99 / 858

第99話

「後、端切れ使うなら京都の工場の方で、卸してる靴業社が、前に和サンダル作ってた所があるらしく口利きしてもらえるようです。工場長、京都の日本伝統関連の人と知り合い多いらしく、顔が広いみたいですよあっ、それでサンダルの方は田口さん宛てに、連絡くれるようにしましたから」 「俺、あの工場長、苦手なんだよなぁ。話長くて」 嫌そうな顔をするから 「俺も今、捕まりました。何とか打合せ中って言って10分で雑談は終わってくれましたが」 苦笑いし、また、田口と目配せをしていた。 流石に2度、目配せの場面を見てムっとし、やけにこいつら仲が良いな、田口には彼女いるから何とかなる事は無いが、やはり妬けると心で思った。 「良くやったな香坂。そろそろ時間になる。最終確認するぞ。シリ-ズ名称はkawaiiでロゴ.タグにもkawaiiで最後のiの点をハ-トマ-クでいく。ロゴ.タグは田口担当な。彼女にも相談して色や字体.デザインを何種類か持ってきてくれ。サンダルの方も田口担当で、良く工場長と相談しろ」 ニヤっと笑うと嫌そうな顔をする。 「シュシュは香坂、まあシュシュはそれ程、手間が無いから香坂は、あと佐藤の補佐をして欲しい。佐藤は竹細工の業者に決まった事を話して、どこまで出来るか?どの位量産出来るか?を確認しておけ、2社位アプロ-チしておけよ。それと香坂と一緒に、籠バック大まかなデザイン画を何種類か提案しろ。じゃあ其々、今、話した事を次の会議…そうだな、来週金曜日に報告.提出する事。じゃあ解散だ」 「はい」「解りました」「はい、色々すみませんでした」 返事してゾロゾロと会議室を後にした。 それから折り返しの電話をし、パソコンを打っていると「香坂、どうする?来週の金曜までのデザイン」 不安そうに話す佐藤さんに俺は 「佐藤さん、一緒にゆっくり考える時間お互い取れませんよね。佐藤さん竹細工の方もあるし、じゃあ取り敢えず個々に金曜日にデザイン提出して、そこで皆んなで詰めていった方が効率良くないですか?」 「まあ、ずっと内勤ってわけにはいかないからな。はっきり言って俺どうすればいいか解んねぇ、デザインなんて」 「俺だって同じですよぉ。でも出来る事をするしかないですから、俺はパソコンやスマホで調べたり雑誌みて見ます」 「そうか、スマホねぇ。同じ事してもなあ」 悩んでる佐藤さんに田口さんが助け船を出し 「お前の得意な合コンで、女の子に聞いてみりゃあ良いだろう。どんなのが欲しいか?使い勝手は良いのはどんなのか?とか」 「あっ、その手があったか。じゃあ早速、合コンの手配しなきゃな」 いそいそとスマホを弄り始めた。 俺と田口さんは今日、何度めかの目配せをして陰で笑った。 就業時間も過ぎて「そろそろ帰るか?」 田口さんが声を掛けたのを合図に俺達は帰る準備をする。 「課長、まだ帰らないんですか?」 「もう少しだけ、やっていくから気にしないで帰れ」 「じゃあ、お言葉に甘えてお先、失礼します」 3人で会社を出て駅で分かれた。 お風呂も入って出掛ける準備を済まし、待っていると♪♪♪♪… 「ミキ、用意出来てるか?下にいる」 「直ぐ出られます」 車に乗り込み「伊織さん、お疲れ様です」 「ああ、ミキもな。ちゃんとブレザ-着用して来たな」くっくっくっ 「もう、伊織さんったら」 「ミキは怒っても可愛いだけだからな。ところでお腹空いただろう。早速、レストラン行こう」 連れて行かれたレストランは高そうな所でびっくりした。 「伊織さん、ご褒美にしてはお金掛け過ぎですよぉ」 「たまには良いだろう。ミキは贅沢言わないからな」 予約してあったらしく直ぐに、テ-ブルに案内され 「コ-スを2つ、メインは肉で白ワインをグラスで1つ頼む」 オ-ダ-まで全部やってくれた。 並べられた料理は高いだけあって、どれも美味しかった。 俺はグラスワインを飲み、伊織さんと今日の事を話していた。 朝の上野さんとの会話と田口さんもいた事。 上野さんの顔を見て思い出し思い付いた事。 「そうか、だから田口とやけに目配せしてたのか、妬ていた」 はははは…笑いながらも事の真相をミキから聞いて安心した。 楽しい食事が終わろうとしていた時だった。 俺達のテ-ブルの近くを歩いていた女性が 「あら、もしかして美樹君?」 声をした方を見ると一目で綺麗だと解る着飾った女性が、ミキに近寄って来た。

ともだちにシェアしよう!