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第5話

「だってよ、オレがこの家に居ていいって言ってんのに、わざわざ虐待されるって分かってて母親のいる家に帰る奴がいるかよ!マゾかあいつはっ!」 イライラした口調のアキラ。 「まぁまぁ、落ち着きなって、ルード君だって色々考えてるんだよ、きっと…」 「何が色々だよ!」 スネたように言う。 そんな姿に、見ていて思わず笑いそうになる。 「だってさ、ルードくんにとっては、どんな酷いことする人でも、たった一人の母親なんだよ…心配になる時もあるんじゃない?」 笑いを堪えて弁護にまわる。 「…ばかだよ」 「でも、ルード君のそういう優しいトコが好きだったんじゃないのアキ兄」 「……」 その言葉に何も言えないアキラ。 ホントは心配してるのにね… 意地っぱりなんだから…この兄キは…。 「大丈夫、大丈夫。ルード君は絶対帰ってくるから、さよならした訳じゃないんだから…こんな手のかかるアキ兄をルード君がほっておける訳ないでしょ」 にこやかに言ってみる。 「手のかかるってのは何だよ!」 あんの上、怒るアキラを、笑ってやり過ごす。 「はいはい、だから…もう少し待ってみたら、押して駄目なら引いてみろって言うし」 アキラは、それを聞いてしばらく黙っていたけど…

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