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第84話
香坂を車でマンションまで送り、部屋でビ-ルを飲みながら思い出していた。
土曜日に迎えに行き、そのまま適当にドライブし、夕飯は外で食べ俺のマンションに泊まった。
ドライブから帰って来て、直ぐにキッチンに立つミキが、コ-ヒ-を入れる時に気付いたようだ。
「課長、これどうしたんですか?」
「ああ、それな。香坂がこの前ハンバーグ作った時、玉葱で泣いてただろう。これを使えばもう、泣く事も無く楽になるかと思ってな、ネットで買った」
「うわぁ、嬉しいです。これなら、沢山色んなもの作れます。本当に嬉しいです」
喜ぶ顔を見て、こっちまで嬉しくなる。
暫く、フ-ドプロセッサ-の使い方を確認してからコ-ヒ-を持ってきた。
いつもの体勢で、俺の前に座り体を預ける姿に愛しさが湧く。
背後から抱きしめ、用意していた可愛いプレゼントを渡す。
「香坂、これも」
「えっ、何ですか?フ-ドプロセッサ-だけでも充分なのに…開けて良いですか?」
「これは、大した物じゃ無いが」
「えっとぉ、課長、これはどういう事ですか?」
商品を見て困惑してる顔で話す。
「自分の部屋では、前髪、邪魔だからしてるだろう。この部屋でも、いつも通りに過ごして欲しいんだ。それに香坂の物が増えるのは嬉しいんだ」
俺の正直な気持ちを話す。
「課長の気持ち、凄く嬉しいです。早速、使いますね」
ふわりと花が咲くように笑い掛け、向日葵のヘアピンで前髪を留める。
「どうですか?似合います」
くっくっくっ「可愛いぞ」
抱きしめチユッと頬にキスする。
「もう、笑わないで下さい」
ちょっと拗ねる姿も可愛い。
ふふふ「課長、これ買いに行ったんですか?」
「いや、フ-ドプロセッサ-と…まあ、他にもあって、色々纏めてネットで注文した」
「そうなんですか。課長が、これをどんな顔で買いに行ったのかなと思って…残念」
楽しそうに話す香坂とそれからイチャイチャし、ベットに雪崩れ込みセックスしたから、話すタイミングを失ってしまった。
今日の朝は、昨夜激しく抱いたせいで、香坂は夕方まで動けず、それを良い事に香坂を甘やかし構いまくり、イチャイチャしていたから雰囲気を壊すのも嫌で、言い出せ無かった。
結局、言い出せず、香坂のマンションまで送った。
部屋で1人になって、早く話せば良かったと後悔していた。
「タイミングなんだよなぁ」頭を掻きながら
「考えても仕方ない。今度こそ、今週末に会う時に話す。よし」
タイミングを見計らって、すんなり話そうと決め、寝る前に浴室に向かう。
何となく月曜から、ずっと心の中がモヤモヤしている
俺らしく無いと自分でも思っているが、週末には……と思い、何とか過ごしていた。
毎日のおやすみLINEもするが、早く週末に会ってスッキリしたかった。
木曜日はおやすみLINEじゃ無く声が聞きたかったから電話にした。
「明日、仕事終わってから夕飯食べに行こう。迎え行くから部屋で待ってろ」
「俺は良いですけど……。課長、一旦帰宅してから出るの面倒じゃ無いですか?」
「いや、少しでも長く一緒に居たいんだ。俺の我儘だ」
ふふふ「嬉しいです。俺も一緒に居たいので」
「じゃあ明日、夜。そうだな、7時30には行けると思う。出る時LINEするからな」
「はい、待ってます」
「じゃあ、また明日な」
「はい、おやすみなさい」
声を聞くだけで安心する。
明日の夜が早く来ないかと思った、顔を見て話したかった。
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