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第6話
「…そう、だよな…サンキュ。あーぁ、コウに八つあたってどうすんだか、サイテー」
ふっと微笑し、礼を言うと額に手をあてながら、ぼやくアキラ。
「ふ…よく、わかってるね、アキ兄」
こういうコロコロ態度変わるトコなんか見てて飽きないし、弟から見ても可愛いって思ってしまう。
まぁ、僕もアキ兄も外見にコンプレックスあるから言えないけどね…。
アキラは、ふん、と鼻をならして、TVに視線を戻す。
でも機嫌は良くなったらしく、表情は柔らかい。
しばらくして、アキラはフッと思い出したように、僕の方を見て話だす。
「…そう言えば、コウ…お前、ここ数日、学校の寮に帰らないで、わざわざこっちへ帰ってくるよな…なんでだ?」
ま、普通の疑問だよね。わざわざ1時間半かけて帰ってくるなんて…
「…それはアキ兄が心配だからに決まってるでしょ」
にっこり笑って言ってみると…思いっきり疑いの目で見られてしまった。
本当に心配もしてるのに…
「アホか…で、ホントの理由は何だよ?」
軽く聞いてくる。
「……、別にたいした事じゃないんだけど、同室者の奴が、ちょっとね…」
少し困ったふうに話してみる。
「…何だ、折り合い悪いのか?」
何気に聞くアキラだが…
「……うん、まぁ…アキ兄と同じ人種」
わざとらしくそう説明する。
「は?なんだよ!その人種ってのはッ」
ムっとするアキラ。
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