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第97話

「上野さん、申し訳ないが皆んなで、会議室行きますから後、宜しくお願いします。急ぎなら取り次ぎして構いませんから。皆んなは、今の仕事終わり次第、3時から会議室に集まれ」 「解りました」「はい」「……はい」 なんか、佐藤さんが元気無いどうしたんだろう? 会議室に皆んなが揃ったところで 「昨日、佐藤からの提案された事だが、一応、俺なりに考えてみた。資料渡す。これを見ながらディスカッションしてくれ」 渡された資料は2枚程で小物シリーズ(仮) テ-マ→可愛い. 年齢層→学生~カジュアル女性. 商品→籠バック(ト-トバック型) 和物サンダル(畳仕様) 和物シュシュ ブランド名は空欄 2枚目はパソコンで調べたと思われる商品図があった。 資料を見ながら、佐藤さんが話してから昨日、自分の業務以外にも資料作って遅くなったんだ。部下としては流石と思う気持ちと恋人的には無理しないで欲しい気持ちがせめぎ合っていた。 「流石、課長ですね。仕事が早い」 田口さんは尊敬の目で話してた。 「……」 佐藤さんは何も言わなかった、変だなと思った。 いつもの佐藤さんなら田口さんに同調するのに。 資料を見ながら30分程、主に伊織さんと田口さんと俺がああでも無いこうでも無いと話していた。 流石に、田口さんも変だと思ったのか 「おい、佐藤、どうした?元気無いな。お前が提案した案件だろう、何か話せよ」 「……」 「佐藤、何かあったのか?」 伊織さんが聞くと俯いて頭を下げ 「すいません。昨日、あれから竹細工の方に出来るか確認したところ、出来るが時間が掛かるって言われて、大まかな部分は出来るそうなんですが、取っ手の部分や細かい所は、手作業になるから量産は無理らしいんです。今日、午前中、他も何社か聞いてみたんですが、やはり同じ回答で……言い出し難くなって…すみません」 また、ガバッと頭を下げた。 「おい、そういうのは直ぐ言わないとメインの籠バックが、出来なきゃ意味ねえだろうが」 田口さんが強めの口調で話す。 「そうだな。田口の言う通りだが、佐藤が色々当たってどうにかしようと頑張ったのは認めるが、ダメな時は直ぐ相談しないとな。これからはどうにもならない時は直ぐ相談しろ。俺に言い難いなら田口でもいい。解ったな?」 田口さんとは真逆に静かな口調で諭す。 「はい、すみません。以後、気を付けます」 またまた頭を下げた。 メインの籠バックが、案件に乗り上げ皆んな考え込んでしまった。 「オ-ダ-メイドにしますか?」 田口さんが提案し、俺は良いかもと思ったが、伊織さんは 「籠バックは夏から秋のイメージだ。それじゃあ、シ-ズンを過ぎてしまう。それと量産よりコストと価格が上がる。利益が取れないようなら生産しない方がいい」 伊織さんの答えに皆んな 「…………………。」 長い沈黙の後 「少し、気分を変えよう。香坂、皆んなの缶コ-ヒ-買ってきてくれないか?後、上野さんに急ぎが無いか?ついでに聞いてきてくれ。少し、休憩しよう」 財布からお金を出し渡され、自販機に向かいながらどうすれば良いか俺なりに考えていたが、良い案は出せず、缶コ-ヒ-を人数分買い上野さんに聞きに行く事にした。 「上野さん、何か急ぎ……」 上野さんの顔を見て朝の事を思い出し、急いで会議室に向かった。 会議室の机に人数分の缶コ-ヒ-を置いて、小声で「田口さん、少し良いですか?」 一緒に会議室を出て、俺が上野さんを見て考え付いた事を話してみた。 田口さんも暫く考えて 「今のままだと、どうにもならない。だったら何もしないよりはいい。兎も角、出来るか工場に聞いてみてくれ。その間、俺は課長に話してみる。よく思い付いたな、香坂」 「上野さんのお陰です。さっき、上野さん見て思い出したんです。ほら、朝の話ですよ」 田口さんも解ったらしく「そうか、成る程な」と納得して、田口さんは会議室、俺は部署に2手に分かれた。

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