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第105話

「じゃあ次、香坂」 「はい。シュシュはこれまでも生産しているので問題無いです。後、私も一応、資料作ってますので、それを見ながら説明します」 「おっ、香坂のは見易いな」 「どうせ俺は、絵が下手くそですよぉ」 「えっと、佐藤さんとほぼ被ってるので、あまり言う事が無いですが、ただ、着物の端切れは例えば黒の物でも柄が色々違うので、編むとどんな柄.色が出るか解りません。全く同じ物は出来無いので。似てるようで似てないって感じですね」 「ふうん、出来上がりは1つ1つ違うのか。同じようで違う世界で1つだけの貴方のバッグってか、女の子が好きそう」 はははは…言って笑う佐藤さんを伊織さん、田口さん俺は同時に見た。 「えっ、私何か変な事、また言いました?」 皆んなに見られ不思議顔で話す。 「佐藤、そのフレ-ズいいな。売るキャッチコピーはそれでいく」 「私も良いと思いました。この間も思いましたが、案外、佐藤はこういうセンスはあるのかも知れませんね」 「佐藤さん、凄いセンス良いです」 皆んなに褒められて、何のことか解らないようだが、取り敢えず嬉しそうにしてた。 基本的な事は、ほぼ決まり和やかに打合せが進む。 「ヨシ、そろそろ時間だ。じゃあ、今日の打合せ纏めるぞ。バッグ.サンダル.シュシュの色展開は3種類、黒系、青系、ピンク系。田口はサンダルとシュシュも頼む。香坂はバッグの布地の方を佐藤は竹細工の方を2人で打合せしながら頼む。サンダル、シュシュ、籠バッグの見本を再来週.金曜日の打合せに持ってくるようにその時、見本みながら改善出来る所はする事にする」 「2週間か」 佐藤さんは不安そうに話す。 「1度、どんな感じか見るだけだ。それと田口、来週空いてる日はあるか?」 「一応、打合せあるかと金曜日内勤にしてますが」 暫く自分のスケジュ-ルを思い起こし 「そうか。じゃあ来週、金曜日.京都出張行くぞ。サンダル業者と竹細工業者に挨拶しに行くから、工場長に話しておけ。田口も同行な。これから工場長とは密にして貰わないといけないから挨拶しておけ」 ニヤっと笑うと嫌そうに 「はあ、解りました」 「じゃあ今日はここまで、次は再来週の金曜.午後から打合せ、くれぐれも見本忘れるなよ」 「「「はい」」」 実りの多い打合せだった。 段々、現実的になるとやる気も出てきたな、これならいい物が出来るだろう。 田口との出張で、京都の工場に行くと工場長は待ってましたとばかりに、話が長く困ってしまった。 田口はウンザリって感じだったが、一応顔には出さなかった。 こちらも改めて籠バックの大まかな詳細を説明し、協力して貰う事になった。 端切れは黒系、青系、ピンク系を分けて確保して貰う事もお願いし、竹細工のバッグが出来次第、その後の仕上げまでお願いし、見本も送って貰うよう頼み、帰り際田口が、いきなり工場長に 「工場長もお忙しいと思いますから、誰か他の方を担当にして頂いても……。私も毎回工場長が相手だと恐縮してしまいま…」 話終わらないうちに 「いやぁ。田口君、気を使わせてしまい済まないねぇ今回は他の者には任せられない。私が責任持ってしますから、大丈夫です」 工場長はやる気満々。 田口はそれ以上言えず、がっかりしていた。 工場長と一緒にサンダル業者と竹細工業者に、挨拶しに行く時、工場長にバレ無いように 「残念だったな。田口」 ニヤニヤ笑いながら肩をぽんっと叩いて労う。 各業者に詳細を説明し、今後、連絡を密にする事を確認し、見本をお願いして業者を後にした。 田口は折角来たからと明日、彼女が京都に来て一緒に観光して日曜に帰る事にしたらしい。 「彼女の分は出せないが、田口の新幹線代は上手く会社に申請出しておけ。承認の判は押すから、まあ折角だ、彼女と楽しめ」 言ってやり俺は遅くなったが、新幹線に乗り込み日帰り出張した。 昨日のおやすみLINEを表示させ ♪*遅くなるかも知れないが、日帰りにするから部屋で待ってて欲しい♪* ♪*1度、帰宅してから伊織さんの部屋で、待ってますあまり無理しないでね♪* ミキが待ってると思えば、疲れていようが早く帰って顔を見てこの腕に抱きしめたいと逸る気持ちで新幹線の中に居た。

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