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第106話
「ただいま」
返事が返ってこない。
遅くなってしまったから帰ってしまったかな。
ガチャ…
リビングのドアを開けるとカレ-の匂いがした。
ミキが作ってくれたのかと思い、見渡しても人影が見えない。
やはり帰ったのかとガッカリしながら、ソファに行くとミキが横たわり寝ていた。
「居てくれたのか」
微笑み近づき寝顔を見て、やっとホッとした。
「今日は向日葵のヘアピンか」
ヘアピンを撫で「可愛いな」
もう遅い時間だ起こさないように、俺のス-ツの上着をミキに掛けて、シャワ-を浴びに浴室に向かった。
タオルだけを腰に巻き、リビングに戻る。
まだミキは寝ていた、テ-ブルを見ると雑貨雑誌とファッション雑誌が置かれていた。
ミキの事だ、籠バッグのヒントが無いか見てたのかもしれない。
ミキらしいと自然に微笑んで
「ほら、ミキここで寝るな。ベットに行こう」
「ん…うぅん伊織さん?」目を擦りながら
「お帰りなさい。あれぇ、待ってたらいつの間にか寝てたんだ、ふあぁ」
欠伸をする姿が可愛いが
「眠いだろ、悪かった遅くなった」
「早く会いたいと思ってるうちに寝ちゃった。起きて待ってて"お帰りなさい"って出迎えようと思ってたのに…ごめんなさい」
ミキの気持ちが嬉しい。
「いや、ミキが部屋に居てくれるだけでいい、そう言えばカレ-作ってくれたんだな」
「シ-フ-ドカレ-です。今日は遅いから明日食べましょう…ふあぁ」
「ほら、欠伸出てるぞ。もうベットで寝よう。カレ-は明日のお楽しみだ」
「うん。もう寝る」両手を広げて出す。
「解った。連れて行ってやるから掴まれ」
首に手を回させ、お姫様抱きでベットまで運ぶ。
「ふあぁ、京都の話聞きたかったけど…もう寝る」
ベットに横になって、くるりと背中を向け寝る態勢になる。
腕枕をし背後から抱きしめ、頭のてっぺんにキスして「おやすみ」
ス-ス-と寝息が聞こえた。
待ち疲れたんだろう。
腕の中のミキが愛しくって仕方ない、ミキの寝息を聞いてるうちに俺も自然とミキを抱きしめたまま眠っていた。
「伊織さん…伊織さんってば、もう起きないと」
揺り動かされ
「ん…ミキ、おはよう。今、何時?」
「もう11時ですよぉ。疲れてたからゆっくり寝かせてあげたかったけど、流石にもう昼近いから」
「起こしてくれて助かった。ミキと一緒にいられるのに、寝てたら勿体無いからな。さて、起きるか」
「昼兼用だけど、昨日のカレ-温めてあるから一緒に食べよ。おはよ、伊織さん」
ちゅっと可愛いキスをし、足早にリビングに向かう。
毎回、可愛い事をするミキに、俺は朝からデレデレだった
テ-ブルには既に食事が用意されて、もう食べるだけだった。
一緒に食べようと待っていてくれたんだな。
「おっ、今日も美味そう。いただきます」
昨日食べられ無かったカレ-を口に入れ
「ミキ、美味いな。このカレ-」
嬉しそうに「カレ-は次の日が、1番美味しいって言うから」
「そうかもしれないが、辛さとか俺に合ってる」
「ほんと、良かった」
サラダにス-プと美味しく食べた。
ミキが入れたコ-ヒ-を飲んでると田口との京都出張の話を聞きたがるから、業者との大まかな話をし、工場長の長話と田口が担当者うんぬんの話を面白可笑しく話す。
「だが、あの工場長なかなか侮れない狸だ。工場長やってるだけあって知識も人脈もある。ただ長話だけはどうにかして欲しいが」
「確かに話しが長いですけど楽しいですよ。でもこっちの都合構わない時はちょっと困るけど」
「だな」
2人で苦笑いする。
「あっ、忘れてた。ミキにお土産買ってきたんだった」
バックから取り出し渡す。
「開けて良いんですか?楽しみ」ふふふ
箱の中身を開けて見る。
「茶碗?もしかして、夫婦茶碗ですか?」
全体的に薄茶で青と赤の帯状の和柄の物でシンプルだが一目で気に入った。
「まあ、そうだ。ミキが今 使ってるのは客用だからな。ミキ専用のが欲しかったから序でに買った」
「伊織さん、嬉しいです。ありがとうございます」
「ミキが沢山料理してくれるから、家で食べる機会が多いからな」
「じゃあ、沢山作ってこのお茶碗使うようにしますね」
ふわりと微笑む。
また、1つミキの物がこの部屋に増えた。
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