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第232話
その日の授業を終え、寮に戻り、部活を終えた瞬助とたくみと夕食を済ませる。
そして自室で宿題予習タイム。
普段は簡易テーブルを出して、2人近くで勉強するのだけれど、今日は近づかないよう勉強机に座って宿題をしているコウジ。
瞬助は簡易テーブルでしている。
いつものように勉強を教えてくれる瞬助だけど、やはり鬱憤が溜まっているのかどこかイライラした仕草はしている。
急に筋トレをし始めたりするのでびっくりするけど、瞬助なりに気を紛らわそうとしている様子だったから何も言わずスルーすることにした。
「瞬、あとは出来るから、部屋戻っていいよ」
「なんで?」
「だって、一緒にいるの辛いんじゃない?我慢させてるし」
「一緒には居たいんだよ、気にすんな」
「…2日でこんなんじゃ先が思いやられる」
ため息まじりに呟くと…
「いっそ寮出ねぇ?」
いつも急に突拍子も無い考えが思いつく瞬助。
「ばか、そんなこと出来るわけないでしょ」
「なんで?」
「お金かかるし、通学時間も変わるし、食事とかどうするの?親巻き込まなきゃだし無理に決まってるでしょ」
「……はぁ、」
ため息をついたかと思うと、後ろからぎゅっと抱きしめる。
「っちょ、」
やや油断していたため驚いて振り返る。
「ぶっちゃけ、今すぐにでもイれたい」
するとそんなことを囁いてキスをし、見つめてきて…
「瞬?」
「…俺マジ病気かも」
抱きしめたまま、ぽつり。
「え?」
「コウジを好き過ぎる病…」
「瞬…」
そんなことを囁かれ、ドキリと心臓が鳴る。
「離したくない」
囁かれる熱い想い…
「……僕は、その病気がいつか治る時がくるんじゃないかって不安になる」
病気なら、いつかは治るかもしれない…
不安な気持ちを少しだけ零す。
「コウジ…?この病気は不治の病だから治ることはないって」
らしくないコウジに、髪を撫でて瞳を交わし囁く。
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