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第251話

瞬助は、左側の腕から 肘を大きく擦りむいて、左足脛は血が滴るほど切れている。 さらに左足首も痛めたようで引きずって歩いている。 観客席を抜けて裏の通りにでる2人。 荷物を取りに行くため、ロッカールームがある管理棟を目指す。 「あー、痛てぇ」 「大丈夫?」 「まあ、折れてはないと思う」 「もう、びっくりした」 一瞬、瞬助がどうにかなってしまうんじゃないかって怖くなって… とりあえず近くに行きたくなってしまった。 「…原因はオマエだから、会ったら怒ってやろうと思ったけど、ま、いいや」 「え?」 「真っ先に俺んとこ来てくれたし」 目立つの大嫌いなコウジが、人目もはばからず心配しに来てくれたことが嬉しかったから。 「そ、それは…」 「ありがとな」 かすめるように、唇へキスを落とす。 「ちょ、こんな所で、誰かに見られたら」 「誰もみてねーよ、見てたとしても誤魔化すし」 「瞬、」 「マジ、嬉しかったから」 そう微笑んで瞳を覗き込む。 怪我は痛いけど、それより得るものが大きかった。 「…瞬、もう心配かけないでよ」 そんな整った顔から出される笑顔の瞬助にドキリとしながらもツンと言い返す。 「コウジに心配してもらえるならコレもアリかな」 「何言ってんの、もう。でもあれだけ激しく転倒してたのに顔は無傷なんだね」 「まあな、もう(ハードル)越えられねーの分かってたから腕を犠牲にして頭と顔は守ったぜ」 そうドヤ顔をするイケメンを見ると、なんだか気が抜けて笑えてくる。 「ふ、でもハードルって案外危険なんだね」 「まーな、タイム伸ばす為にはスピード殺せないし、トップスピードで越えていくには結構リスクあるし、当たったら痛いからな大怪我する奴もいる、今回周り巻き込まずに済んだからまだ良かった」

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