に」 「ま…そういう事だ。話しは後で。これツマミと惣菜適当に出してくれ。後、酒2人分頼む。悪いな、休みなのに店貸して貰って、話すならここがゆっくり出来ると思ってな」 課長がツマミと惣菜を渡すと祐さんはテキパキと皿に出し酒を用意する。 「ミキ!」 呼ばれた方を見ると「マコ!」 マコがいてびっくりした。 マコも目を丸くしてるから、何も聞かされて無いみたいだ。 「祐さん、これどういう事?」 ツマミ.惣菜や酒を出し 「ああ、マコには言ってなかったな。1度会った事あるだろう。こいつ俺の高校からの悪友の成宮伊織だ」 紹介されて「成宮です。祐一の恋人の真琴君だね。これからよろしく」 握手を求めると祐一の恋人って言われたのが嬉しいのか頬を染め握手した。 「祐さんの恋人でミキの親友の園田真琴です」 目が大きく可愛い系の元気がある子って感じだった。 祐一はこんな感じがタイプなのかと密かに思った。 「ええぇ、祐さんと課長って友達何ですか?」 「ああ、香坂には秘密にしてたがな。今日、改めて紹介しようと思ってな。まぁ、座れ」 「そうなんですか、知らなかった」 香坂がスツ-ルに座った所で 「まず、話す前に乾杯でもするか?」 祐一が言ったのに合わせて4人で乾杯した。 「で…どうやって、口説き落としたんだ」 「えっ、ミキと付き合ってるの?」 「そうだよな伊織。こいつ、初めてここで会った日に、ミキに一目惚れしたんだ。絶対、自分の者にするって息巻いてたからな」 香坂を見ると真っ赤になって、居た堪れ無いのか恥ずかしいのか酒を呑んで誤魔化していて可愛い。 「真琴君、祐一。改めて言うが恋人になった」 「それは見れば解る。どうやったんだ」 「僕も知りたい」 聞きたがる2人に大まに偶然会社が一緒で、転勤先の部署に香坂が居て上司と部下の関係で、そこから少しずつ口説き落としたと話す。 「へぇ、そんな偶然あるんだな。そうなる運命だったんだな」祐一が言うと 「ミキ、全然聞いてない」拗ねる真琴君に 「マコ、ごめん。なんかアッと言う間に、そうなったって言うか俺も初めて会った時から、忘れられなかったんだと思う」 「そうなんだ」寂しそうな顔をする真琴君に 「マコ、ごめん。これからは何でも相談するから機嫌直して…ね」 上目遣いでお願いする香坂、そんな可愛い顔、俺以外にするなと言いたいが真琴君なら仕方ないと諦める。 香坂が真琴君を宥めてる間に祐一が「ふうん、お前でも、そんな顔するんだな」 どんな顔だよっと言いたいが 「まぁな、香坂限定だがな」 「ほう、ご馳走さん」茶化して笑う。 宥め終わったのか「ちょっとトイレ行ってきます」 香坂がスツ-ルから降りた時よろめいたから、直ぐに手を伸ばす。 「香坂、大丈夫か?酔ったのか?」 「大丈夫です。酔ってません、ちょっと引っかかって」 「ついて行くか?」 「課長、大丈夫ですよ」 心配でトイレに行く姿を見ていると 「おい、過保護過ぎじゃ無いのか?」 「いや、これ位で丁度良いんだ」 呆れる祐一。 「へぇ、まだ香坂、課長呼びなんだ。まだ、ミキにミキって呼ばせてもらえて無いんだ。じゃあ、まだ、安心して任せられないね」 真琴君が話すのを「こら、マコ。人それぞれなんだ。ましてや、伊織達は上司と部下なんだから」 「だって、祐さん…」シュンとする真琴君。 「あれ、マコ、また祐さんに怒られてるの?」 「そんなんじゃ無いもん。いいから、あっち行って話聞きたい」 香坂の腕を引っ張ってテ-ブル席に行ってしまった。 「悪い、伊織。気を悪くするなよ。マコはずっと色々相談されてたのに、今回は相談も無かったから拗ねてるんだ。あいつはミキの事が好きだからな。もちろんお前と違った意味でだ。ミキを初めて見た時から、自分の理想がいると憧れているからな。今までミキをあいつなりに守ってきたんだ。解ってくれ、悪気はないんだ」 「解ってる。真琴君には感謝している。香坂も言ってた、真琴君のお陰で今の自分がいるって。良い友達持ってると思ってる。祐一、これからも頼むな。俺が見える範囲なら俺が守るが…」 「解ってる。久しぶりにミキに会ったが、あれは、ヤバイ。愛されて自信ができたのか艶が出て、美しさに磨きが掛かってる。男も女も魅了されてほっとかないだろうな。それにミキは寂しがり屋だからな、その気になれば相手なんて直ぐに見つかるぞ。モテるからな苦労するぞ。それでも愛してるなら離すなよ。」 店で色んな人間を見ている祐一が話す位だ、香坂の魅力は半端無いらしい、困ったなと思うが 「解ってる。何があっても離さない。祐一だから言うが、出来れば誰の目にも触れず閉じ込めて仕舞いたいくらいだ」 本音を話す。 「気持ちは解る。伊織の本気も伝わった、取り敢えず安心した。これでマコもミキ離れ少ししてくれれば良いが…」 「祐一、さっき言ってた、真琴君のミキって呼ばせてもらえて無いって話だが…」 「ああ、その事か。ミキは大切な人にしかミキって呼ばせて無いんだ……理由はミキに聞いてくれ。俺から話す事じゃ無いからな」 「……そうか。解った」 俺は祐一と真琴君がミキって呼んでいるのが前々から羨ましかった。 プライベートでの敬語もどうにかしたかったし、香坂にいつかはミキと呼びたいと思っていたが、上司と部下のしがらみで中々言い出せずにいた。

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