12 / 275
第12話
翌朝――。
教室に入って行くとまず声をかけて来たのは…。
「オハヨ、こうじ、遅いぞっ!」
小学校からの友である工藤 匠。
今、一番の親友と呼べる仲だ…。
「…ゴメン遅刻寸前、おはよーたくみ。…あれ、幸田まだ来てないの?」
席に目をやって聞いてみる。
出席番号順の机配置で僕ら三人は縦に僕、たくみ、幸田と並んで座っている。
「ん?そーだな、休みか?珍しい」
そう気にしていなかったらしく軽く言うたくみ。
「そっか…」
軽く溜息をつくと…。
眉をヒソめ聞くようにからかってくる。
「…幸田、お前にフラれてショックなんじゃねーの?」
「たくみ!どーしてそういうコト言うかなー」
怒りをあらわにすると…。
「だってさ、幸田とお前、最近変じゃん、なんかあったんだろ?」
確信したように問ってくるたくみ。
「なんかって、何だと思う?」
逆に親友のキュウカクに問ってみた。
「な、何って…ケンカでもって…」
少し言い詰まりながら答えてくれるたくみ。
たくみの考えてることは当たってるだろーな…と心で思う僕。
「うーん…僕も、よく分からない」
そう答える。
「なんだそれ…」
また眉をヒソめるたくみ。
「……でも、明日には変わると思う。良くなるか、悪くなるか」
「は?」
理解しきれない様子のたくみ。
「ううん、さ、今日は実習あるから、少しでも勉強しとこう!」
それをムリヤリ話題変換する僕。
ともだちにシェアしよう!