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第258話
「なんで、俺に言えばいいだろ、そいつも」
まだコウジに墨をかけた人物に怒りが収まらない瞬助だが…
「言えるわけないでしょ、好きな相手なんだから。そうなったら周りの人間に矛先が向くってこと、ちゃんとわかって行動しなきゃ」
「っ」
コウジの言葉が刺さり、答えに詰まる。
「今回は僕がなんとか説得して落ち着いてもらえたけど、これが集団とかになったら1人じゃ絶対収めきれないし、キッカケを与えてしまうことで被害者と加害者が生まれてしまう、僕はまあいいけど、ファンの娘を加害者にさせちゃ駄目、分かった?」
「よくねぇよ」
瞬助にとってはコウジが傷つけられるのが一番の問題、納得行かなくて首を振ってそれだけ呟く。
「瞬、」
そんな瞬助を諌めるように見つめる。
「ハァ、分かった、悪かったよ、俺が軽率だった、けどだからって、お前に墨汁かけるとかそういうのは最低の行動だと思う、そこはやった奴も反省させないと気が収まらねぇ」
「あの娘には僕がちゃんと話したから、反省してる筈、瞬は何もしなくていいから、ややこしくなるし。とりあえず瞬はベッド戻って、怪我してるんだから」
「けど俺が言わねーとまたお前が狙われるかもしれないだろ」
「僕なら大丈夫、この見た目だから小さい頃から結構言われてきたりしたけど負けたことないし」
口でも、格闘でも。
「でもな、今回墨汁だったから怪我しなかったけど、ナイフとかで襲われたらどーするんだよ」
「大丈夫!僕強いから、自分のことは自分で守れる」
「……やっぱ駄目だ、コウジがこんな目に合わされてんのに黙ってらんねー、個人的にとか特定できるような言い方はしないから、みんなに向けて言っていいだろ?」
「…はぁ、ダメって言っても言う気でしょ?」
「あぁ、知ったからには黙ってはいられねぇ」
「分かった、くれぐれも友達としての言葉を選んでね」
「あぁ、分かった」
「ありがと、ちょっと墨洗うから部屋戻ってて」
「手伝おうか?」
「いや、瞬は怪我してるんだから部屋で大人しくしてて、すぐ行くから」
「はぁ、分かった、」
コウジの手助けが出来ず、怪我を煩わしく思うが自分の部屋に戻っていく。
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