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第254話

「女子は俺目当てだからいいんだよ!それに部活盛り上げるために頼まれてるからだし、けど男はお前目当てなんだから牽制するのは当たり前だろ」 よくわからない持論を自信を持って言い切る瞬助。 「どういう理屈」 「お前が愛想良すぎるのが悪い!」 「常識の範囲内で普通に接してるだけでしょ」 「違うし、お前俺と話す時より、他のヤローと話す時の方が優しいだろ」 「そんなことないでしょ」 「いや、ある!絶対優しい!」 「お前は子どもですか…」 「つまり!俺にももっと優しくしろって言ってんの!」 「してるでしょ」 現在進行形で! 「日頃の愛が足りない!」 「バカ?」 大きなため息とともに本音が出る。 「馬鹿じゃねぇ…イテテ、」 怪我している手を横に振って言い返す瞬助だが、痛みが走ったようで言い詰まる。 「もう、大丈夫?興奮しないで大人しくしててよ」 そんな瞬助に呆れながらも心配しつつ言い聞かせる。 「…へいへい」 痛みもあって勢いを削がれたため言い返すのを諦める。 そうこうしているとタクシーも到着して、そのまま2人で病院に向かう。 病院に到着し、かかりつけ医に診てもらい、瞬助は治療と診断をしてもらう。 待っている間にコウジは、午後から母と約束があったが、瞬助に付き添うため、理由を話してキャンセルにしてもらった。 「コウジ」 瞬助が診断治療を終えて出てきた。 左脛、左腕の打撲擦り傷の手当てと、左足首に包帯を巻き、松葉杖をついている。 「瞬、どうだった?」 「おう、折れてないし、縫ってないし、靭帯も大丈夫、捻挫で安静加療全治2週間ってとこ」 「はぁ、良かった、本当」 「俺、意外と丈夫だから、お前ママとの約束は?」 気になっていたことを聞いてみる。 「今日は断ったよ、非常事態だし、ほっとけないし…」 「マジ!?やった、じゃ一緒に寮帰ってくれるのか?」 それを聞いて一気に笑顔になりテンションが上がる瞬助。 「うん、」 「さんきゅ」 そう怪我していない方の腕で抱きしめてくる。 「ちょ、瞬」 「知り合いいないし大丈夫!帰ろう帰ろう」 機嫌のいい瞬助は慌てるコウジを気にせず、一緒に帰ろうと促して、 やや目立ちながら病院を後にするのだった。

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