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第250話

「…痛ッて、クソっ」 口をついて出るが、衝撃で直ぐには起き上がれない。 その間に他の選手は次々とゴールしていき… 「君、大丈夫?」 大会スタッフが転倒して起きれない瞬助の元へ駆け寄る。 「……OK、最後まで走る」 瞬助は補助を断り、痛みを堪え何とか立ち上がり、ゴールへ向かい左足を引きずりながら歩き出す。 頑張って走ろうとしているが、足が痛い様子で上手くは走れてはいない。 「頑張ってー」 「幸田くん!もう少し!」 満身創痍でゴールに向かう瞬助に、 周りからは拍手と声援が贈られている。 ゆっくりとだがゴールまでたどり着いた瞬助。 その場に膝をつく。 「……!」 その姿を見てハッとなるコウジ。 「幸田くん大丈夫かな」 隣で呟く糸崎に… 「僕、行かなきゃ!」 言うと同時に駆け出す。 「え?楠木くん?」 驚く糸崎をおいて、一目散に向かった先は… 「瞬助!!」 「え、コウジ…」 「瞬、大丈夫!?」 まだゴール付近の陸上トラック脇にいる瞬助の元へ駆け寄り心配する。 結構腕や足を擦りむいていて血が出ている。 「ちょっと、あなた誰ですか?部外者は立ち入り禁止ですよ」 応急処置をしていたマネージャーらしきややキツめの女子生徒がコウジに注意する。 「え、あ!すみません!」 指摘されて我にかえるコウジ、動転して瞬助しか見えていなかった。 慌てて戻ろうとするが… 「待って、いいよ、俺こいつと行くから」 そのコウジの腕を掴みながら…マネージャーに言い切る。 「え?でも、」 女子マネージャーは困惑するが… 「こいつ寮一緒だから医者行ってそのまま連れて帰ってもらうから、貴重品だけ貸して」 「…はい、」 瞬助の介抱役を取られて少し不機嫌なマネージャーだったが、気にせず貴重品を受け取る。 「サンキュ、行くぞ、肩貸せ」 そうしてコウジを引き寄せる。 「え?う、うん」 瞬助は背が高く、2人は身長差があるため、コウジの肩を直接手で掴んで支えにして歩き始める。 コウジは一応、瞬助の腰あたりを支えて様子を見る。

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