10 / 275

第10話

「っ、だよなー。お前の事、眼中にないんじゃなくて、ありすぎて手が出せないんだろーな…きっと」 アキラも同意をみせる。 「……家族って不思議…他人はもっと不思議」 ぽつりと呟いてみる。 「まぁな…」 その、僕の呟きに息つきながら答えるアキラ。 「僕、幸田からキスされたとき、最初はすっごく嫌な気分になったんだ。何考えてるの?とか思って…」 話はじめる僕を横目でみながら大人しく話を聞いているアキラ。 「僕って女の子でさえ友達として関わってきたのに、男友達からキスされるなんて…信じられないっていうか…」 言い詰まりながら僕は続ける。 「アキ兄はふざけてキスしたけどね…」 嫌みをこめて言ってみると… 「だってオマエからかいやすそーな顔してるんだよなぁ」 笑って答えてくる。 「からかわれるコッチは堪りませんよ、もぅ!まぁ…アキ兄はしょうがないで済むけど…アイツはね」 溜息をつく。 「……でも、フト考えてさ、こんな事するのも理由があるのかなぁって、少しだけ同情しちゃって」 「それで?どうしたんだ」 口を挟んでくるアキラ。 「でも、だからって、僕が従わなきゃならないって訳じゃないし…」 困った風に言って、詰まりながら…少し申し訳なさそうに続けて話す。 「…幸田、蹴っちゃったんだ…おもいっきり」 「あーあ、可哀相。そいつ何て言ったんだ?」 同情を顔に出して聞いてくる。

ともだちにシェアしよう!