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第121話
「うわぁ、気持ちいい」
今、伊織さんと海沿いをサイクリングしている。
海の風が心地よく景色も綺麗で最高。
前を走っている伊織さんが後ろを振り向き
「もう少し行った所に岬があるから行ってみよう」
「はい、あんまり後ろ向かないで下さいね。危ないから」
さっきから何度も振り返って危ない。
「心配なんだ。だから横に来いって」
「それも危ないですから」
そんな遣り取りを何度もして自転車を走らせ夕方に岬に着いた。
「伊織さん、ここからの見晴らし最高ですね」
「ああ、遠くまで見えるな。夕日も出て海にオレンジ色が移り綺麗だな」
「ほんとに綺麗、広い海と夕日。改めて南の島に来たって感じします。夜は星空も綺麗って言ってましたよ今日、夕飯遅く食べて夜散歩しながらホテル帰りませんか?」
「いいな、そうするか……ミキ、誰に星空の件は聞いたんだ?」
土産屋か食事の時にでも店員に聞いたのか?そんな話してる所見てないから不思議に思った。
「親切なダイブショップの店員さんですよぉ、夜の星空も綺麗だから良かったら穴場教えるよって、その時に名刺貰いました。でも、わざわざ穴場に行かなくっても、外に出るだけで綺麗だろうし案内させるのも悪いと思って、やんわりお断りしました」
ミキの天然はこう言う時ほんと助かる。
それにしてもあの短時間で、あの店員ムカつくが顔に出さずに話す。
「そうだな、わざわざ案内は悪いし2人で歩きながらの方がいい。夜の散歩も楽しみだな」
岬から夕日が上がり、オレンジ色に染めている海を暫く2人で眺めていた。
こんな静かな時間を過ごすのもいいなと思ってミキを見るとオレンジ色に輝くミキの姿が、この世の者と思えない程、美しく綺麗で思わず絶句する。
「伊織さん、凄く綺麗。この景色見れただけでも石垣島に来た甲斐がありますね。ありがとうございます」
ミキに見惚れていた俺は素直な言葉に我に返り
「また、いつか来ような。来年と言いたいが他にも一緒に色んな所に行きたいからな。折角のいい景色だ、写メでも撮ろう」
夕日をバックに顔を寄せ合いツ-ショットを撮り景色だけやミキだけと沢山撮って話し
「ミキ、そろそろホテルの方に戻りながら土産屋寄ったりして晩飯食べるか?」
「はい。マコと祐さんにお土産買わなきゃ、何が良いかな」
「祐一は何でも良いだろう。物にも執着が無い奴だから土産も要らないと思うが」
「マコだけって訳にはいかないです。お揃いの物何か無いかな?」
「まあ、考えても仕方ない。見に行くか?」
自転車の所まで歩きながら話し、ホテル方面に自転車を走らせる。
途中で何度か土産屋に立寄りリサ-チして、ホテルに戻り自転車を置き歩きながら、夕飯の場所を探し、良さそうな店で海の幸を堪能した。
「伊織さん、ご馳走様です。凄く美味しかったです」
店を出で、きちんと毎回お礼を言うミキの育ちの良さが解る。
「うわぁ、伊織さん、見て見て。やっぱり空一面に星が見えるぅ。落ちて来そうな位、凄い」
言われて空を見上げると真っ暗な空に、散りばめられた星が綺麗に輝いていた。
「凄いな、綺麗だろうとは思ったが、ここまでとは、圧巻だな」
何となくロマンチックな気分になり、ミキの手を握り暫く2人で見上げていた。
それから手を繋いだままホテルまで歩いて、夜の散歩を楽しんだ。
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